563 / 715
第563話 亀の甲より年の功
しおりを挟む
「モーニングセット2丁、おまちぃ!」
暫くしてレベッカが運んできたのは、2人が注文していた食事。
拳大の焼きたてパンが2つに温かいスープ。炙った燻製肉にスクランブルエッグ。そして、さっぱりとした果実水。
片方がバスケットに入って包まれていたのは、テイクアウトの為である。
「どうしたんだい? 2人とも……」
リリーとフードルが向き合うテーブル。その雰囲気は、正直言って食事を楽しむものではなかった。
視線を落とし思い悩むリリーに対し、フードルもまた何かを思案している様子で、難しい顔を見せていたのだ。
「フードルさん……。いくら王女様が新入りだからって、いじめるのは良くないと思うけどねぇ」
「違う。バカを言うな。王女様が真剣に悩まれているというのに……」
恐らくはギャップの所為……或いは、フードルが聞き上手だったからなのかもしれない。
恐怖の象徴とも言うべき魔族が、関係の薄い人間の話を親身になって聞いてくれているのだ。
リリーがフードルに対し、親しみを覚えてしまっても仕方のない事だろう。
2人の会話は、いつしかリリーのお悩み相談へと姿を変えていた。
相手は魔族。人とは違った価値観で生きる者。客観的な視点からの意見は貴重であり、興味がないわけがない。
「私は、このままでもいいのでしょうか……」
九条のおかげで一命を取り留め、コット村での受け入れを許可された。
それはリリーにとって、十分すぎるほどの成功と言えるのだが、それ以上を望んでもいいのかという葛藤もあったのだ。
エルザとの会話から九条が勇者であることを知り、建国を目指すことになった。
ネストやバイスを守れるのは渡りに船ではあるのだが、その分九条には余計な負担をかけてしまう。
それを少しでも和らげようと一度は王となる決意はしたが、エルザは九条を推したのだ。
(確かに勇者である九条なら、私達を導いてくれる……。足りない知識は、私がサポートすればいい……)
とはいえ、九条の性格から、自らが指導者として立ち上がるようなタイプではない事も熟知している。
無理矢理押し付けるような形になってしまうのは、心苦しくもあった。
「別に、いいんじゃないかの?」
「……」
それは、リリーの欲していた答えではなかった。
面倒な話を聞かされた挙句、好きにしろとでも言わんばかりの適当な回答。
リリーにはそう聞こえたのだが、それには続きがあった。
「子供が大人を頼って何が悪い? アーニャも昔はそうじゃった……。親の仇を討つためとはいえ、人ではなく魔族のワシを頼ったんじゃぞ?」
リリーだって、それくらいはわかっている。心配なのは、その度合いだ。
折角受け入れてもらえたにも拘らず、我が儘ばかりでは嫌われてしまうかもしれないという不安。
王族だからと擦り寄って来る者は多かったが、九条だけはそうじゃない事を知っている。
だからこそ、どこまで許されるのかがわからない。
「その不安そうな顔……。ワシにもよくわかるぞ。何と言っても魔族じゃからの。他人の……しかも人族の価値観などわかるはずもない。……だからこそ、アーニャとの生活から学ぶことも多かったがな……」
アーニャとの生活を始めた初期の頃を思い出していたフードル。
その中でも一番酷かったのは、食事に対する考え方の違いだ。
魔族の食事といえば、魔力。故に人間の食事などわかるはずもなかった。
主食は野生の動物。流石に肉を生では食べない事くらい知っていたが、調理という工程は、焼くか煮るかの2つだけ。
アーニャの為にと別の村を遠くから観察し、栽培している作物から食べられる野菜を覚えたりもした。
そんな事を繰り返し、フードルは少しづつ人間の生活への理解を深めていったのだ。
「同じ考えを持つ者同士で徒党を組み、助け合うのは自然なこと。それが組織となり、やがては国となるんじゃろう? 人は無力じゃ。一人では生きてゆけぬ者も多い。子供なら尚更……。勿論、悩むなとは言わん。じゃが、恐らくそこに正解はない。最適解は見つかるやもしれぬが、結局は自己満足。じゃからと言って九条に答えを聞いたとしても、それが本音なのかは本人しかわかるまい。ならば、答えを追う事ばかりに囚われず、お主が九条にしてやれる事を考えたほうが建設的ではないかの?」
「……今の私に……できること……」
「まぁ、そう真剣に考えずともよかろう。九条が受け入れたんじゃ。途中で投げ出すような事だけはするまいて。そんなことより腹を満たせ。折角のスープが冷めてしまうぞ?」
最後にリリーの頭を撫で、フードルは朝食の入ったバスケットを手に取ると、そのまま食堂を去って行った。
「流石はフードルさんだ。いいこと言うねぇ」
隣で黙っていたレベッカも満足した様子で、うんうんと頷くと同時に、リリーには自分なりの励ましを送る。
「大丈夫だよ王女様。九条はそんなことで王女様を嫌ったりはしないさ。こんな小さな村ですら見捨てないんだから」
リリーの中のモヤモヤがすべて晴れたという訳ではないが、少なくともレベッカに向けた笑顔はすっきりとしたもの。
それは感謝を込めたものであったが、レベッカが我に返るには十分な衝撃。
王女相手に偉そうな口を利いてしまったと内心反省をしたレベッカは、その恥ずかしさ故に一刻も早くこの場を離れようとスープのお皿を持ち去った。
「す……スープ、温め直してきますからッ!」
そこは流石のプロである。
一目散にキッチンへと引っ込んだにも拘らず、レベッカはスープを一滴たりとも溢してはいなかった。
――――――――――
予想外のフードルとの邂逅により、リリーの予定は大幅にずれ込んでしまったが、王都での公務と違い大した問題ではない。
そもそも予定と言っても、村で挨拶をして回るだけ。早いに越した事はないが、別に日を跨いだって構わないのだ。
加えて言うなら、幾つかある懸念事項の1つであるフードルとの顔合わせが早々に済んだのは嬉しい誤算。
残りは、消化試合のようなものである。……ある1点を除いて……。
パンを千切り、それを温め直されたスープに浸してから頬張る。
王宮では絶対に許されなかった食べ方に、多少の罪悪感と感動を覚えたリリーではあったが、客は次々とやってくる。
人材派遣協会の開店準備にと訪れた職員の面々が、次のお相手。
ソフィアはまだしも、その殆どが初対面。その対応が終わる頃には、リリーの周りは人だらけ。
冒険者や商人までもがゾロゾロと集まり、食堂からの脱出は絶望的となってしまった。
「えぇ!? なんでリリー様がここに!?」
「護衛の方々はどうなされたのですか?」
「魔法学院の行事か何かで?」
王族が一人でいるというだけで、ある意味スキャンダルである。
事情を知らない者からすれば、疑問を覚えて当然であり、絶えず飛び交う質問は記者会見も顔負けの騒ぎ。
とはいえ、決まっていないことまでを無責任に語るわけにもいかないというのが、正直なところ。
王族を辞めるつもりではあったが、国を興すならそうもいかなくなるだろうし、かといって適当に誤魔化すのも忍びない。
そこへ運よくやって来たのは、ある意味最強の助け船だ。
「せーしゅくにッ!」
その声を聞けば、泣く子も黙るコット村の裏番長。
勿論本人にその自覚はないが、扉の前で腰に手を当て頬を膨らませていたのは、カガリに乗ったミアであった。
暫くしてレベッカが運んできたのは、2人が注文していた食事。
拳大の焼きたてパンが2つに温かいスープ。炙った燻製肉にスクランブルエッグ。そして、さっぱりとした果実水。
片方がバスケットに入って包まれていたのは、テイクアウトの為である。
「どうしたんだい? 2人とも……」
リリーとフードルが向き合うテーブル。その雰囲気は、正直言って食事を楽しむものではなかった。
視線を落とし思い悩むリリーに対し、フードルもまた何かを思案している様子で、難しい顔を見せていたのだ。
「フードルさん……。いくら王女様が新入りだからって、いじめるのは良くないと思うけどねぇ」
「違う。バカを言うな。王女様が真剣に悩まれているというのに……」
恐らくはギャップの所為……或いは、フードルが聞き上手だったからなのかもしれない。
恐怖の象徴とも言うべき魔族が、関係の薄い人間の話を親身になって聞いてくれているのだ。
リリーがフードルに対し、親しみを覚えてしまっても仕方のない事だろう。
2人の会話は、いつしかリリーのお悩み相談へと姿を変えていた。
相手は魔族。人とは違った価値観で生きる者。客観的な視点からの意見は貴重であり、興味がないわけがない。
「私は、このままでもいいのでしょうか……」
九条のおかげで一命を取り留め、コット村での受け入れを許可された。
それはリリーにとって、十分すぎるほどの成功と言えるのだが、それ以上を望んでもいいのかという葛藤もあったのだ。
エルザとの会話から九条が勇者であることを知り、建国を目指すことになった。
ネストやバイスを守れるのは渡りに船ではあるのだが、その分九条には余計な負担をかけてしまう。
それを少しでも和らげようと一度は王となる決意はしたが、エルザは九条を推したのだ。
(確かに勇者である九条なら、私達を導いてくれる……。足りない知識は、私がサポートすればいい……)
とはいえ、九条の性格から、自らが指導者として立ち上がるようなタイプではない事も熟知している。
無理矢理押し付けるような形になってしまうのは、心苦しくもあった。
「別に、いいんじゃないかの?」
「……」
それは、リリーの欲していた答えではなかった。
面倒な話を聞かされた挙句、好きにしろとでも言わんばかりの適当な回答。
リリーにはそう聞こえたのだが、それには続きがあった。
「子供が大人を頼って何が悪い? アーニャも昔はそうじゃった……。親の仇を討つためとはいえ、人ではなく魔族のワシを頼ったんじゃぞ?」
リリーだって、それくらいはわかっている。心配なのは、その度合いだ。
折角受け入れてもらえたにも拘らず、我が儘ばかりでは嫌われてしまうかもしれないという不安。
王族だからと擦り寄って来る者は多かったが、九条だけはそうじゃない事を知っている。
だからこそ、どこまで許されるのかがわからない。
「その不安そうな顔……。ワシにもよくわかるぞ。何と言っても魔族じゃからの。他人の……しかも人族の価値観などわかるはずもない。……だからこそ、アーニャとの生活から学ぶことも多かったがな……」
アーニャとの生活を始めた初期の頃を思い出していたフードル。
その中でも一番酷かったのは、食事に対する考え方の違いだ。
魔族の食事といえば、魔力。故に人間の食事などわかるはずもなかった。
主食は野生の動物。流石に肉を生では食べない事くらい知っていたが、調理という工程は、焼くか煮るかの2つだけ。
アーニャの為にと別の村を遠くから観察し、栽培している作物から食べられる野菜を覚えたりもした。
そんな事を繰り返し、フードルは少しづつ人間の生活への理解を深めていったのだ。
「同じ考えを持つ者同士で徒党を組み、助け合うのは自然なこと。それが組織となり、やがては国となるんじゃろう? 人は無力じゃ。一人では生きてゆけぬ者も多い。子供なら尚更……。勿論、悩むなとは言わん。じゃが、恐らくそこに正解はない。最適解は見つかるやもしれぬが、結局は自己満足。じゃからと言って九条に答えを聞いたとしても、それが本音なのかは本人しかわかるまい。ならば、答えを追う事ばかりに囚われず、お主が九条にしてやれる事を考えたほうが建設的ではないかの?」
「……今の私に……できること……」
「まぁ、そう真剣に考えずともよかろう。九条が受け入れたんじゃ。途中で投げ出すような事だけはするまいて。そんなことより腹を満たせ。折角のスープが冷めてしまうぞ?」
最後にリリーの頭を撫で、フードルは朝食の入ったバスケットを手に取ると、そのまま食堂を去って行った。
「流石はフードルさんだ。いいこと言うねぇ」
隣で黙っていたレベッカも満足した様子で、うんうんと頷くと同時に、リリーには自分なりの励ましを送る。
「大丈夫だよ王女様。九条はそんなことで王女様を嫌ったりはしないさ。こんな小さな村ですら見捨てないんだから」
リリーの中のモヤモヤがすべて晴れたという訳ではないが、少なくともレベッカに向けた笑顔はすっきりとしたもの。
それは感謝を込めたものであったが、レベッカが我に返るには十分な衝撃。
王女相手に偉そうな口を利いてしまったと内心反省をしたレベッカは、その恥ずかしさ故に一刻も早くこの場を離れようとスープのお皿を持ち去った。
「す……スープ、温め直してきますからッ!」
そこは流石のプロである。
一目散にキッチンへと引っ込んだにも拘らず、レベッカはスープを一滴たりとも溢してはいなかった。
――――――――――
予想外のフードルとの邂逅により、リリーの予定は大幅にずれ込んでしまったが、王都での公務と違い大した問題ではない。
そもそも予定と言っても、村で挨拶をして回るだけ。早いに越した事はないが、別に日を跨いだって構わないのだ。
加えて言うなら、幾つかある懸念事項の1つであるフードルとの顔合わせが早々に済んだのは嬉しい誤算。
残りは、消化試合のようなものである。……ある1点を除いて……。
パンを千切り、それを温め直されたスープに浸してから頬張る。
王宮では絶対に許されなかった食べ方に、多少の罪悪感と感動を覚えたリリーではあったが、客は次々とやってくる。
人材派遣協会の開店準備にと訪れた職員の面々が、次のお相手。
ソフィアはまだしも、その殆どが初対面。その対応が終わる頃には、リリーの周りは人だらけ。
冒険者や商人までもがゾロゾロと集まり、食堂からの脱出は絶望的となってしまった。
「えぇ!? なんでリリー様がここに!?」
「護衛の方々はどうなされたのですか?」
「魔法学院の行事か何かで?」
王族が一人でいるというだけで、ある意味スキャンダルである。
事情を知らない者からすれば、疑問を覚えて当然であり、絶えず飛び交う質問は記者会見も顔負けの騒ぎ。
とはいえ、決まっていないことまでを無責任に語るわけにもいかないというのが、正直なところ。
王族を辞めるつもりではあったが、国を興すならそうもいかなくなるだろうし、かといって適当に誤魔化すのも忍びない。
そこへ運よくやって来たのは、ある意味最強の助け船だ。
「せーしゅくにッ!」
その声を聞けば、泣く子も黙るコット村の裏番長。
勿論本人にその自覚はないが、扉の前で腰に手を当て頬を膨らませていたのは、カガリに乗ったミアであった。
32
あなたにおすすめの小説
異世界で魔法が使えない少女は怪力でゴリ押しします!
ninjin
ファンタジー
病弱だった少女は14歳の若さで命を失ってしまった・・・かに思えたが、実は異世界に転移していた。異世界に転移した少女は病弱だった頃になりたかった元気な体を手に入れた。しかし、異世界に転移して手いれた体は想像以上に頑丈で怪力だった。魔法が全ての異世界で、魔法が使えない少女は頑丈な体と超絶な怪力で無双する。
底辺から始まった俺の異世界冒険物語!
ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。
しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。
おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。
漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。
この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――
転生特典〈無限スキルポイント〉で無制限にスキルを取得して異世界無双!?
スピカ・メロディアス
ファンタジー
目が覚めたら展開にいた主人公・凸守優斗。
女神様に死後の案内をしてもらえるということで思春期男子高生夢のチートを貰って異世界転生!と思ったものの強すぎるチートはもらえない!?
ならば程々のチートをうまく使って夢にまで見た異世界ライフを楽しもうではないか!
これは、只人の少年が繰り広げる異世界物語である。
迷宮アドバイザーと歩む現代ダンジョン探索記~ブラック会社を辞めた俺だが可愛い後輩や美人元上司と共にハクスラに勤しんでます
秋月静流
ファンタジー
俺、臥龍臼汰(27歳・独身)はある日自宅の裏山に突如できた洞窟を見つける。
語り掛けてきたアドバイザーとやらが言うにはそこは何とダンジョン!?
で、探索の報酬としてどんな望みも叶えてくれるらしい。
ならば俺の願いは決まっている。
よくある強力無比なスキルや魔法? 使い切れぬ莫大な財産?
否! 俺が望んだのは「君の様なアドバイザーにず~~~~~っとサポートして欲しい!」という願望。
万全なサポートを受けながらダンジョン探索にのめり込む日々だったのだが…何故か元居た会社の後輩や上司が訪ねて来て…
チート風味の現代ダンジョン探索記。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
修学旅行のはずが突然異世界に!?
中澤 亮
ファンタジー
高校2年生の才偽琉海(さいぎ るい)は修学旅行のため、学友たちと飛行機に乗っていた。
しかし、その飛行機は不運にも機体を損傷するほどの事故に巻き込まれてしまう。
修学旅行中の高校生たちを乗せた飛行機がとある海域で行方不明に!?
乗客たちはどこへ行ったのか?
主人公は森の中で一人の精霊と出会う。
主人公と精霊のエアリスが織りなす異世界譚。
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる