220 / 715
第220話 アレックスの秘策
しおりを挟む
「フィリップ。ダンジョンの入口までは後どれくらいだ?」
「このままいけば30分程ですかね」
「そうか。やはり経験者に依頼しただけのことはあるな」
「毎度どうも……。それよりいいんですか? こんなに堂々と不正しても」
「どうせバレっこない。確かにフィリップはバレたが、それだけだと思うのか? それに不正をするなとは言われていない」
「まぁ、アレックス様の事情は知りませんけどね。バレても払う物払ってくれればそれでいいですよ」
最終パーティのチームは特別クラスの4人で構成されている。公爵家のアレックスと侯爵家のブライアンとアンナ。それと伯爵家のレナ。
フィリップ程度ではその誰にも逆らうことは出来ないほどの上流貴族パーティである。
「レナ! 早く来い!」
「すいません。アレックス様……」
その中ではレナが1番下。1人で4人の荷物を持たされていて、フィリップは自分の分だけの荷物を持っているといった状態だ。
「おいおい。アレックス。レナが可哀想だろ? 未来の嫁さんなんだから」
ブライアンはニヤニヤと薄ら笑いを浮かべ、煽るような冗談を口にする。
本来であれば侯爵家が公爵家にタメ口を利くなどあり得ないのだが、彼らの関係はもっと砕けているのだ。
それは冒険者同士の会話とも似ている。表向きは気の合う仲間。対等に近い存在なのである。
「うるせぇ! 言っただろ! この試験でトップを取れば俺は自由なんだ」
「わかってるって。そう怒るなよ。家を説得できてないのはアレックスだけなんだ。お互いの夢の為にも頑張ろうぜ?」
「ちょっと! その中には私も入ってるんだからね? 無視しないでよ!」
アレックス、ブライアン、アンナの3人には共通するものがある。1つは夢。それは冒険者になることだ。
そしてもう1つが、家に対する不満であった。覚えなければいけない100以上もの仕来り。礼儀作法にダンスのレッスン。伝統に作法に風習にと、もうウンザリなのである。
貴族を捨て、自由に生きることこそが彼らの最大の望みであった。上級貴族である彼らの親は、何かと王都に足を延ばすことが多い。
それは会議や会合、祝いの席など様々であるが、彼らはそこで出会ったのだ。そして家の不満をぶつけ合い、意気投合したのである。
その中にはレナもいた。4人は同じ目的を持つ仲間として、いずれは家を捨て独り立ちしようと誓い合った仲なのだ。
もちろんそれが困難なことはわかっている。だが、4人で力を合わせれば乗り越えられると信じて疑わなかった。
ブライアンとアンナは第一子ではない為、家を継ぐことはない。2人は比較的自由な立場であり、苦労こそあれど冒険者になるのもまだ現実的であった。
だが、アレックスだけは違ったのだ。家督を譲られるのは長男であるバリットのはずであったのだが、残念ながらバリットは戦で命を落とした。故に次男であるアレックスが家を継がねばならなくなってしまったのだ。
だが、まだ望みはあった。アレックスが家を継ぐに相応しくない人間であればいいのだ。
ワザと自分勝手に振舞い、親がアレックスを手に負えないと諦めれば養子を考えるはず。最悪、新たに子を成すことも視野に入れるだろうと考えていたのである。それは、あと一歩のところまで来ていた。
しかし、レナが裏切ったのだ。
アレックスは耳を疑った。父から聞かされたのはレナとの婚約発表。それも大勢の貴族のいる前で突然にだ。
レナを問いただしても謝る事しかせず、要領を得ない。だが、アレックスはそんなことで夢を諦める訳にはいかなかったのである。
「アレックス様。戦闘に関することは何も聞いていないんですが、どうすれば?」
「そんなものない。フィリップに任せる。お前が俺達に指示を出せ」
「まぁそれは構いませんが、どうしようもない時は自分で身を守って下さいね」
「わかってるよ。これは前哨戦みたいなもんだ。俺達が冒険者になったらフィリップを専属タンクとして雇うからそのつもりでいてくれ」
「はいはい。期待せず待っておきます」
現役冒険者の指示に従うのが最も安全で確実な方法。何をしようが試験官として採点するのはフィリップだ。最後に高評価を出してくれればなんの問題もないのである。
(九条も甘いな。プラチナだから言うことを聞くと思っているのだろうが、俺は違う……)
不敵な笑みを浮かべながらも森の中を進む生徒達。そして彼等の目の前に現れたのは目的地である試験会場のダンジョンだ。
その入口に待機していたのは見知った顔の4人組。14番目にスタートしたパーティである。
「中はどうなってる?」
「危険級以外は全部掃除済みですアレックス様。アンデッドが殆どを占めていましたが、雑魚ばっかでした」
「よくやった。……で、肝心のクリアの証は?」
「すいません、確保は無理でした。場所は地下7層。ですが、今年の危険級が半端じゃない。何か作戦でも立てなければ獲得は無理かと……」
「お前達はどうしたんだ? 自分達の分は?」
「諦めました。危険級はデスナイトです。残念ですが俺達の実力じゃ勝てそうもない……。恐らくですが全てのパーティは諦めて帰還しているんじゃないかと思います」
「「デスナイト!?」」
驚いて当然だろう。例年であればジャイアントスパイダーやミノタウロスなどが危険級として配置されているのだ。
大体が地下5層から10層程度の魔物である。それくらいの強さであれば、どの生徒達でもパーティで戦えば勝てるレベル。
むしろ、既に倒されているだろうと考えていた。何せ13番目のパーティは最強の王女がいるのだから。
「何かの間違いじゃないのか?」
「大マジです。俺達も命からがら逃げてきたんですよ? 帰還水晶を使うか迷ったくらいです」
「そうか……」
「こうしてそれを伝える為に必死に走って逃げたんですから、もう少し褒めてくださいよ」
「ああ。よくやったな。それで? これからどうする?」
「俺達はこのまま徒歩で村まで帰ります。……そうだ。6層に宝箱のトラップがあります。フィリップさんなら見破るのもわけないでしょうけど一応……」
「よし、地図を寄こせ」
「こちらです。……お気をつけて」
それだけ言うと、14組目のパーティーはそのまま村の方角へと歩いて行った。
アレックスが手を回しているのはフィリップだけではない。木を隠すなら森の中。彼らは、ダンジョン経験者が見つからなかった時の為の保険として前々から買収していたのである。
ここで14番目のパーティからクリアの証を受け取り、頃合いを見て村へと帰るだけで良かったのだ。
それは九条も知り得ないこと。だからこそアレックスには自信があったのである。
「さて、アレックス様。申し訳ないが、デスナイトともなると俺1人じゃキツイ。ソロなら勝てるかもしれないが、守りながらとなると……」
「俺達が真面目に戦えば勝てるか?」
「力を合わせれば確実に勝てます。周りに敵がいなければの話ですが……」
「雑魚は掃除したと言っていたし大丈夫だろう。地下7層までは魔物はいないはずだ。ゆっくり作戦でも立てながら進もうじゃないか」
アレックス達一行は、松明を持つフィリップを先頭にダンジョン内部へと入って行った。
「このままいけば30分程ですかね」
「そうか。やはり経験者に依頼しただけのことはあるな」
「毎度どうも……。それよりいいんですか? こんなに堂々と不正しても」
「どうせバレっこない。確かにフィリップはバレたが、それだけだと思うのか? それに不正をするなとは言われていない」
「まぁ、アレックス様の事情は知りませんけどね。バレても払う物払ってくれればそれでいいですよ」
最終パーティのチームは特別クラスの4人で構成されている。公爵家のアレックスと侯爵家のブライアンとアンナ。それと伯爵家のレナ。
フィリップ程度ではその誰にも逆らうことは出来ないほどの上流貴族パーティである。
「レナ! 早く来い!」
「すいません。アレックス様……」
その中ではレナが1番下。1人で4人の荷物を持たされていて、フィリップは自分の分だけの荷物を持っているといった状態だ。
「おいおい。アレックス。レナが可哀想だろ? 未来の嫁さんなんだから」
ブライアンはニヤニヤと薄ら笑いを浮かべ、煽るような冗談を口にする。
本来であれば侯爵家が公爵家にタメ口を利くなどあり得ないのだが、彼らの関係はもっと砕けているのだ。
それは冒険者同士の会話とも似ている。表向きは気の合う仲間。対等に近い存在なのである。
「うるせぇ! 言っただろ! この試験でトップを取れば俺は自由なんだ」
「わかってるって。そう怒るなよ。家を説得できてないのはアレックスだけなんだ。お互いの夢の為にも頑張ろうぜ?」
「ちょっと! その中には私も入ってるんだからね? 無視しないでよ!」
アレックス、ブライアン、アンナの3人には共通するものがある。1つは夢。それは冒険者になることだ。
そしてもう1つが、家に対する不満であった。覚えなければいけない100以上もの仕来り。礼儀作法にダンスのレッスン。伝統に作法に風習にと、もうウンザリなのである。
貴族を捨て、自由に生きることこそが彼らの最大の望みであった。上級貴族である彼らの親は、何かと王都に足を延ばすことが多い。
それは会議や会合、祝いの席など様々であるが、彼らはそこで出会ったのだ。そして家の不満をぶつけ合い、意気投合したのである。
その中にはレナもいた。4人は同じ目的を持つ仲間として、いずれは家を捨て独り立ちしようと誓い合った仲なのだ。
もちろんそれが困難なことはわかっている。だが、4人で力を合わせれば乗り越えられると信じて疑わなかった。
ブライアンとアンナは第一子ではない為、家を継ぐことはない。2人は比較的自由な立場であり、苦労こそあれど冒険者になるのもまだ現実的であった。
だが、アレックスだけは違ったのだ。家督を譲られるのは長男であるバリットのはずであったのだが、残念ながらバリットは戦で命を落とした。故に次男であるアレックスが家を継がねばならなくなってしまったのだ。
だが、まだ望みはあった。アレックスが家を継ぐに相応しくない人間であればいいのだ。
ワザと自分勝手に振舞い、親がアレックスを手に負えないと諦めれば養子を考えるはず。最悪、新たに子を成すことも視野に入れるだろうと考えていたのである。それは、あと一歩のところまで来ていた。
しかし、レナが裏切ったのだ。
アレックスは耳を疑った。父から聞かされたのはレナとの婚約発表。それも大勢の貴族のいる前で突然にだ。
レナを問いただしても謝る事しかせず、要領を得ない。だが、アレックスはそんなことで夢を諦める訳にはいかなかったのである。
「アレックス様。戦闘に関することは何も聞いていないんですが、どうすれば?」
「そんなものない。フィリップに任せる。お前が俺達に指示を出せ」
「まぁそれは構いませんが、どうしようもない時は自分で身を守って下さいね」
「わかってるよ。これは前哨戦みたいなもんだ。俺達が冒険者になったらフィリップを専属タンクとして雇うからそのつもりでいてくれ」
「はいはい。期待せず待っておきます」
現役冒険者の指示に従うのが最も安全で確実な方法。何をしようが試験官として採点するのはフィリップだ。最後に高評価を出してくれればなんの問題もないのである。
(九条も甘いな。プラチナだから言うことを聞くと思っているのだろうが、俺は違う……)
不敵な笑みを浮かべながらも森の中を進む生徒達。そして彼等の目の前に現れたのは目的地である試験会場のダンジョンだ。
その入口に待機していたのは見知った顔の4人組。14番目にスタートしたパーティである。
「中はどうなってる?」
「危険級以外は全部掃除済みですアレックス様。アンデッドが殆どを占めていましたが、雑魚ばっかでした」
「よくやった。……で、肝心のクリアの証は?」
「すいません、確保は無理でした。場所は地下7層。ですが、今年の危険級が半端じゃない。何か作戦でも立てなければ獲得は無理かと……」
「お前達はどうしたんだ? 自分達の分は?」
「諦めました。危険級はデスナイトです。残念ですが俺達の実力じゃ勝てそうもない……。恐らくですが全てのパーティは諦めて帰還しているんじゃないかと思います」
「「デスナイト!?」」
驚いて当然だろう。例年であればジャイアントスパイダーやミノタウロスなどが危険級として配置されているのだ。
大体が地下5層から10層程度の魔物である。それくらいの強さであれば、どの生徒達でもパーティで戦えば勝てるレベル。
むしろ、既に倒されているだろうと考えていた。何せ13番目のパーティは最強の王女がいるのだから。
「何かの間違いじゃないのか?」
「大マジです。俺達も命からがら逃げてきたんですよ? 帰還水晶を使うか迷ったくらいです」
「そうか……」
「こうしてそれを伝える為に必死に走って逃げたんですから、もう少し褒めてくださいよ」
「ああ。よくやったな。それで? これからどうする?」
「俺達はこのまま徒歩で村まで帰ります。……そうだ。6層に宝箱のトラップがあります。フィリップさんなら見破るのもわけないでしょうけど一応……」
「よし、地図を寄こせ」
「こちらです。……お気をつけて」
それだけ言うと、14組目のパーティーはそのまま村の方角へと歩いて行った。
アレックスが手を回しているのはフィリップだけではない。木を隠すなら森の中。彼らは、ダンジョン経験者が見つからなかった時の為の保険として前々から買収していたのである。
ここで14番目のパーティからクリアの証を受け取り、頃合いを見て村へと帰るだけで良かったのだ。
それは九条も知り得ないこと。だからこそアレックスには自信があったのである。
「さて、アレックス様。申し訳ないが、デスナイトともなると俺1人じゃキツイ。ソロなら勝てるかもしれないが、守りながらとなると……」
「俺達が真面目に戦えば勝てるか?」
「力を合わせれば確実に勝てます。周りに敵がいなければの話ですが……」
「雑魚は掃除したと言っていたし大丈夫だろう。地下7層までは魔物はいないはずだ。ゆっくり作戦でも立てながら進もうじゃないか」
アレックス達一行は、松明を持つフィリップを先頭にダンジョン内部へと入って行った。
21
あなたにおすすめの小説
異世界で魔法が使えない少女は怪力でゴリ押しします!
ninjin
ファンタジー
病弱だった少女は14歳の若さで命を失ってしまった・・・かに思えたが、実は異世界に転移していた。異世界に転移した少女は病弱だった頃になりたかった元気な体を手に入れた。しかし、異世界に転移して手いれた体は想像以上に頑丈で怪力だった。魔法が全ての異世界で、魔法が使えない少女は頑丈な体と超絶な怪力で無双する。
底辺から始まった俺の異世界冒険物語!
ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。
しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。
おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。
漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。
この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――
迷宮アドバイザーと歩む現代ダンジョン探索記~ブラック会社を辞めた俺だが可愛い後輩や美人元上司と共にハクスラに勤しんでます
秋月静流
ファンタジー
俺、臥龍臼汰(27歳・独身)はある日自宅の裏山に突如できた洞窟を見つける。
語り掛けてきたアドバイザーとやらが言うにはそこは何とダンジョン!?
で、探索の報酬としてどんな望みも叶えてくれるらしい。
ならば俺の願いは決まっている。
よくある強力無比なスキルや魔法? 使い切れぬ莫大な財産?
否! 俺が望んだのは「君の様なアドバイザーにず~~~~~っとサポートして欲しい!」という願望。
万全なサポートを受けながらダンジョン探索にのめり込む日々だったのだが…何故か元居た会社の後輩や上司が訪ねて来て…
チート風味の現代ダンジョン探索記。
修学旅行のはずが突然異世界に!?
中澤 亮
ファンタジー
高校2年生の才偽琉海(さいぎ るい)は修学旅行のため、学友たちと飛行機に乗っていた。
しかし、その飛行機は不運にも機体を損傷するほどの事故に巻き込まれてしまう。
修学旅行中の高校生たちを乗せた飛行機がとある海域で行方不明に!?
乗客たちはどこへ行ったのか?
主人公は森の中で一人の精霊と出会う。
主人公と精霊のエアリスが織りなす異世界譚。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
転生特典〈無限スキルポイント〉で無制限にスキルを取得して異世界無双!?
スピカ・メロディアス
ファンタジー
目が覚めたら展開にいた主人公・凸守優斗。
女神様に死後の案内をしてもらえるということで思春期男子高生夢のチートを貰って異世界転生!と思ったものの強すぎるチートはもらえない!?
ならば程々のチートをうまく使って夢にまで見た異世界ライフを楽しもうではないか!
これは、只人の少年が繰り広げる異世界物語である。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる