虚界生物図録

5. 逆行虫

図1：逆行虫の高精度拡大写真。画像の右が進行方向。

#### 1. 名前 
- **和名:** 逆行虫（ぎゃっこうちゅう） 
- **学名:** *Inversopodus tachyonica* 
- **別名:** 死神虫 

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#### 2. 基本情報 
- **全長:** 約1cm（観察可能な幼虫のサイズ） 
- **形状:** 幼虫は半透明で白い外骨格を持ち、体節がはっきりと分かれている。足は左右に6本ずつ（計12本）、頭部には短い触覚が2本突き出している。羽は確認されていない。背中には微細な溝状の模様があり、何らかの未知の機能を持つ可能性がある。 
- **生息地:** 森林、草原で観察される。正確な分布は不明であるが、事例は北半球に偏在し南半球には少ない。オセアニア、南米では目撃例がない。

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#### 3. 概要 
- **特殊性:** 
  逆行虫には以下の特徴がある： 
  - 必ず後ろ向きに歩く。 
  - 確認された場所では必ず24時間以内に動物が死亡する。
これにより古来より「死の予兆」と考えられてきた。 典型的には、牛や馬など大型の哺乳類の死亡前に見られるが、人間の死の予兆として現れた事例もある。1回の発生では50匹から500匹ほどの幼虫が確認される。 
  幼虫を追跡し続けると、後ろ向きに歩きながら、やがて死体に潜り込むようにして空間の裂け目に入り込み、次の瞬間には完全に消失する。 発生の瞬間を観察できた報告はない。
  捕獲や殺害を試みると必ず失敗する。

  近年の研究により、逆行虫の正体は**時間流を逆行して存在する生物の幼虫**であると考えられている。 
  - 成虫が死体に卵を産み付けていると考えられているが、成虫および卵そのものは観察されたことがない。 
  - 幼虫は死体そのものを食べて栄養にしているわけではないが、**死によって放出される未知のエネルギー**が孵化の条件である可能性が高い。 

- **習性・食性:** 幼虫は死骸をエネルギー源とするが、その詳細は不明。 口や消化器官が存在するとみられるが、通常の食事をしているところや糞は観察されたことがない。

- **繁殖:** 繭や成虫の存在は理論上予測されているが、観測されたことはない。 

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#### 4. 発見 
- **最初の記録:** 
  逆行虫の存在は古くから知られていた。古代から「死神の使い」や「災厄を呼ぶ虫」として迷信の中に記録されている。中世ヨーロッパでは、家畜が突然死する直前に目撃され、不吉の象徴とされた。 

- **研究史:** 
  逆行虫はその捕獲不能性と観察困難さから、長い間科学的分析の対象にならなかった。しかし20世紀後半にはタキオンや時間逆行に関する理論が発展し、この生物が単なる迷信ではなく物理的存在である可能性が注目された。 

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#### 5. 実験記録の抜粋 
- **捕獲の試みの歴史（主な事例）:** 
  - **1947年:** 密閉容器での捕獲を試みたが、容器の破損により失敗。
  - **1949年:** 殺虫ガスでの捕獲を試みたが無効であった。  
  - **1972年:** 逆行虫に接触しようとした研究者アラン・カーター博士が、不明な理由で心停止に陥り死亡。逆行虫を呼び出すために予定されていた家畜の屠殺は、中止された。この際、屠殺予定だった家畜ではなく、博士の死体に逆行虫が群がった。
  - **2002年:** 自動化したロボットアームによる捕獲を試みるも、ロボットアームが不明な動作異常を起こし自壊。 
  - **2023年:** 高精度なタキオンフィルターを使用した捕獲装置のテストが行われたが、装置内の時間データに異常が発生し実験中止となった。 

- **1972年:** カーター博士の死亡事件を契機に、逆行虫が単なる「迷信」ではなく、物理現象を伴う存在であることが広く認識され、1990年代に現在の仮説が提唱された。 
- **2009年:** 時間逆行の影響を解析するため、タキオン測定装置を用いて観察を試みた結果、幼虫が局所的に時間流を逆行していることが数値として記録された。 
- **2023年:** 繭や成虫の理論モデルが提唱されるも、観測は未だ成功していない。 
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#### 6. 仮説と理論 
- **異常性のメカニズム:** 
  逆行虫は未来の死骸を起点とし、時間を遡る形で過去の世界に出現する。この現象はタキオン粒子が関与する時間逆行の特殊現象である可能性が高い。幼虫は構成要素にタキオンを含むと考えられている。成虫は純粋にタキオンで構成されているという仮説がある。
- **現象の影響:** 
  捕獲・殺傷が失敗する理由として、因果律の崩壊を回避するメカニズムが働いている可能性が示唆されている。 
- **未解明の点:** 
  - 繭および成虫の存在場所。 
  - 幼虫が持つ溝状の模様の機能。 
  - 幼虫の逆行時間範囲の限界とその発生条件。 

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#### 7. 文献と脚注 
- **参考資料:** 
 1. Smith, J. & Carter, A.「逆行する虫について」『虚界生物』 14(3), 215–227,1972.
2. 西洋伝承記録集15巻 影の民話集 （1893年) 
3. Kowalski, M.  「Death-Harbinger とInversopodusの相同性」『東欧超生物学会誌』2, 12-15,1990.
4. Marcus, A. (Ed.)「タキオンに関する基礎理論と応用」Royal Academy Press,2021.

- **脚注:** 
  - タキオン: 光速を超える速度で移動する仮想的粒子。 虚数の質量を持ち時間を逆行する。
  - 因果律:「原因が起きて、その結果が生まれる」という順序を覆せない、という世界の基本的なルール。たとえば結果（車の事故）を観測したあとに、原因（そもそも人が車を運転していた事実）を変えることはできない、という考え方を指す。
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