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第88話 マルコの覚悟
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自分の足首の横に無造作に置かれたメイス。それが何を意味しているのか、マルコはすぐに理解した。
ハッタリだとは思わない。九条は確実にやる男だ……。ロイドの時だってそうだった。模擬戦というルールがなければロイドは死んでいたかもしれない。
本当はプラチナなのに、カッパープレートだと偽ってロイドを笑い者にしたのだ。許せるわけがない。
公式見解ではギルドの適性鑑定に不具合があったと発表されているが、絶対に九条が裏で手を回したに違いないのだ。
(卑怯な事しやがって……)
だが、プラチナには敵わない。
(拷問? やれるものならやってみろ! 俺はこんな卑怯な奴には絶対に屈しない!)
九条に押し切られ、皆は振り返りつつも心配そうに部屋を出て行く。その対象はマルコではない。九条がやり過ぎないかが不安だった。そして扉が閉まると、部屋にはマルコと九条の2人きりだ。
「マルコ……。なんで口を割らないんだ……。モーガンに頼まれたんだろ? そう言えばいいじゃないか」
「……」
「何か弱みでも握られているのか?」
「……」
「……はぁ、残念だよ。……悪いけど男には容赦しないからな」
飄々と話していた九条の顔が悪魔のような形相へと変化し、低い声で囁かれた一言でマルコは鳥肌が立った。
そして九条のメイスが天高く振り上げられたのだ。
「すいませんでしたっ!! それだけは勘弁して下さいっっ!!」
ベッドの上で瞬時に土下座したマルコは、秒で屈したのだった。
――――――――――
九条が部屋の中から皆を呼んだ。
中の惨状はさぞ酷いことになっているのだろうと憂慮した皆であったが、部屋の中には特に変わったところは見当たらない。
部屋中血まみれで、それを見ている九条が悪魔のように下品な笑い声を上げている……くらいは覚悟していたのだが、拍子抜けであった。
ベッドの上には真顔で正座するマルコ。
逆に拷問もなしに、どうすればこうまで心変わりするのかと気になったほどだが、誰もそれを口にはしなかった。
「じゃぁ、最初から話してくれ」
九条がそう言うと、マルコはこくりと頷いた。
「従魔試験当日の朝、モーガンというカーゴ商会の男が納品だと言って荷物を持って来た。いつもと違う時間だからおかしいと思ったんだ。だがそいつはカーゴ商会の証を持ってた。馬車から荷物を降ろしていると、九条の話題になったんだ。ロイドとの事を知っていた。そしてウルフの相場の話になって、九条がウルフを連れて来るから、この飼料を食べさせるようにと言われたんだ。そいつは僕に恨みを晴らすチャンスだと言った。ちょっとお腹を壊すだけだから大丈夫だと。まあ、それくらいならと……」
それを聞いた九条は少しの間思案した後、ロバートに視線を移す。
「ロバート。2つほど聞きたいんだが、俺が従魔登録するというのはどれだけの人が知っていたんだ?」
「恐らくほぼ全てのギルド職員が存じております。そもそも1回の登録で85匹分のプレートを用意することなど初めてのことで、話を聞いた時には既に噂になるほどでして……」
「そうか……。じゃぁ、もう1つ。ギルドに納品された物は何処が買い取るんだ?」
「一応大手3社が契約されています。九条様の従魔登録時はカーゴ商会だったと思います」
「マルコ。お前、バレたら自分に責任が及ぶとは考えなかったのか?」
「まさか致死性の毒とは思わなかったんだ! それくらいじゃクビにはならないだろうと……。もし僕がこの件でギルドを辞めることになれば、カーゴ商会で雇ってくれるって話だったんだ……。カネも前金でもらって……」
「ちょっと九条? そのモーガンってのとあなたは知り合いなの?」
ネストとバイスは九条が従魔登録に来た日からのことしか知らないのだ。当然の疑問だろう。
「まあ、知り合いと言えば知り合いですが……。ちょっと話が長くなるので場所を変えましょうか。もうマルコから聞くこともないですし」
「いいわ。じゃぁ私の屋敷に。ロバートはどうする?」
「私もご一緒させて下さい。お話の様子からどうやらカーゴ商会が絡んでいるのは間違いなさそうです。これはギルドの問題にも関わりますので」
ネストの屋敷に到着すると、見覚えのある馬車が止まっていた。王家の紋章が描かれているそれは、第4王女専用の物だ。
「お邪魔させていただいてますよ。ネスト」
王女は案内された部屋で椅子に座りくつろいでいた。ティーカップを片手に、優雅に午後のお茶を楽しんでいるといった雰囲気。
ネスト達が今日スタッグに帰ってくるのは知っていた。ということは九条も一緒ということだ。
特に用事はなかった。だがモフモフしたいが為だけにお邪魔したのだ。それだけの為に連れ回されるヒルバークが不憫でならない。
「お初お目にかかります王女様。わたくしギルドの支部長を務めさせていただいておりますロバートと申します。以後お見知りおきを」
しっかりと礼儀作法も心得ているのは、さすがギルドの支部長といったところ。
ミアとリリーが従魔と戯れている間、九条は今までのことを淡々と語り始めた。
金の鬣から逃げて来たコクセイ達のこと。それを狙うキャラバンに炭鉱への無断侵入。盗賊から襲われたことに、従魔登録をするまでだ。
「……なるほど。カーゴ商会がウルフ素材欲しさに動いていたということね」
「確かに現在のウルフの買い取り相場は普段の5倍ほどです。商人が欲しがるのも頷ける。仮にそのモーガンと言う男とマルコの目論見が成功していれば、ギルドから買い取るのはカーゴ商会だ。末端価格を考えれば、かなりの儲けになるでしょう」
「そうだな。生きてようが死んでようが買い取り価格はさほど変動しない。だが少々やり過ぎたな。敗因は九条を舐めてかかったってトコだろう」
話の流れからも、黒幕はモーガンで間違いないという結論へと至る。ただ、それが個人的なものなのか、商会の命令なのかはまだ明らかではないのが正直なところだ。
「それにしてもモーガンは上手いことマルコに目を付けたわね……。どこからロイドの話を聞いたのかしら?」
「それはマルコ本人の所為でしょう。ロイドのことは九条様が卑怯な手を使ってハメた、などと吹聴して回っていたようで……。注意はしたのですが……」
「その話がモーガンの耳に入り、利用されたのか」
「申し訳ございませんでした九条様。ギルドはカーゴ商会との契約を打ち切ります。マルコにもそれなりの罰を与えるということで、許してはいただけないでしょうか?」
九条は難しい顔で顎に手を当てていた。ロバートの申し出が不服な訳じゃない。どうすればモーガンに一泡吹かせてやれるのかを真剣に考えていたのである。
それはそれほど長い時間ではなかった。
「王女様すみません。少しだけ相談したいことが……」
――――――――――
「九条? 大丈夫? 緊張してない?」
「ええ、もちろん。王宮には何度かお邪魔してますし、慣れたもんですよ」
あれから数日。俺はバイスに借りたぶかぶかのスーツで、王宮へと向かう馬車の中にいた。ネストにバイスにミア、それと4匹の従魔達も一緒だ。
馬車の中で式典の流れを確認すると、ほどなく馬車は王宮へと辿り着く。
俺達の為だけに開催される叙勲式典。点数稼ぎに忙しい貴族達もぞろぞろと集まって来ていた。
「やれやれ。やっと一息つける」
大きなソファにドカっと腰を下ろすバイス。授与式までは割り当てられた控室で待機である。
沢山の貴族達の相手は大変だ。受勲おめでとうございますに始まり、べた褒めの嵐。慣れていない俺はその全てをネストとバイスに任せていたが、社交辞令的なものなのだろう。
控室の扉がノックされると、入って来たのはドレスに身を包んだリリーだ。それは曝涼式典の時と同じ純白のドレス。
「本日は受勲おめでとうございます」
他人行儀に言うリリーは自分でそう言っておいて、クスクスと笑っていた。
一緒にいたのはヒルバークではなく、見知らぬ男性。歳は50歳前後。短髪で口ひげが凛々しい中年の男だ。
背が高く身長は180センチほどあるだろうか。スーツがビシッと決まっていて、ダンディなおじさまといった雰囲気を醸し出している。
「始めまして九条様。マイルズ商会の会長をさせていただいておりますウォルコットと申します。本日は受勲おめでとうございます」
「ありがとう。ウォルコット。会えて嬉しいよ」
出された手でしっかりと握手を交わす。
マイルズ商会はリリーの派閥で懇意にしている組織だ。式典の場は商人にとっても重要な場所。貴族に取り入る為、多くの商会関係者も参加している。
貴族は貴族で商人から旨い汁が吸える。所謂賄賂だ。断る理由はない。
しかし、ウォルコットがこの場にいる理由は少し違っていた。
「上手く行くかは不明だが、そうなった場合はよろしく頼む」
「いえいえ、こちらこそよろしくお願い致します。王宮へ商品を卸せるなんて願ってもない機会。いくらでも協力させていただきます」
皆と相談して決めたのだ。モーガンを直接叩くより、カーゴ商会にダメージを与えた方が堪えるのではないかと。
それは結果的に、リリーの勢力を強めることにも繋がる。
王宮に品物を卸している業者はギルドと同じ3社。そこからカーゴ商会の契約を打ち切るとすると、代わりの商会が必要になるだろうと言われ、急遽マイルズ商会に白羽の矢を立てた。
リリーがカーゴ商会の納品書をウォルコットに見せると、すぐに用意できるとの解答だった為、協力をお願いしたのだ。
こう言ったら申し訳ないが、マイルズ商会はグループの規模としては全体で6位とやや劣っている。とは言え、旨味のないリリーに付いて来る商人達だ。ウォルコットの人を見る目に狂いはないだろう。
マイルズ商会の信条は『商売は金より人』だ。それは信用に値する。
「では皆様、わたくしは先に会場へと向かいます。また後程お会いしましょう」
ウォルコットは丁寧に一礼すると、部屋を出て行った。
式典までもう少し。俺達は一連の流れを再度確認し、万全を喫したのである。
ハッタリだとは思わない。九条は確実にやる男だ……。ロイドの時だってそうだった。模擬戦というルールがなければロイドは死んでいたかもしれない。
本当はプラチナなのに、カッパープレートだと偽ってロイドを笑い者にしたのだ。許せるわけがない。
公式見解ではギルドの適性鑑定に不具合があったと発表されているが、絶対に九条が裏で手を回したに違いないのだ。
(卑怯な事しやがって……)
だが、プラチナには敵わない。
(拷問? やれるものならやってみろ! 俺はこんな卑怯な奴には絶対に屈しない!)
九条に押し切られ、皆は振り返りつつも心配そうに部屋を出て行く。その対象はマルコではない。九条がやり過ぎないかが不安だった。そして扉が閉まると、部屋にはマルコと九条の2人きりだ。
「マルコ……。なんで口を割らないんだ……。モーガンに頼まれたんだろ? そう言えばいいじゃないか」
「……」
「何か弱みでも握られているのか?」
「……」
「……はぁ、残念だよ。……悪いけど男には容赦しないからな」
飄々と話していた九条の顔が悪魔のような形相へと変化し、低い声で囁かれた一言でマルコは鳥肌が立った。
そして九条のメイスが天高く振り上げられたのだ。
「すいませんでしたっ!! それだけは勘弁して下さいっっ!!」
ベッドの上で瞬時に土下座したマルコは、秒で屈したのだった。
――――――――――
九条が部屋の中から皆を呼んだ。
中の惨状はさぞ酷いことになっているのだろうと憂慮した皆であったが、部屋の中には特に変わったところは見当たらない。
部屋中血まみれで、それを見ている九条が悪魔のように下品な笑い声を上げている……くらいは覚悟していたのだが、拍子抜けであった。
ベッドの上には真顔で正座するマルコ。
逆に拷問もなしに、どうすればこうまで心変わりするのかと気になったほどだが、誰もそれを口にはしなかった。
「じゃぁ、最初から話してくれ」
九条がそう言うと、マルコはこくりと頷いた。
「従魔試験当日の朝、モーガンというカーゴ商会の男が納品だと言って荷物を持って来た。いつもと違う時間だからおかしいと思ったんだ。だがそいつはカーゴ商会の証を持ってた。馬車から荷物を降ろしていると、九条の話題になったんだ。ロイドとの事を知っていた。そしてウルフの相場の話になって、九条がウルフを連れて来るから、この飼料を食べさせるようにと言われたんだ。そいつは僕に恨みを晴らすチャンスだと言った。ちょっとお腹を壊すだけだから大丈夫だと。まあ、それくらいならと……」
それを聞いた九条は少しの間思案した後、ロバートに視線を移す。
「ロバート。2つほど聞きたいんだが、俺が従魔登録するというのはどれだけの人が知っていたんだ?」
「恐らくほぼ全てのギルド職員が存じております。そもそも1回の登録で85匹分のプレートを用意することなど初めてのことで、話を聞いた時には既に噂になるほどでして……」
「そうか……。じゃぁ、もう1つ。ギルドに納品された物は何処が買い取るんだ?」
「一応大手3社が契約されています。九条様の従魔登録時はカーゴ商会だったと思います」
「マルコ。お前、バレたら自分に責任が及ぶとは考えなかったのか?」
「まさか致死性の毒とは思わなかったんだ! それくらいじゃクビにはならないだろうと……。もし僕がこの件でギルドを辞めることになれば、カーゴ商会で雇ってくれるって話だったんだ……。カネも前金でもらって……」
「ちょっと九条? そのモーガンってのとあなたは知り合いなの?」
ネストとバイスは九条が従魔登録に来た日からのことしか知らないのだ。当然の疑問だろう。
「まあ、知り合いと言えば知り合いですが……。ちょっと話が長くなるので場所を変えましょうか。もうマルコから聞くこともないですし」
「いいわ。じゃぁ私の屋敷に。ロバートはどうする?」
「私もご一緒させて下さい。お話の様子からどうやらカーゴ商会が絡んでいるのは間違いなさそうです。これはギルドの問題にも関わりますので」
ネストの屋敷に到着すると、見覚えのある馬車が止まっていた。王家の紋章が描かれているそれは、第4王女専用の物だ。
「お邪魔させていただいてますよ。ネスト」
王女は案内された部屋で椅子に座りくつろいでいた。ティーカップを片手に、優雅に午後のお茶を楽しんでいるといった雰囲気。
ネスト達が今日スタッグに帰ってくるのは知っていた。ということは九条も一緒ということだ。
特に用事はなかった。だがモフモフしたいが為だけにお邪魔したのだ。それだけの為に連れ回されるヒルバークが不憫でならない。
「お初お目にかかります王女様。わたくしギルドの支部長を務めさせていただいておりますロバートと申します。以後お見知りおきを」
しっかりと礼儀作法も心得ているのは、さすがギルドの支部長といったところ。
ミアとリリーが従魔と戯れている間、九条は今までのことを淡々と語り始めた。
金の鬣から逃げて来たコクセイ達のこと。それを狙うキャラバンに炭鉱への無断侵入。盗賊から襲われたことに、従魔登録をするまでだ。
「……なるほど。カーゴ商会がウルフ素材欲しさに動いていたということね」
「確かに現在のウルフの買い取り相場は普段の5倍ほどです。商人が欲しがるのも頷ける。仮にそのモーガンと言う男とマルコの目論見が成功していれば、ギルドから買い取るのはカーゴ商会だ。末端価格を考えれば、かなりの儲けになるでしょう」
「そうだな。生きてようが死んでようが買い取り価格はさほど変動しない。だが少々やり過ぎたな。敗因は九条を舐めてかかったってトコだろう」
話の流れからも、黒幕はモーガンで間違いないという結論へと至る。ただ、それが個人的なものなのか、商会の命令なのかはまだ明らかではないのが正直なところだ。
「それにしてもモーガンは上手いことマルコに目を付けたわね……。どこからロイドの話を聞いたのかしら?」
「それはマルコ本人の所為でしょう。ロイドのことは九条様が卑怯な手を使ってハメた、などと吹聴して回っていたようで……。注意はしたのですが……」
「その話がモーガンの耳に入り、利用されたのか」
「申し訳ございませんでした九条様。ギルドはカーゴ商会との契約を打ち切ります。マルコにもそれなりの罰を与えるということで、許してはいただけないでしょうか?」
九条は難しい顔で顎に手を当てていた。ロバートの申し出が不服な訳じゃない。どうすればモーガンに一泡吹かせてやれるのかを真剣に考えていたのである。
それはそれほど長い時間ではなかった。
「王女様すみません。少しだけ相談したいことが……」
――――――――――
「九条? 大丈夫? 緊張してない?」
「ええ、もちろん。王宮には何度かお邪魔してますし、慣れたもんですよ」
あれから数日。俺はバイスに借りたぶかぶかのスーツで、王宮へと向かう馬車の中にいた。ネストにバイスにミア、それと4匹の従魔達も一緒だ。
馬車の中で式典の流れを確認すると、ほどなく馬車は王宮へと辿り着く。
俺達の為だけに開催される叙勲式典。点数稼ぎに忙しい貴族達もぞろぞろと集まって来ていた。
「やれやれ。やっと一息つける」
大きなソファにドカっと腰を下ろすバイス。授与式までは割り当てられた控室で待機である。
沢山の貴族達の相手は大変だ。受勲おめでとうございますに始まり、べた褒めの嵐。慣れていない俺はその全てをネストとバイスに任せていたが、社交辞令的なものなのだろう。
控室の扉がノックされると、入って来たのはドレスに身を包んだリリーだ。それは曝涼式典の時と同じ純白のドレス。
「本日は受勲おめでとうございます」
他人行儀に言うリリーは自分でそう言っておいて、クスクスと笑っていた。
一緒にいたのはヒルバークではなく、見知らぬ男性。歳は50歳前後。短髪で口ひげが凛々しい中年の男だ。
背が高く身長は180センチほどあるだろうか。スーツがビシッと決まっていて、ダンディなおじさまといった雰囲気を醸し出している。
「始めまして九条様。マイルズ商会の会長をさせていただいておりますウォルコットと申します。本日は受勲おめでとうございます」
「ありがとう。ウォルコット。会えて嬉しいよ」
出された手でしっかりと握手を交わす。
マイルズ商会はリリーの派閥で懇意にしている組織だ。式典の場は商人にとっても重要な場所。貴族に取り入る為、多くの商会関係者も参加している。
貴族は貴族で商人から旨い汁が吸える。所謂賄賂だ。断る理由はない。
しかし、ウォルコットがこの場にいる理由は少し違っていた。
「上手く行くかは不明だが、そうなった場合はよろしく頼む」
「いえいえ、こちらこそよろしくお願い致します。王宮へ商品を卸せるなんて願ってもない機会。いくらでも協力させていただきます」
皆と相談して決めたのだ。モーガンを直接叩くより、カーゴ商会にダメージを与えた方が堪えるのではないかと。
それは結果的に、リリーの勢力を強めることにも繋がる。
王宮に品物を卸している業者はギルドと同じ3社。そこからカーゴ商会の契約を打ち切るとすると、代わりの商会が必要になるだろうと言われ、急遽マイルズ商会に白羽の矢を立てた。
リリーがカーゴ商会の納品書をウォルコットに見せると、すぐに用意できるとの解答だった為、協力をお願いしたのだ。
こう言ったら申し訳ないが、マイルズ商会はグループの規模としては全体で6位とやや劣っている。とは言え、旨味のないリリーに付いて来る商人達だ。ウォルコットの人を見る目に狂いはないだろう。
マイルズ商会の信条は『商売は金より人』だ。それは信用に値する。
「では皆様、わたくしは先に会場へと向かいます。また後程お会いしましょう」
ウォルコットは丁寧に一礼すると、部屋を出て行った。
式典までもう少し。俺達は一連の流れを再度確認し、万全を喫したのである。
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