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ちょっとエッチな、謎の介護施設バス
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こんな夢を見た。
斜め向かいの空き家に、大きなバスが停まった。停まるのはいいが、いくら経っても動く気配がない。
見てみると真っ白なボディに肌色のラインの入った大型バスである。
「いつまで停まっているのだろう?」
と見ていると、向かいの家のすでに亡くなった祖父の人が車椅子に乗って出てきた。
そしてその車椅子を押しているのが、最近亡くなった息子さんだった。
「あれ? あのお二人って確か亡くなったはずなのに?」
と不思議に思うよりも、その様子が余りに自然なために、こちらはただ眺めているだけだった。
車椅子の父親と、それを押す息子はバスの側面から乗車した。
するとバスから人相の悪いヒゲ面の中年男が降りてきて、僕のところに近づいてきた。
「こんにちは」
「はい。何でしょう?」
「あなたもこのバスに乗ることになっています。どうぞ」
と言われる。
「え? 僕もですか?」
と言うと、
「はい。そうです。お急ぎ下さい」
すでに亡くなった近所の親子を乗せるバスに、自分も乗らないといけないのか?
正直、乗りたくなかったが……。
「そんなに待っていられないから、急いでくれますか!」
と半分脅され気味に言われる。
仕方がないので、いつも出かける時に持ち歩く鞄を持って、バスの側面の出入り口から入ろうとしたが、必ずバスに付いているはずの出入り口がない。
僕が「おかしいな?」とバスのボディを触っていると、
「ああ~。あなたは、こっちから入って」
と言われたので、バスの運転席側に回ると、大きな生き物が口をあけるように、バスの全面が大きく開いて、そこに車内へ続く数段の階段が現れた。
「さあ。早く乗って」
人相の悪いヒゲ面中年の運転手は、この出入り口が当たり前のような顔をした。
僕は乗り込んだ。
車内の両端にはバスのボディと平行に、長椅子があった。等間隔にバスによくある掴まるための鉄の棒がある。
だが車内の真ん中にはスナックやバーでよく見る背もたれのないスタンドチェアが並んでいた。
こんな椅子だと出だしやブレーキをかけたら、椅子から落ちて倒れないだろうかと思った。
「出発します」
と髭面の中年運転手が言うと、エンジン音がしてバスは走り出したのだが、全く揺れない。
窓を見ると、景色が後ろに流れていくので、確かに進んではいるはずなのだが、全く揺れなかった。
どうして揺れないのか不思議に思いながら乗客を見ると、先程乗り込んだ斜め向かいの、亡くなっている車椅子の親子が隅に立っている。
──知り合いなので声をかけた方がいいかな?
と思ったのだが、その二人は一点を見つめたまま、微動座にせず動かない。まるでポスターの写真を見ているかのようである。そういう人達が数人存在した。
その動かない人達は、何だかこちらが話しかけられない空気感と、まるで別次元の人達のように感じて、自分は仕方なくバスのボディへ平行に備えつけられた長椅子に座ったが、
「そこはあなたの席じゃないですよ」
と運転手がバックミラーを見ながら言ってきた。
確かに僕の横を見ると、杖をついた顔色が真っ白の老人がピクリとも動かず座っているのだ。
「どこに座ればいいですかね?」
と強面の中年運転手に声をかけると、
「私の横に座ればいいわ」
と言う声がした。
そちらを向くと、バスの中央に設置されたスタンドチェアに座っている二十歳前後の女性だった。
「ここに座ればいいわ」
と自分の右側のスタンドチェアを、ポンポンと叩く。彼女の背後には黒服のガッシリとした男が二人立っている。
二十歳前後の彼女は目が大きく、若かりし時の吉川ひなのに似ていた。
ちなみに僕は吉川ひなののファンではない。
「では失礼します」
と吉川ひなの似の彼女の隣に座ったのだが、正直「えっ!」と反応してしまった。
スラリと細くて長い足が、超ミニスカートから伸びている。手も細くてしなやかで身体も細い。それなのになぜか胸は結構大きくて、そんな彼女が小声で、
「あのう……。良かったら……。触ってくれませんか?」
と言ってきた。
僕は「え?」と言ったまま、驚きの余りに固まってしまう。
「私、実はあなたみたいな男性がタイプなんです。よかったら触ってくれませんか?」
とまた、言ってくる。
僕は、
「ははは。からかうのはよしてよ。君みたいに綺麗な女性から、そんなことを言われたら、こちらは動揺してしまうよ」
と微笑みながら言うと、
「そうやってすぐに触ってこないところも素敵です。ねえ、触って下さい……」
とまた言ってきた。
僕は思案した結果。
「なら両足に両手を置いて」
とお願いすると、細くて綺麗な手を、細いが弾力のありそうな太ももに載せた。
僕はその細い手に、自分の左手を優しくと載せた。
「これでいいかな?」
と言うと、
「やっぱり……。優しくて素敵です……」
と僕の肩に顔を持たれさせて、
「あのう……。もし、よかったら……」
と彼女は自分の左手を、自分の胸の辺りに持ってくると、襟首のところに人差し指をかけて、軽く引っ張った。
すると細い身体なのに、アンバランスなくらいに大きな胸の谷間が見えて、
「あなたになら自由にしてくれてもいいです」
と言われ、僕もさすがに、
「え? 君、初対面なのに大丈夫?」
と僕の方が不審者でも見るような表情で、彼女の顔を覗き込んだところで、目が覚めました。
夢診断をネットで調べてみると、美女が出てくる夢と言うのは吉夢だそうです。
でも今のところ、特に「運が良かったなあ~」
と思うことはありません。
終わり。
令和5年6月30日。
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斜め向かいの空き家に、大きなバスが停まった。停まるのはいいが、いくら経っても動く気配がない。
見てみると真っ白なボディに肌色のラインの入った大型バスである。
「いつまで停まっているのだろう?」
と見ていると、向かいの家のすでに亡くなった祖父の人が車椅子に乗って出てきた。
そしてその車椅子を押しているのが、最近亡くなった息子さんだった。
「あれ? あのお二人って確か亡くなったはずなのに?」
と不思議に思うよりも、その様子が余りに自然なために、こちらはただ眺めているだけだった。
車椅子の父親と、それを押す息子はバスの側面から乗車した。
するとバスから人相の悪いヒゲ面の中年男が降りてきて、僕のところに近づいてきた。
「こんにちは」
「はい。何でしょう?」
「あなたもこのバスに乗ることになっています。どうぞ」
と言われる。
「え? 僕もですか?」
と言うと、
「はい。そうです。お急ぎ下さい」
すでに亡くなった近所の親子を乗せるバスに、自分も乗らないといけないのか?
正直、乗りたくなかったが……。
「そんなに待っていられないから、急いでくれますか!」
と半分脅され気味に言われる。
仕方がないので、いつも出かける時に持ち歩く鞄を持って、バスの側面の出入り口から入ろうとしたが、必ずバスに付いているはずの出入り口がない。
僕が「おかしいな?」とバスのボディを触っていると、
「ああ~。あなたは、こっちから入って」
と言われたので、バスの運転席側に回ると、大きな生き物が口をあけるように、バスの全面が大きく開いて、そこに車内へ続く数段の階段が現れた。
「さあ。早く乗って」
人相の悪いヒゲ面中年の運転手は、この出入り口が当たり前のような顔をした。
僕は乗り込んだ。
車内の両端にはバスのボディと平行に、長椅子があった。等間隔にバスによくある掴まるための鉄の棒がある。
だが車内の真ん中にはスナックやバーでよく見る背もたれのないスタンドチェアが並んでいた。
こんな椅子だと出だしやブレーキをかけたら、椅子から落ちて倒れないだろうかと思った。
「出発します」
と髭面の中年運転手が言うと、エンジン音がしてバスは走り出したのだが、全く揺れない。
窓を見ると、景色が後ろに流れていくので、確かに進んではいるはずなのだが、全く揺れなかった。
どうして揺れないのか不思議に思いながら乗客を見ると、先程乗り込んだ斜め向かいの、亡くなっている車椅子の親子が隅に立っている。
──知り合いなので声をかけた方がいいかな?
と思ったのだが、その二人は一点を見つめたまま、微動座にせず動かない。まるでポスターの写真を見ているかのようである。そういう人達が数人存在した。
その動かない人達は、何だかこちらが話しかけられない空気感と、まるで別次元の人達のように感じて、自分は仕方なくバスのボディへ平行に備えつけられた長椅子に座ったが、
「そこはあなたの席じゃないですよ」
と運転手がバックミラーを見ながら言ってきた。
確かに僕の横を見ると、杖をついた顔色が真っ白の老人がピクリとも動かず座っているのだ。
「どこに座ればいいですかね?」
と強面の中年運転手に声をかけると、
「私の横に座ればいいわ」
と言う声がした。
そちらを向くと、バスの中央に設置されたスタンドチェアに座っている二十歳前後の女性だった。
「ここに座ればいいわ」
と自分の右側のスタンドチェアを、ポンポンと叩く。彼女の背後には黒服のガッシリとした男が二人立っている。
二十歳前後の彼女は目が大きく、若かりし時の吉川ひなのに似ていた。
ちなみに僕は吉川ひなののファンではない。
「では失礼します」
と吉川ひなの似の彼女の隣に座ったのだが、正直「えっ!」と反応してしまった。
スラリと細くて長い足が、超ミニスカートから伸びている。手も細くてしなやかで身体も細い。それなのになぜか胸は結構大きくて、そんな彼女が小声で、
「あのう……。良かったら……。触ってくれませんか?」
と言ってきた。
僕は「え?」と言ったまま、驚きの余りに固まってしまう。
「私、実はあなたみたいな男性がタイプなんです。よかったら触ってくれませんか?」
とまた、言ってくる。
僕は、
「ははは。からかうのはよしてよ。君みたいに綺麗な女性から、そんなことを言われたら、こちらは動揺してしまうよ」
と微笑みながら言うと、
「そうやってすぐに触ってこないところも素敵です。ねえ、触って下さい……」
とまた言ってきた。
僕は思案した結果。
「なら両足に両手を置いて」
とお願いすると、細くて綺麗な手を、細いが弾力のありそうな太ももに載せた。
僕はその細い手に、自分の左手を優しくと載せた。
「これでいいかな?」
と言うと、
「やっぱり……。優しくて素敵です……」
と僕の肩に顔を持たれさせて、
「あのう……。もし、よかったら……」
と彼女は自分の左手を、自分の胸の辺りに持ってくると、襟首のところに人差し指をかけて、軽く引っ張った。
すると細い身体なのに、アンバランスなくらいに大きな胸の谷間が見えて、
「あなたになら自由にしてくれてもいいです」
と言われ、僕もさすがに、
「え? 君、初対面なのに大丈夫?」
と僕の方が不審者でも見るような表情で、彼女の顔を覗き込んだところで、目が覚めました。
夢診断をネットで調べてみると、美女が出てくる夢と言うのは吉夢だそうです。
でも今のところ、特に「運が良かったなあ~」
と思うことはありません。
終わり。
令和5年6月30日。
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