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第3章 源泉にて密命
第14話―1 まさか将軍、赤ん坊になった!
もうすぐ夜明けと言う頃、ロクス王城の客室にて。
イクシオン関係各者で話し合いをおこなっていた。
この場にいるのは、おそらく竜の赤ん坊となったイクシオン、彼の愛妾たる私、イクシオンの姉であるシヴァ女王陛下、徳を積んだ黄金の魔獣リンダと、子どもポムウルフのシオンくん。
それともう一人――イクシオンの剣と魔法の師であるランベイル・ボードウィン卿が集結していた。
(ここに呼ばれても、何もお喋りにならないわね、ボードウィン卿)
ボードウィン卿は、さらりとした黒髪に青い瞳をした美青年だ。イクシオンとは違って、寡黙であり、不愛想というよりも無表情に近い表情をしており、たまに大事なことだけを端的に話す人物だ。少し空気のような存在でもある。
北西にあるフォルトゥナ国の人間ではあるが、聖騎士として各国を自由に動き回れる権限を持っているそうで、今よりも若い頃のイクシオンと顔見知りになったそうだ。もうすぐ四十近いというが、若々しい印象が強い。
「イクシオン、我が弟ながら情けない」
「魔獣の勘だが、竜の幼体だろう。しかしながら、赤ん坊とは……」
「……」
シヴァ女王陛下とリンダさんが、やれやれといった調子でコメントしていた。ボードウィン卿は黙ったままだ。
女王陛下が唸る。
「しかし、一国の将軍が竜になったと言えば様になるが、竜の赤ん坊になったとは、話にならないな。情けない弟とはいえ、イクシオンがいるからこそ他国に牽制をかけることが出来ている状態でもある。こやつがこのような状態となれば、隣国が交渉を無視して戦を仕掛けてくる可能性も否定できない」
魔獣リンダが答える。
「確かにその危険性はございますね」
ボードウィン卿はやはり黙ったままだ。
ちなみに、竜の赤ん坊になってしまったイクシオンはと言えば……
「ぴぎゃあっ……!」
甲高い悲鳴が聴こえた。
見れば、幼竜イクシオンはベッドの上で、ポムウルフのシオン君から、脚でごろごろ転がされて遊ばれていた。
「シオン君、あまりシオンをいじめないであげて」
えんえんと泣きはじめた幼竜イクシオンのそばに向かうと、私はひょいと抱き上げる。
泣いている小さな幼馴染をあやすと、にこにこと笑いはじめた。かと思えば、きゅうきゅう言いながら、すりすりと胸の谷間にすり寄ってくる。
「シオンったら、くすぐったいわ」
くすくす笑いかけると、幼竜シオンがべったりと身体をくっつけてきたので、ぎゅっと抱き返した。
「甘えん坊なんだから」
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