鏡目線の白雪姫

ぽんた

文字の大きさ
上 下
1 / 1

鏡目線の白雪姫

しおりを挟む
「鏡よ鏡。この世で1番美しいのは誰だい?」

はぁ…また始まったよ…。
女王様、一体何回目だと思っているんだ。
もう100回は軽く超えてる。
途中で(面倒だから)数えるのを辞めてしまったから分からないけど…。

「鏡よ鏡。聞いているのかい!!?」
「ハイ、コノヨデイチバンウツクシイノハアナタデス。ジョウオウサマ。」
「何だい!その言い方は!!」
「いやぁいい加減にして下さいよ女王様。
毎日毎日同じ質問されて、同じ事を答えるの…。いい加減キツいっす。
それに、今となっては女王様より白雪姫様の方がき…はっ!!」
「…………」

ヤバい、言い過ぎたか!?
と焦ったのもつかの間。
女王様はスタスタと部屋を出て行った。
「じょ、女王様~…?」

シーン……

「よ、よし!!女王様から解放された事だし!!今日はもう寝よう!!」 

布団を敷いたその瞬間、女王様が戻って来た。

「あ、女王様…ってえ!!??」

女王様の手には……。
も、ももも、もしかして鉄パイプ…!?

「ふんっ!!!」
「ぎゃーーーーー!!!!」

女王様の一振で、俺は一瞬で粉々になってしまった。

「うぅ…」
「狩人!!いるかい!!」
「はい?どうなさいました?女王様…って、うわぁ!!鏡が粉々…」
「鏡の事は気にしないで頂戴。」

女王様酷いですよ!!!

「狩人!白雪姫を殺しておしまい!!」
「「えぇ!!?」」
「私より美しい白雪姫は必要無い!!
さっさとやっておしまい!!」
「は…はぁ…、かしこまりました…。」
「ちょっと」

狩人が部屋を出ようとしたら、女王様が狩人を呼び止めた。

「この状況を無視すると言うの?」
「……掃除させて頂きます…。」



狩人は掃除が終わると直ぐに白雪姫を殺しに行った。
女王様はルンルンだ…。
そして俺は満身創痍だ…。

「女王様。白雪姫を殺して来ました。」
「証拠は?」
「こちらに。」

狩人が差し出したのは、心臓。

「下がりなさい。」
「はっ。」 

狩人は確かに白雪姫の心臓を差し出したけど…

「(あれ…??)」

俺の粉々になった鏡に、まだ白雪姫は映るぞ…?どういう事だ…?



「鏡よ鏡。この世で1番美しいのは誰だい?」
「しら…女王様です。」
「………」
「………」
「鏡よ。白雪姫は狩人が殺した筈だが?
どういう事なんだい??」

女王様、圧が!!圧が凄いです!!

「嘘偽りなく全部吐きな!!」
「ごごごごめんなさい!!吐きます!!」



「…という訳で、白雪姫は今、森で7人の小人と一緒に暮らしているのです。」
「………殺る」
「え」
「私が自らの手で白雪姫を殺る!!」

女王様は色々考えた結果、
毒りんごを白雪姫に食べさせる事にしたそうだ。
女王様はこれでもかと毒を盛りに盛ったりんごを片手に、変身して7人の小人の家へと向かった…。

「(あぁ…白雪姫…!!逃げて!!超逃げて!!)」

俺はここで祈るしか出来なかった…。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...