悪の献身 〜アイドルを夢見る少年は、優しい大人に囲まれて今日も頑張ります〜

木曜日午前

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第14話 夢に繋がれる

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 手枷には更にチェーンを着けて、カウンターのテーブルにあるフックに繋がれた。両手首はそのカウンターから離れることも、外すこともできない。ジノ兄さんはバーカウンターに入っていき、その奥にあるだろうキッチンの方へと歩いていく。
 
「ジノ兄さん、このお店はなんですか?」
「会員制のイベントバーだよ。ちなみに、下の和食屋もここも、私が出資してるお店。ここのレイアウトも私が決めたんだ」
 
 イベントバーという言葉に、どんなイベントをするのだろうと不思議に思う。そんなこんなで待っていると、ご飯が届いたようだ。
 
 それは久々に見た牛丼が2つ、それぞれには半熟玉子と海苔、バターが乗っていた。
 
 ただ、その器がおかしかった。
 
「はい、これがシグレのだよ」
 
 繋がれた腕の間に置かれたのは、犬皿の中に入った牛丼だ・・・・・・・・・・・
 ジノ兄さんのは普通の丼ぶりに対して、それは明らかに明確な差をつけられている。しかもその腕の間で、ジノ兄さんがスプーンでグチャグチャとその牛丼を混ぜる。多分俺が食べやすくなるようにしてくれてるのだろうと、直感で感じた。
 普通の人なら憤慨しかねないこの状況。
 
 けれど、俺はその光景を懐かしく思った。
 
「わあ、美味しそうです」
 
 にっこりと笑った俺に、ジノ兄さんは少しだけ驚いた後、「熱いから気をつけてね」と言い、スプーンを外す。俺はなんの抵抗もなく、見るも無惨な姿になった牛丼に食らいついた。
 
 牛丼は少しだけ味が辛めに作られているが、これはこれで美味しいと思う。
 
 犬食いするなんて、本当に久しぶりだなあと思いつつ、顔をあげるとジノ兄さんも牛丼を食べながら俺を見ていた。
 
「顔に米粒だらけじゃないか」
「とても美味しくて、つい! 久々に外で日本食食べました」
「他のもあるぞ?」
「お腹いっぱいになりそうなんで、また連れてきてください」
 
「そうか」
 
 ジノ兄さんは俺の顔を拭くと、今度は犬皿の残りをスプーンで掬い、俺に食べさせてくれた。
 ご飯を食べた後、水も飲ませてもらう。
 胃の中は満たされ、幸せだなあと思っているとジノ兄さんは口を開く。
 
「じゃあ、お遊びを始めようか」
 
 その声に、ぞわりと身体が震えた。
 
 
 
「兄さん、ジノ兄さん、怖いです」
「大丈夫大丈夫」
 
 マスクの上からアイマスクを着けられたのか、何も見えない。手枷をされた手首は頭の上で吊られ、脚も枷をつけられたのか自由に動けない。恥ずかしい格好させられているのはわかる。しかも、足元は不安定なハイヒールのため、いつバランスを崩すかわかったものではない。
 ジノ兄さんは俺の身体をそわそわと撫でるので、擽ったいのと前回のエッチなことを思い出して、次第に変な気分になる。
 
 視界が遮られているせいで、余計に他の感覚が敏感になる。何をされるのかも全くわからない。それがこれほどにも怖いとは思わなかった。ふと人の手が自分の顔に添えられた後、耳元にねっとりとした息が掛かる。
 
「本当に怖いなら『赤ちゃんできちゃう』って言えば辞めるからね? ただこれは、本当に限界のときに使うんだよ。シグレは頑張れるよね?」
 
「がんば、ります」
 
 それは以前約束した言葉だ。何という恥ずかしい言葉だが、本当に限界ならばこの言葉を使えばいいということを思い出させられた。

 ジノ兄さんは俺の返事を聞き、離れていく。そして、暫くしてまた俺の胸をさわさわと触り始めた。その触り方はまるで俺の乳首に触れるか触れないかのところで、何度も優しく撫でる感じだ。それだけではなく、たまに全く無い胸肉を手でふわふわと揉む。それを繰り返していると何となく胸筋が解れてきたのか、じわじわと胸自体が気持ちよくなってきた。
 
「んっ……あっ、ふぅ……」
 
 口からはいつの間にか変な吐息が音を出して漏れていく。すると、ぱっと胸から手が離れた。ジノ兄さんの気配も少し遠くなり、俺から離れていく。
 
「あ、そうだ……えっと……あ、これこれ、シグレあーんして」
 
 またもや近づいてきたジノ兄さんの指示に従い口を大きくあーんと広げると、口の中に丸い球体のものが入ってきた。
 下に乗る感じ、それは無数の穴がついているもので、呼吸の妨げになる感じではない。
 
 ただ、困ったことにその丸いものとつながっている革ベルトらしきものが、頬から頭へと触れ、カチャリと後ろで固定された音がする。しかもその際眼の前に布らしきものを一枚頭から被された気もする。
 
「これは、ボールギャグって言うんだけどね、口を開かして唾液垂れ流しになるやつなんだ」
 
「ぉうなんぇぅか?」
 
 そうなんですか? と言おうとしたところ、言葉がまともに音にならず、ただ、話すたびに、呼吸するたびに唾液が溢れ、自分の喉をどろりと伝い落ちていくのがわかる。そんな俺の頭をジノ兄さんは優しくなでた後、おでこにキスを一つ落とす。
 
「いいね、じゃあ、ちゃんと限界になったら例の言葉を言うんだよ・・・・・・・・・・。はじめようか」
  
 楽しそうに言うジノ兄さんの声に、未知の恐怖と、少しの興奮を感じた。 
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