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第4章 初夜での攻防
第18話―3
私は魔術への実験協力をすませると、茶会のある城庭の花園へと向かった。
そこでは、まさかの熱烈な歓迎を受けることになったのだ。
「女王陛下に急務が入り、いらっしゃらないのは残念ですが……ラフィーネお姉様とお茶会にご一緒出来るなんて、わたくし、とっても幸せですわ!! お姉様と一緒に飲むダージリンは格別です!!」
そう叫ぶのは、ブロンド巻き毛の美少女パピヨン嬢である。
可憐な桃色のフリルをふんだんにあしらったドレスを纏う彼女は、私にくっついてくると、きゃあきゃあと嬉しそうにしていた。
彼女の友人達や他のご令嬢たちも、なぜか着席して茶を飲む私の周囲を取り囲んでくる。挨拶をすませた後、きゃっきゃっとはしゃぎはじめた。色とりどりのドレスを着ているため、一気に視界が鮮やかになる。
「さすが、アモルの月光姫ラフィーネ姫様。白く透き通るような肌で羨ましいですわ。化粧品や美容には、何を使っていらっしゃるのですか?」
「手足はすらりとしていて、腰もくびれていらっしゃる。羨ましい」
「あどけないけれど美しいというか、さすがイクシオン将軍が求めただけの女性ですわ……」
――お茶をゆっくり飲める雰囲気ではないわね……。
うっとりとした視線に慣れずに困惑していると、三人ほど目つきの悪い令嬢たちが遠くからわざとらしく大声をあげた。
「ごめんあそばせ――皆は口々に貴女様を誉めそやしていますが、結局のところ、イクシオン将軍は妻ではなく妾として迎えたのでしょう?」
「そうそう、所詮は愛人。妻ではございません、何の価値もありませんわ」
「どのような手練手管の持ち主かは知りませんが、所詮は性的な魅力しか感じられていないということです」
明らかな悪口をくすくすと言ってこられる。
挙句の果てに、「イクシオン将軍との夜は激しかった」だの「わたくしの方こそ、めくるめく一夜だった」だの、三人で自慢をしている。
一昔前の自分だったら、強い口調で言い返していたかもしれない。
だけど、イクシオンは不特定多数の女性を相手にするような男性ではないと、今の私には分かっていた。
(もしかしたら、シオンに恋人はいたかもしれないけれど、軽い気持ちで女性と床を共にするような殿方ではないわ)
私の隣にいたパピヨン嬢が椅子から勢いよく立ち上がる。
「あなた達、他国の姫、しかも王太子兼将軍の身であるイクシオン様の寵姫に対して失礼な態度です! そもそも、あの将軍、しっかり喋れば分かりますが、童――」
パピヨン嬢が眦を釣り上げながら、彼女たちに文句を言おうとするのを、私は制した。そうして、毅然とした態度で返答する。
「パピヨン様、好きにさせておきましょう。相手をしても無駄です」
だが、却って彼女たちを逆上させてしまったようだ。
掴みかからんばかりの勢いで、こちらに三人が向かってくる。
その時――突然、ふわりと視界が高くなった。
「また何か変なのを引き寄せているんですか?」
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