53 / 78
53話
しおりを挟む
53話
「カニ……蟹が食いたいのう」
「買ってくる?」
「んーーーーーむ…………買いに行こうかのう」
テレビを見ていると、蟹の店の紹介をしていた。
秋、といえば、食欲の秋。テレビのみならず、スーパーなどを歩いても、旬、旬、旬と、どこかしこから食材を勧められる。
大魔王様としても、やはりいちばん美味しい時期に食べたいので、旬の宣伝はありがたいものだ。
しかし。
「まぁ、高い……とはいえ、収入から考えればそうでもないのかのう?」
「私の稼ぎからしたらちょっとアレだけど、やみちゃんのならまぁ、ちょっとした贅沢くらいじゃないの?」
ちなみに、寧は夜間にバーテンのバイト、休みの日は大魔王様とレインの配信の切り抜き作成などで、親からの仕送りが必要ない程度には稼いでいる。しかしまあ、女性は出費が嵩むので。余裕があるわけではない。特に風呂上がりなどは、無加工ぷにぷに赤ちゃん肌の大魔王様がうらめしいと思うこともある。
「そういうものかのう。……ふたりで食いにいくのじゃ。たまには外食もいいじゃろ。当然ワシの奢りじゃ」
「わ、やった!いくいく!お酒も飲んでいい?」
「んむ、日頃の感謝のおかえしじゃからな、好き放題飲み食い放題じゃ!」
「やった!楽しみになってきた!夜だよね?」
「夜じゃな。昼は……おにぎりで済ませておこうかのう」
「私は抜きでいいや。プロテイン飲むし」
「気合い入っとるのう」
時は夜、蟹しゃぶの店にて。
大量の剥かれたカニ足、味噌入り甲羅、鯛などのしゃぶしゃぶ用海鮮、数種の酒、野菜、寿司や刺身、肉などが目の前に並んでいる。
ちなみに食べ放題ではない。庶民にはちょっと厳しいお値段だ。大魔王様は貯金があるので。
「うわあ、どれから食べよう……いやまあ最初は蟹かな!いただきます!」
「んむ、いただきますのじゃ!」
カニ足を鍋に潜らせ、ひとくち、ぱくり。
「うーん、美味しい!前食べたのより美味しいかも?やっぱり値段で違うのね……」
「美味いのう、蟹はいいのう。蟹味噌も美味い!こう、潜らせた足を蟹味噌につけて……」
「わ、それやりたい!やろう!……うっま、なにこれ、うっまい」
「んふー、贅沢じゃのう!他のも食いたいが、蟹ももっと食いたい……悩むのじゃ。ひとまず鯛をば……」
「わ、野菜も甘くて美味しい!全部良いやつじゃん……そういえば値段見てないな」
「見んでいいぞ。それより酒も飲むと良いぞ。その寧に一番近いのが有名な……卸先が限定されておる、珍しい日本酒らしいのう」
「え、これ飲みたかったの!これあるお店、さすがに大学生には厳しくて、ひとりでも入りづらかったから……んっ、やば、おいし……うわぁ、これだけでも来れてよかったなぁって思っちゃう!」
「んふ、よろこんでもらえてなによりじゃなぁ」
寧の心からの笑顔が見れて、大魔王様も御満悦である。
「なんでも好きなだけ食うのじゃ。よろこんでくれるなら、それが一番よい」
「ふふ、ありがとね、やみちゃん!」
「……ワシも飲もうかのう」
中々に度数の高い酒を、カッと呷る。
酔っていれば、顔が赤くてもおかしくないだろう、と。
「カニ……蟹が食いたいのう」
「買ってくる?」
「んーーーーーむ…………買いに行こうかのう」
テレビを見ていると、蟹の店の紹介をしていた。
秋、といえば、食欲の秋。テレビのみならず、スーパーなどを歩いても、旬、旬、旬と、どこかしこから食材を勧められる。
大魔王様としても、やはりいちばん美味しい時期に食べたいので、旬の宣伝はありがたいものだ。
しかし。
「まぁ、高い……とはいえ、収入から考えればそうでもないのかのう?」
「私の稼ぎからしたらちょっとアレだけど、やみちゃんのならまぁ、ちょっとした贅沢くらいじゃないの?」
ちなみに、寧は夜間にバーテンのバイト、休みの日は大魔王様とレインの配信の切り抜き作成などで、親からの仕送りが必要ない程度には稼いでいる。しかしまあ、女性は出費が嵩むので。余裕があるわけではない。特に風呂上がりなどは、無加工ぷにぷに赤ちゃん肌の大魔王様がうらめしいと思うこともある。
「そういうものかのう。……ふたりで食いにいくのじゃ。たまには外食もいいじゃろ。当然ワシの奢りじゃ」
「わ、やった!いくいく!お酒も飲んでいい?」
「んむ、日頃の感謝のおかえしじゃからな、好き放題飲み食い放題じゃ!」
「やった!楽しみになってきた!夜だよね?」
「夜じゃな。昼は……おにぎりで済ませておこうかのう」
「私は抜きでいいや。プロテイン飲むし」
「気合い入っとるのう」
時は夜、蟹しゃぶの店にて。
大量の剥かれたカニ足、味噌入り甲羅、鯛などのしゃぶしゃぶ用海鮮、数種の酒、野菜、寿司や刺身、肉などが目の前に並んでいる。
ちなみに食べ放題ではない。庶民にはちょっと厳しいお値段だ。大魔王様は貯金があるので。
「うわあ、どれから食べよう……いやまあ最初は蟹かな!いただきます!」
「んむ、いただきますのじゃ!」
カニ足を鍋に潜らせ、ひとくち、ぱくり。
「うーん、美味しい!前食べたのより美味しいかも?やっぱり値段で違うのね……」
「美味いのう、蟹はいいのう。蟹味噌も美味い!こう、潜らせた足を蟹味噌につけて……」
「わ、それやりたい!やろう!……うっま、なにこれ、うっまい」
「んふー、贅沢じゃのう!他のも食いたいが、蟹ももっと食いたい……悩むのじゃ。ひとまず鯛をば……」
「わ、野菜も甘くて美味しい!全部良いやつじゃん……そういえば値段見てないな」
「見んでいいぞ。それより酒も飲むと良いぞ。その寧に一番近いのが有名な……卸先が限定されておる、珍しい日本酒らしいのう」
「え、これ飲みたかったの!これあるお店、さすがに大学生には厳しくて、ひとりでも入りづらかったから……んっ、やば、おいし……うわぁ、これだけでも来れてよかったなぁって思っちゃう!」
「んふ、よろこんでもらえてなによりじゃなぁ」
寧の心からの笑顔が見れて、大魔王様も御満悦である。
「なんでも好きなだけ食うのじゃ。よろこんでくれるなら、それが一番よい」
「ふふ、ありがとね、やみちゃん!」
「……ワシも飲もうかのう」
中々に度数の高い酒を、カッと呷る。
酔っていれば、顔が赤くてもおかしくないだろう、と。
0
あなたにおすすめの小説
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜
涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。
ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。
しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。
奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。
そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。
異世界と地球がダンジョンで繋がった ー異世界転移者の私ー
白木夏
ファンタジー
2040年の初春、突如として地球上の主要都市に謎のダンジョンが出現した。
その特異性は明らかで、人口密集地を中心に出現し、未開の地には一切現れないという法則性を帯びていた。
人々は恐怖に震えつつも、未知なる存在に対する好奇心を抑えきれなかった。
異世界転移した最強の主人公のほのぼのライフ
最初から最強ぼっちの俺は英雄になります
総長ヒューガ
ファンタジー
いつも通りに一人ぼっちでゲームをしていた、そして疲れて寝ていたら、人々の驚きの声が聞こえた、目を開けてみるとそこにはゲームの世界だった、これから待ち受ける敵にも勝たないといけない、予想外の敵にも勝たないといけないぼっちはゲーム内の英雄になれるのか!
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる