102 / 104
Ⅶ
9
しおりを挟む重なる角度が変わって、唇がもっと深く交わっていく。何が起こっているのか分からなくて固まっていたら、唇の間から彼の舌が僕の口の中に入り込んで来た。
「っ、ん、ぅ……っ⁉︎」
退きそうになる体を翔の腕が強引に引き戻す。いつの間にか向かい合う姿勢になっていて、翔の熱がもっと伝わってきた。彼の胸に手を当ててもがいたら、腰をぐっと引き寄せられる。
逃げる僕の舌を、彼の舌が絡め取って吸う。吸われるたびに体の力が抜けていった。
「……っ、ンぁ……ぅんっ!」
少し離れると外気が口の中に入り込んで冷たい、もう終わるかと思ったら、また彼が僕の中に入っていった。そんな気ないのに翔の舌の動きを僕は追ってしまう。受け入れることしかできなくて困惑しているのに、背中にゾクゾクした刺激が通り抜けていった。
離れていったのは僕の体の力がすっかり抜けてしまった時だった。
「ふ、っ、はぁっ……は、っ……な、に……」
「……優月」
完全に離れた唇が僕の頬をすり抜けて耳元で僕の名前を囁く。
下腹にきゅう、と力がこもってしまって、僕は思わず目を閉じた。
なに、これ。
「気持ちよかった……?」
「ん、っ……」
掠れがかった翔の声と吐息が耳元でこそばゆい。首の付け根に啄ばむようなキスをされた。
「……あ、っ……!」
些細な刺激にも跳ねる体に困惑する。
どうしよう僕変かも。
「よさそうでよかった……」
翔が僕を一際強く抱き込んでそう言う。
よさそうってなに。
僕の反応が……? これ、って、いいこと……なの?
「シたことないけど学んではいるからね、俺って意外と勉強熱心だからサ。まだ十代だし?」
なんか言われてるけど頭の処理が追い付いていなかった。
翔の指が僕の口元をなぞっていく。
「これから覚悟してね……? ずっと妄想で優月を抱いてたよ」
全身で思った。食べられる。
絶対これ食べられる。今だって全然、僕を離してくれない。ちょっとでも離れようものならもっと抱き込もうとする腕の力だった。
僕、食べられる……でもなんだろうこの疼く感じは、甘い感じは何?
もしかして食べられたいって思ってる……? 嘘。
「や、優しく、して……」
「うん、もちろん……次に会った時は最後までさせてね……?」
翔の眼差しに息を呑んだ。
見たことない顔してる。
怖いのに、ぞくぞくした。
僕は思わず視線を外して彼の胸に顔を埋めた。自分でも自分の気持ちが分からなくて混乱する。僕の気持ちを察したみたいに、翔は束縛を解くと優しく頭を撫でてくれた。しばらく放心状態だった。
0
あなたにおすすめの小説
出来損ないΩの猫獣人、スパダリαの愛に溺れる
斯波良久@出来損ないΩの猫獣人発売中
BL
旧題:オメガの猫獣人
「後1年、か……」
レオンの口から漏れたのは大きなため息だった。手の中には家族から送られてきた一通の手紙。家族とはもう8年近く顔を合わせていない。決して仲が悪いとかではない。むしろレオンは両親や兄弟を大事にしており、部屋にはいくつもの家族写真を置いているほど。けれど村の風習によって強制的に村を出された村人は『とあること』を成し遂げるか期限を過ぎるまでは村の敷地に足を踏み入れてはならないのである。
わがまま子息は七回目のタイムリープで今度こそ有能執事と結ばれる! ……かな?
大波小波
BL
上流階級・藤原家の子息である、藤原 昴(ふじわら すばる)は、社交界の人気者だ。
美貌に教養、優れた美的センスの持ち主で、多彩な才覚を持っている。
甘やかされ、ちやほやされて育った昴は、わがまま子息として華やかに暮らしていた。
ただ一つ問題があるとすれば、それは彼がすでに故人だということだ。
第二性がオメガである昴は、親が勝手に決めた相手との結婚を強いられた。
その屋敷へと向かう道中で、自動車事故に遭い短い人生を終えたのだ。
しかし昴には、どうしても諦めきれない心残りがあった。
それが、彼の専属執事・柏 暁斗(かしわ あきと)だ。
凛々しく、寡黙で、美しく、有能。
そして、第二性がアルファの暁斗は、昴のわがままが通らない唯一の人間だった。
少年以上・青年未満の、多感な年頃の昴は、暁斗の存在が以前から気になっていた。
昴の、暁斗への想いは、タイムリープを繰り返すたびに募る。
何とかして、何としてでも、彼と結ばれたい!
強い想いは、最後の死に戻りを実現させる。
ただ、この七回目がラストチャンス。
これで暁斗との恋を成就できなければ、昴は永遠に人間へ転生できないのだ。
果たして、昴は暁斗との愛を育み、死亡ルートを回避できるのか……?
黒とオメガの騎士の子育て〜この子確かに俺とお前にそっくりだけど、産んだ覚えないんですけど!?〜
せるせ
BL
王都の騎士団に所属するオメガのセルジュは、ある日なぜか北の若き辺境伯クロードの城で目が覚めた。
しかも隣で泣いているのは、クロードと同じ目を持つ自分にそっくりな赤ん坊で……?
「お前が産んだ、俺の子供だ」
いや、そんなこと言われても、産んだ記憶もあんなことやこんなことをした記憶も無いんですけど!?
クロードとは元々険悪な仲だったはずなのに、一体どうしてこんなことに?
一途な黒髪アルファの年下辺境伯×金髪オメガの年上騎士
※一応オメガバース設定をお借りしています
魔王に転生したら、イケメンたちから溺愛されてます
トモモト ヨシユキ
BL
気がつくと、なぜか、魔王になっていた俺。
魔王の手下たちと、俺の本体に入っている魔王を取り戻すべく旅立つが・・
なんで、俺の体に入った魔王様が、俺の幼馴染みの勇者とできちゃってるの⁉️
エブリスタにも、掲載しています。
ペイン・リリーフ
こすもす
BL
事故の影響で記憶障害になってしまった琴(こと)は、内科医の相澤に紹介された、精神科医の篠口(しのぐち)と生活を共にすることになる。
優しく甘やかしてくれる篠口に惹かれていく琴だが、彼とは、記憶を失う前にも会っていたのではないかと疑いを抱く。
記憶が戻らなくても、このまま篠口と一緒にいられたらいいと願う琴だが……。
★7:30と18:30に更新予定です(*´艸`*)
★素敵な表紙は らテて様✧︎*。
☆過去に書いた自作のキャラクターと、苗字や名前が被っていたことに気付きました……全く別の作品ですのでご了承ください!
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる