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31 桜を背景にした君は…。
しおりを挟む次の日。
葵を起こさずゆっくり寝かせておいた。
葵が起きてくると、俺は簡単な食事を作り一緒に食べた。時間的にブランチだ。
それから葵を捕まえて早速ベッドへと向かった。
「今日晴れてるよ?お出掛けしよ?今の時間からでもまだ楽しめるよ?」
「今日はだめ。イチャイチャする日。」
「…昨日の夜…いっぱいしたよ?」
葵は少し照れながらそう言った。
そんな葵を押し倒し、下着とズボンを剥ぎ取った。
「待ってっ。そんないきなりっ。」
俺は葵の脚を広げると、そこを舐めはじめた。
「んんっ…」
可愛く勃ったところを舌先で弾いたり、唇で優しく吸ったり、それをしばらく続けた。
だめだ。
焦ったらだめだ。
俺はそこから一旦離れると、首筋を舌でなぞった。それから少しずつ下に下がっていき、葵の体をたっぷりと可愛がった。
また葵の脚を開くそこを舐める。
両側に指を置いて広げながら押し上げそこを剥き、勃っているところを直接舐めた。
「あっるかくんっ…いやっ。」
俺はそれでも続けた。
「あっん…んんっっ…」
しばらくして葵がイッたのを確認すると、俺はそこを広げすぐに舌を入れた。
「あんっ…だめるかくんっ…」
やめないよ、葵。
あいつの舌を上書きしないといけないから。
もう二度とあいつから受けた感覚を思い出さないように。
俺は上側を舌先を硬くして細かく刺激を与えてみた。
「ふぅんっ…あぁっ…」
葵がちゃんと反応してくれた。
よかった…。嬉しい…。
俺は初めてこんなことをしたから不安だった。
それから掻き出すようにもしてみた。
「んっ…はぁっ…」
葵はちゃんと気持ちよくなってる。
それから舌先を尖らせて、葵の弱いところをグリグリするようにしてみた。
「ぁあっ…んんっ…」
俺はしばらくそれを続けた。
「るかくんっわたしもうっ…」
葵はビクンとしてイッた。
嬉しい…。
俺は葵の顔を見た。
恥ずかしそうな表情をして、目に涙を溜めていた。
「琉佳くん…恥ずかしいよ…。」
「でも葵イッてた。」
「…どうしたの…?急に…。」
そんなことは口が裂けても言えない。
「葵の…全部を食べたくなった。」
「…もう琉佳くんは…全部食べてるよ…。」
葵はごにょごにょしながらそう言った。
なんだこのかわいい生き物は。
俺は葵を抱きしめた。
「葵…大好きだよ。愛してるよ。」
「私も…愛してるよ。」
あいつに負けないように、俺もこれからはたくさん葵に好きだと伝えよう。
それから葵の中にゆっくりと入る。
俺も…俺の名前を呼んで葵にイッて欲しい。
でもあいつみたいに言わせたくない。
自然に…言ってはくれないだろうか…。
どうすれば…。
そう考えながら動いていた。
「あっ…るかくんっもうっ…」
葵は俺の首にしがみつくように腕を回してイッた。
その次は俺の腕を掴みながらイッていた。
俺ももうイキそうだ。
やっぱりあいつより持続力はない。
悔しかった。
「葵…俺もうイキそう…」
「わたしもっ…るかくんいっしょにっ…」
葵が可愛いことを言っていた。
そうだな。
一緒にイこう…。
「…もうイク…あおい…」
「あっっ…るかくんっっっ…」
…。
俺の名前で…。
簡単なことだった。
俺が葵の名前を言えば葵も俺の名前を…。
これが癖付いてくれれば…
葵が1人でイク時も言ってくれるようになるかもしれない。
俺はすぐに葵を抱きよせた。
「好きだよ。」
「私も好き。」
「…同じだな。」
俺は葵がよく言ってくれる言葉を真似して言った。
「うん…同じだね…。」
葵は優しい声でそう返してくれた。
「もう1回いい?」
「…いいよ。」
俺はゴムを付け替えるとまた葵の中に戻った。
好き。
葵好きだ。
…。
ちゃんと言葉にしないと…。
「葵…好きだよ。」
「…今日はどうしたの…?」
葵がそう声をかけてきたから俺は動きを止めた。
「なにが?」
「なんか…いつもと違う。」
「…好きだよ。」
「…私も好きだよ?」
葵はそう言って俺の頬に手を添えた。
「葵の手あったかい。」
俺も葵の頬に手を添えた。
「琉佳くんもあったかい。」
葵はそう言うと、俺の手に頬を擦り寄せた。
かわいすぎるだろ…。
俺は葵にキスをし、それから動きだした。
俺はたくさん葵の名前を呼んだ。
「葵…気持ちいい?」
「んっ…はぁっ…るかくんっ…」
「気持ちいい?」
「きもちぃっ…」
「好きだよ…葵。」
「あっ…わたしもっ…」
「ちゃんと言って?」
「るかくんすきっ…」
「…葵…。」
「んあっ…るかくんっ…」
「葵もうイキそう?」
「あっ…うんっ…」
「…葵…」
「ぁあっ…はぁっ…るかくんっっ…」
…また…俺の名前で…
俺が葵の名前を呼べば葵は…
あいつが無理に言わせていた言葉を、俺は葵から簡単に引き出せた。俺は優越感に浸った。
この日から俺は、今まで以上に葵に好きだと伝え、葵の名前を口にすることが多くなった。
俺たちは前よりも仲が深まったように感じた。
葵の甘えん坊も健在だ。
季節は流れ春が来た。
もうすぐ暖かくなる。
桜も満開と言っていいほどに見事に咲き誇っていた。
「琉佳くん大変っ。」
「どうした?」
葵のそんな声が聞こえてすぐに駆けつけてた。
「炊飯器…壊れちゃったみたい…。」
「あー、最近調子悪かったもんな。」
「ごめん。今日のお弁当無理だ。ご飯炊けてない。」
「今日仕事が終わったら買いに行こ?」
「うん。今までよく頑張ったね君。ありがとね。」
葵は一人暮らしの時から使っていた炊飯器にそっと触れると、そう声を掛けていた。
「ははっ。そうだな。今までありがとな。」
俺も炊飯器にお礼を言った。
会社の近くまで着くと、また今年も葵満面の笑みこう言った。
「琉佳くん見てっ。もうこれ満開だよねっ?」
そう言う葵はとてもかわいかった。
仕事が終わり、帰ろうとすると上司に呼ばれた。
葵には先に電気屋に行って炊飯器を見繕ってくれと伝えてから俺は上司の元へ向かった。
上司との話がやっと終わり、会社を出て電気屋に向かおうと早足に歩いていると、遠くを見つめながら立ち尽くしている葵の姿があった。
葵のそばには桜の木があった。
その姿がなんだか儚く、切なく見えた。
何事かと思い駆け寄ると、葵の目には涙が溜まっていた。
「どうした?具合悪い?それとも何かあった?」
葵の肩を掴みながらそう聞くと、葵は俺の方を向いて瞬きを1回だけした。
その1回の瞼の動きで葵の目に溜まった涙がツーっと一筋の道を作り流れた。
「どうした?」
「…白石さんが…」
白石…
あいつまだ…
俺は瞬間的に頭に血が上った。
「あいつが来たのか?何か脅されたのか?」
俺は捲し立てるようにそう聞いた。
葵は首を左右に振った。
「…ごめんって…もう会うことはないからって…」
…じゃあ…なんで葵は今泣いているんだ?
俺は胸がざわざわとして気持ちが悪かった。
葵が怯えている様子はない。
じゃあなんで泣いてるんだ?
なんでそんなふうに涙を流してるんだ?
「なんで泣いてるの?」
「…ごめん…たぶんびっくりしたんだと思う。もう会うことはないと思ってたのに急に現れたから…。」
違う…。
そんなふうには見えない。
…もしかして…少しでもあいつに気持ちが傾いていたんじゃないのか?
葵の切ない表情が俺にそう思わせた。
急に不安になった。
俺はあいつが葵を優しく抱いている姿を思い出してしまった。
葵の手を握り指を絡め、何度も葵に好きだと言っていたあいつの姿を…。
倍速で見たりしていたからちゃんと全部は見ていない。でも…俺はそんなあいつの姿を思い出してしまった。
「琉佳くん。あのメモリーカードとパソコン…もう破棄したい。」
「…なんで?」
「もう大丈夫だから。」
「なんでそう思うの?」
「もう大丈夫だから。彼は二度と私には近づかないから。」
「…葵はそれでいいの?念の為に取っておいた方がいいんじゃない?」
「大丈夫だから。」
葵は“大丈夫だから”と頑なにそう言って、それ以上は何も言わなかった。
他にも…何か言われたんじゃないのか?
でも葵はやっぱりそれ以上は何も言わなかった。
今日は電気屋には寄らずにそのまま家に帰った。
「琉佳くん、あの紙袋出して?」
俺は言われるがままにあの紙袋を葵に渡した。
「なんで…SDカードが3枚もあるの…。」
しまった…。
葵は知らないんだった。
あいつと葵との隠し撮り…。
「2枚は俺たちの動画で、もう1枚は俺が録音したデータだよ。」
俺は嘘を吐いた。
「…そっか…。」
葵はそう言うとSDカードをハサミで切っていた。それからドライバーでノートパソコンを分解し始めた。
「…工具が必要…」
葵はそこで手を止め分解するのを諦めていた。
俺はそんな葵を抱きしめた。
「葵…好きだよ。」
「…私も琉佳くんが好きだよ。」
葵はそう返してくれた。
でも…
俺は嫉妬で狂いそうになっていた。
葵のあの涙が、あいつを思って泣いているように見えたから。
俺は葵をベッドに連れて行き抱いた。
「あっ…るかくんっ、もうムリッ…」
体をひねって逃げる葵を捕まえ、俺は抱き続けた。俺は自分を抑えることができなかった。
葵の限界がきても夢中になって葵を抱き続けた。
気がつけば葵はぐったりとして落ちていた。
俺はそんな葵を抱きよせた。力強く…
この腕の中から葵がいなくならないように…
葵がずっと俺のそばにいるように…
そう思いながら眠りについた…。
次の日。
葵はホームセンターに寄りたいと言って2人で寄り道をした。
そこのホームセンターの2階には電気屋もあったからそこで炊飯器を買った。
葵は工具を色々と見て買っていた。
帰るとすぐに葵はパソコンからハードディスクを取り出し水に沈めていた。
それから俺に抱きついてきた。
「…大丈夫か?」
「…うん…スッキリした。」
俺は葵の顔を見た。
…。
少しだけ…切ないような顔をしていた。
あいつのことを…思ってるのか…?
俺はまた嫉妬で狂いそうになった。
葵を後ろから抱きしめるとスカートの裾から手を入れ下着をずらしてそこをなぞった。
葵の敏感なところに指を当てるとそこを撫で、濡れてきたのを確認すると、指を中に入れかき回した。十分に濡れたところで俺のを入れ葵をきつく抱きしめ腰を動かす。
「あっんっ、まってっ…るかくんっ」
待たないよ。やめないよ。
葵があんな顔をするからいけないんだよ。
しばらく続けていると葵は上り詰めた。
それから葵を抱きかかえるとベッドへ連れて行き、服を全部脱がせた。
裏ももを押し上げ奥を攻める。
今度は両脚を俺の肩に掛け葵の腰を浮かせまた奥を攻める。
あいつのことなんて考えるな。
あいつを思ってそんな顔をするな。
あいつを思って涙を流すな。
「葵、俺のこと好き?」
「ぁあっ…すきっ…」
「愛してる?」
「もうだめっ…ああっっっ…」
葵は全身をガクガクとさせていた。
俺は葵の脚を下ろし動き続けた。
「まってっ、だめっ」
止まらなかった。止められなかった。
本当はこんな抱き方したくないのに…
俺は自分を止められなかった。
俺は動き続けた。
気がつくと葵は涙を流してぐったりとしていた。
俺は…
俺は…
なんてことを…
こんな犯すように葵を抱いて…
こんな…
こんな…
葵はちゃんと俺を選んだのに…
醜い…
こんな醜い嫉妬で葵を…
俺はボーッと葵を見ていた。
少し呼吸が落ち着いた葵が俺に手を伸ばしてきた。
「愛してるよ…琉佳くん。」
葵は心配そうな顔で俺にそう言った。
その言葉を聞いて、罪悪感でいっぱいになった。
俺はすぐに葵を抱きしめた。
「葵…ごめん…。」
「…どうして…?」
「あんな抱き方…。」
「大丈夫だよ。」
葵はそう言って抱きしめ返してくれた。
ごめん…
ごめん葵…
葵はそれからスッと眠りに落ちた。
あれから葵は切ないような顔はしていない。
でも…
俺はあの姿が目に焼きついてしまっていた。
桜を背景にした葵の、儚く切ない姿が…。
その葵の姿が…
息を呑むほどに…とても美しかった…。
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