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しおりを挟む「はあ、あ……」
しばらく熱に浮かされたかのようなオデッセイだったが、次第に落ち着きを取り戻しつつあった。
(一瞬、全身から熱が迸ったのかと思いましたわ……)
高位魔術を解放した後のように、肩で呼吸をしていたのだが、徐々に肺が空気を取り込みやすくなってきている。
徐々に周囲のことを認識できるようになってきた。
どうやらケンダルに抱きしめられているようだ。
自分だけが裸のままだったことを思いだし、全身が羞恥で再び熱を帯びる。
そっと、彼の顔を振り仰いだ。
「ケン……ダル……?」
愛しいケンダルの碧い瞳と出会う。
……オデッセイは、ハッとなった。
(どうして……?)
愛しい。
確かにそう思った。
『逆惚れ薬』を間違いなく吸入したはずなのに……
吸えば、ケンダルのことを嫌いになれるはずだったのに……
(吸い方がおかしかったの……?)
だが、先ほど感じた異常な熱を思い出すに、ちゃんと効果はあったはずだ。
それに、どうしてだか……今までにない前向きな発想が……実はケンダルに愛されているのではないか?
そんな発想が頭の中に浮かんでくる。
「ケンダル、貴方、私のことが好きだから、令嬢たちにちょっかいをかけてたみたいね……そんなことで、私の気が引けると思ったの?」
……浮かんだだけではなく、うっかり口にしてしまった。
しかも、ものすごく強気な態度で……!!!!
ついでに、クスリと微笑を浮かべてしまった。
(私ったら、なんて発言を……!)
普段の自分もケンダルの前ではツンツンしてしまうが、ここまで好かれている発言は出来ない……!
鏡を見ずとも分かる。
自分がかなり挑発的な表情を浮かべていることが……!
ケンダルには、かなり傲慢な女性として映っているだろう。
だがしかし、口にすればするほど、なんだか本来の自分ではないようで、どんどん気持ちが昂っていく。
「今だって、私と結ばれる最高の好機だったはずなのに……私を満足させられる自信がないようね……女性たちと遊び慣れているだなんて……所詮、アーサーに負けたくなくて吐いた嘘なのかしら?」
「はあ……? オデッセイ、お前に急に態度が……」
訝し気な表情を浮かべていたケンダルだったが、突然何か閃いた様子だった。
「……逆惚れ薬って……おいおい、まさか、そういうことかよ……アーサーとリーリアちゃんも悪いやつらだな……日頃の行いが良いからか、俺にとってかなり都合の良い展開になったがな……」
そうして、彼はニヤリと口の端を吊り上げたのだった。
気づいた時には、オデッセイは自らケンダルに口づけていた。
相手の唇を強引に奪った後、相手の瞳をまっすぐに見つめる。
「黙りなさい、ケンダル……ほら、ちゃんと口をお開けになって……」
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