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闇の戦争④
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「ぐおぉぉぉぉぉ……っなんなんだよぉぉぉぉぉ!!!」
朝日さんと赤井さんと別れた俺は目的地に向けて歩みを進めていた。まさかこんなに険しい道のりになるなんて思わなかったけれど。
俺の目の前いや、周り全てが真っ白に染まっていた。吹雪と言えば簡単なのだがもうそれ以上に全てが真っ白に染まったような感じなのだ。
「でも、このまま進めばそろそろつくはずなんだが」
周りを見渡してみる。しかしそんなことをしてもすぐ近くの家の小さな明かりが見える程度、感覚で進んでいくしかない。
そしてその感覚を頼りに進むこと2、3分。やっと目的地に到着した。二階建ての周りともそんなに変わらない普通の家。表札に書いてある名字は『矢来』。
未だにめぐるから朝の返事は来ていなかった。既読すらついていない。
「少し心配になったから見舞いに来ただけなのに……とんでもねぇ天気だな」
もはや下の方は雪で埋もれかけている玄関の前にたつとインターホンを押した。……出てこない。電気はついていたからいるとは思うんだが、しかたなくもう一度押そうとした時ドアが開いた。
「はいはい、どちら様ですか」
出てきたのは顔にシワがよって腰が曲がったお婆ちゃんだった。
「あの、めぐるさんに会いに来たんですが……あ、俺は友達です」
「まぁまぁ、お見舞いに来てくれたの? ささ、はやく上がって」
お婆ちゃんは微笑むと俺の背中を押すように中に入れてくれた。多分めぐるの家に入ったのは初めてだ。
「こんな吹雪の中大変だったでしょ」
「ええ、まぁ」
俺は靴を綺麗に揃えて上がるとお婆ちゃんがタオルを渡してきた。
「風邪引くから取り敢えずそれで拭きなさい」
確かに濡れたままめぐるの所に行くわけに行かないので丁寧に拭き取る。タオルを返すとお婆ちゃんは二階のめぐるの部屋まで案内してくれた。
「ありがとうございます」
俺はお礼を言ってめぐるの部屋をノックした。
「俺だ、大丈夫か?」
問いかけると少し間があってから入っていいわよと返事があった。なので遠慮なく少し勇気を出して中に入った。
「何しに来たのよ」
第一声はそれだった。せっかく心配して来てみればこれだ。
「見まいに来てやったんだ、嬉しいだろ?」
「なわけ、ゲホッゴホッ……ないでしょ」
パジャマ姿で布団に横になっているめぐるをよく見ると顔もすごい赤く汗もかいているようだった。
「思ってたよりもさらに悪そうだな」
「そうね、でもこんなのすぐ良くなるから心配しないで。みんなにもそう伝えといて」
「それはいいが……」
そこで会話は途切れしばしの沈黙がながれる。長い長い沈黙、ではなかったかもしれない。でも俺にとってすごく長く感じたあとめぐるが言った。
「手」
「ん?」
俺の前に布団からちょこんと出た手が伸ばされる。何だろう。
「握って……」
「え」
取り敢えず言われるがまま俺はめぐるの手を握った。なんでだろう、熱があってこんなに真っ赤なのに冷たい。いや、ただ冷たいだけじゃない、暖かくも感じるのはなぜだろうか。
じーっと繋いだ手を凝視していたら振り払われてしまった。
「なんかキモいわよ」
「ひでぇ」
めぐるはそんな俺を見てヘラヘラと笑った。でも何となくだか元気になったような気がした。それでも手を握れなんて変なことを言うくらいだからまだしんぱいだけど。
「それじゃあ俺はそろそろ帰るな」
「うん、明日には行けるようにするから」
「いや、それは無理だろ」
「行けるわよ、絶対にね」
「…………分かった、しっかり休めよ」
俺はそうして部屋をあとにした。階段を降りて一階に行くとお婆ちゃんが待っていた。
「すいません、お邪魔しました」
「わざわざありがとねぇ」
笑ってさらにシワのよった顔で頭をさげてきた。
「いえ、心配になっただけですので」
「そろそろ限界なのかもねぇ」
「え?」
お婆ちゃんから唐突に出たその言葉。限界……どう言うことなのか、俺は少しの間硬直して動けなかった。と、そんな俺を見てお婆ちゃんは何かに気づいたようだった。
「そうかい、君は知らないんだねぇ」
「し、知らないって何をですか?」
「それはあの子から聞きな」
「でも……」
「私からは言えないよ」
お婆ちゃんを見るとさっきまでの笑顔とはうって変わって真剣な表情だった。これ以上聞いても本当に教えてくれなそうだ。
「わかりました……」
「あの子とこれからも仲良くやっておくれ」
「もちろんです」
俺はそうして家を出た。
外は来る時に降っていた雪はすっかり収まり落ち着きを見せていた。
朝日さんと赤井さんと別れた俺は目的地に向けて歩みを進めていた。まさかこんなに険しい道のりになるなんて思わなかったけれど。
俺の目の前いや、周り全てが真っ白に染まっていた。吹雪と言えば簡単なのだがもうそれ以上に全てが真っ白に染まったような感じなのだ。
「でも、このまま進めばそろそろつくはずなんだが」
周りを見渡してみる。しかしそんなことをしてもすぐ近くの家の小さな明かりが見える程度、感覚で進んでいくしかない。
そしてその感覚を頼りに進むこと2、3分。やっと目的地に到着した。二階建ての周りともそんなに変わらない普通の家。表札に書いてある名字は『矢来』。
未だにめぐるから朝の返事は来ていなかった。既読すらついていない。
「少し心配になったから見舞いに来ただけなのに……とんでもねぇ天気だな」
もはや下の方は雪で埋もれかけている玄関の前にたつとインターホンを押した。……出てこない。電気はついていたからいるとは思うんだが、しかたなくもう一度押そうとした時ドアが開いた。
「はいはい、どちら様ですか」
出てきたのは顔にシワがよって腰が曲がったお婆ちゃんだった。
「あの、めぐるさんに会いに来たんですが……あ、俺は友達です」
「まぁまぁ、お見舞いに来てくれたの? ささ、はやく上がって」
お婆ちゃんは微笑むと俺の背中を押すように中に入れてくれた。多分めぐるの家に入ったのは初めてだ。
「こんな吹雪の中大変だったでしょ」
「ええ、まぁ」
俺は靴を綺麗に揃えて上がるとお婆ちゃんがタオルを渡してきた。
「風邪引くから取り敢えずそれで拭きなさい」
確かに濡れたままめぐるの所に行くわけに行かないので丁寧に拭き取る。タオルを返すとお婆ちゃんは二階のめぐるの部屋まで案内してくれた。
「ありがとうございます」
俺はお礼を言ってめぐるの部屋をノックした。
「俺だ、大丈夫か?」
問いかけると少し間があってから入っていいわよと返事があった。なので遠慮なく少し勇気を出して中に入った。
「何しに来たのよ」
第一声はそれだった。せっかく心配して来てみればこれだ。
「見まいに来てやったんだ、嬉しいだろ?」
「なわけ、ゲホッゴホッ……ないでしょ」
パジャマ姿で布団に横になっているめぐるをよく見ると顔もすごい赤く汗もかいているようだった。
「思ってたよりもさらに悪そうだな」
「そうね、でもこんなのすぐ良くなるから心配しないで。みんなにもそう伝えといて」
「それはいいが……」
そこで会話は途切れしばしの沈黙がながれる。長い長い沈黙、ではなかったかもしれない。でも俺にとってすごく長く感じたあとめぐるが言った。
「手」
「ん?」
俺の前に布団からちょこんと出た手が伸ばされる。何だろう。
「握って……」
「え」
取り敢えず言われるがまま俺はめぐるの手を握った。なんでだろう、熱があってこんなに真っ赤なのに冷たい。いや、ただ冷たいだけじゃない、暖かくも感じるのはなぜだろうか。
じーっと繋いだ手を凝視していたら振り払われてしまった。
「なんかキモいわよ」
「ひでぇ」
めぐるはそんな俺を見てヘラヘラと笑った。でも何となくだか元気になったような気がした。それでも手を握れなんて変なことを言うくらいだからまだしんぱいだけど。
「それじゃあ俺はそろそろ帰るな」
「うん、明日には行けるようにするから」
「いや、それは無理だろ」
「行けるわよ、絶対にね」
「…………分かった、しっかり休めよ」
俺はそうして部屋をあとにした。階段を降りて一階に行くとお婆ちゃんが待っていた。
「すいません、お邪魔しました」
「わざわざありがとねぇ」
笑ってさらにシワのよった顔で頭をさげてきた。
「いえ、心配になっただけですので」
「そろそろ限界なのかもねぇ」
「え?」
お婆ちゃんから唐突に出たその言葉。限界……どう言うことなのか、俺は少しの間硬直して動けなかった。と、そんな俺を見てお婆ちゃんは何かに気づいたようだった。
「そうかい、君は知らないんだねぇ」
「し、知らないって何をですか?」
「それはあの子から聞きな」
「でも……」
「私からは言えないよ」
お婆ちゃんを見るとさっきまでの笑顔とはうって変わって真剣な表情だった。これ以上聞いても本当に教えてくれなそうだ。
「わかりました……」
「あの子とこれからも仲良くやっておくれ」
「もちろんです」
俺はそうして家を出た。
外は来る時に降っていた雪はすっかり収まり落ち着きを見せていた。
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