猫のサーヴァント

珈琲月

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第1話 猫に転生したようです

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 暑い。うだるように暑い。滝のような汗をかいているうちに、視界がぐわんぐわんと揺れたかと思うとあっさりと意識を失った。

 気が付くと、どうやら俺は見覚えのない日本家屋の中で横になっているらしい。灼熱の街中を歩いていたはずだが、倒れたところを運ばれたのだろうか。だが、都内それも都心にこんなノスタルジックな家なんてあるのかな。

「目が覚めたようじゃな。堂佛快人どうぶつかいと
「何で、俺の名前を?かばんか何かを弄ったのか?」

 見た目、十歳になるかどうかという巫女姿の少女が部屋に入ってくるなりそんなことを言ってきた。怒る気はない。倒れた人間の身分を調べるのは、身の安全のためにも重要だろう。

「わらわは、お前らが言うところの神じゃ。そのぐらいわかる。早速じゃが、お前のことを異世界に転生させてやろう」

「お嬢ちゃん。ごっこ遊びの前に、話の分かる大人を連れて来てくれないか?」

「戯け。わらわは、お前より数十万年長生きしとるわ。――まあよい。その程度の戯言で心を閉ざすほど、わらわは狭量ではない。水に流そうぞ。では、これを三度みたび回すが良い」

 彼女はそう言うと袖から新井式回転抽選機福引の時に回すアレを取り出した。収納上手にも限度がないか?

「玉が三つ出るまで回すがよい」

 恐る恐ると言った感じにハンドルをもって回すとなるほど、中に大量の玉が入っているのか、があらがあらと音がする。最初に出たのは、赤だ。

「ふむ。赤の79か。幸先がいいのう、賢者の石じゃ。ほれ」

 目の前のロリ巫女は赤いダイヤモンドみたいな石を俺の額にぶつけやがった。痛みはない。ただ、熱い。全身が燃やされたような感触を覚えたが、その熱は驚くほどあっさりとひいた。

「次じゃ次」
何だったんだ、今のは。赤い石はどこにも見当たらない。あの時受けた感覚はまるで、俺の中に石が入り込んだようなそれだが……まさかな。

 首をひねりつつも、もう一度回すと今度は白い玉。番号は04とある。次は何をされるのか。

「白の04。……こわあ。お前の引きの良さは、何なんだ。今度は、他人の大脳に干渉する能力だと。もう対人戦は最強だな」

 ロリ巫女(絶対に神などと呼ぶものか)は徳利を出すとそこから白い液体を蛇のように宙に流し俺の顔面へと襲わせた。

「わっ……ぷ!?本当に、こいつは」
「ほほほ。最後じゃ。だんだん楽しくなってきたぞ」

 があらがあらと福引のアレを回し出た玉は青の44番。

「ふむ。巨大化だったら愉快であったが、猫か。こんなものじゃろうて」
今度は、金の鈴だ。それをこっちに投げてよこすと、少女はみるみるうちに巨大化していく。

「わらわが大きくなったのではなく、お前が小さくなったのじゃがまあよい。達者でな」
不意に床が消え、堕ちていく感覚に襲われた。俺は反射的に丸くなると4本の脚や尻尾が見える。これが俺の――?本当に猫になったのか、俺は。

『我は呼ぶ。伴侶のごとき従者を。木は火に焚かれ、火は土を照らし、土は金を孕み、金は水を湛えよ。天よ、風に我が調べを運べ。我が言霊を聴きし英霊よ。今こそ、我が前にて額づくがいい!!――召喚ウエルカム!!』

 腰を両手でつかまれる感覚と共に俺はその声に引きずられていき、まばゆい閃光に目を閉ざすと連れていかれた先は学校の体育館のような場所だ。

 俺のいる場所は舞台の上で、その上には五芒星による魔法陣が描かれている。しかも、5つの頂点はそれぞれエメラルド、ルビー、トパーズ、黄金、サファイアがそなえられているところをみると本格的な奴っぽい。

 体育館にはほかにも大勢の教員や生徒がおり、水を打ったような静けさが支配していたがどっと爆笑の渦に包まれるのにそう時間はかからなかった。

「先生!これは、何かのミスです!野良猫が、入り込んできただけですわ!」
「認められません。ミス・アインシュテルン。この猫が現れるとき確かに魔力の観測をしましたし、なによりあなたの首にはサーバントの証があるではありませんか」

 言われてみれば、抗議している女の子の首には赤い首輪が付いていた。
「何で、こいつじゃなくて私にサーバントの証があるのお!?」
ファッションで着けてたんじゃないのか?それ。
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