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第三話 「王子様」VS王子様
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リゼットにとっては突然の婚約話を聞いてから、約一か月。
あの日から、アルフレッドは、まめまめしく神殿に通ってくるようになった。おおよそ週に一度は来ているのではないだろうか。
「お暇なんですか、王子様って」
「暇ではないよ。でも、婚約者のことをよく知りたい、僕のこともよく知ってもらいたいというのはおかしい?」
嫌味だったのだけれども、通じなかったようだ。
微笑んでそう言うアルフレッドに、リゼットはじとっとした視線を送った。
まったく、この王子様、本当にとんでもなく「王子様」だ。非の打ち所が全くない。
騎士団にいるだけあって、細身でありながら鍛えられた身体。まだ十八と言う年齢がもたらすものなのか、精悍さの中にどこか甘い空気を漂わせる整った顔立ち。どこかアンバランスでありながら人目を引く雰囲気の持ち主だ。
神殿の巫女たちから寄せられた情報によれば、アルフレッドはどうやら母親似――つまり、正妃様によく似ているらしい。
正妃様は、たいそう美しい方だったという評判を今でも聞く。お亡くなりになってからだいぶたつのに人の口に昇るくらいだから、相当美人だったのだろう。
普段男性と接することのない巫女たちがきゃあきゃあ言うのも頷ける。そう、頷けるのだけれども――!
これまで、神殿の「王子様」として巫女たちの熱い視線を独り占めしていた身としては、たいそう面白くないのである。
それどころか最近では、アルフレッドと並んでいるリゼットを「姫君のよう」などと言い出すものまで現れる始末だ。
(くっ……これまでみんなの「王子様」でいるために、私なりに努力してきたのに……!)
それこそ、流行りの恋愛小説を読みふけり、みんなの「理想の王子様」に一歩でも近づけるよう、研究を重ねてきた。
その努力あってこそ、これまでこの楽園で王子様をやってこられたのに……。
だというのに、この王子様は、それを軽々と素でやってのけるのである。
(ほんっと、嫌なヤツ……)
神殿を訪れたアルフレッドを応接室に案内しながら、リゼットは胸中で毒づいた。
まあ、とにかくリゼットは、アルフレッドが何をしても気に入らない。そう、だって彼は、これまでリゼットが築き上げてきた地位を、なんの苦も無く奪っていくから。
自分の追い求める理想を体現したかのような存在が突然現れてしまった。
そして、周りのかわいい少女たちは、すっかりアルフレッドに夢中になっている。
(くやしい~~~~~!)
すれ違った巫女や行儀見習いの少女たちに、甘い笑みを振りまいてる隣の男が、憎たらしくてたまらない。
そして、その笑みをリゼットにも向けてくるのが腹立たしい。
ぎりぎりと胸中で歯噛みしながら、リゼットは応接室の扉を開いた。
「え、お披露目ですか?」
「うん」
いつもはお茶を飲みながら、他愛もない話をしていくだけのアルフレッドだが、どうやら今日は本当に用事があってきたらしい。
突然の「お披露目」の言葉に、リゼットは目をぱちくりさせた。
「あの、ほんっとうに私と婚約するおつもりなんですか?」
「もちろん。というか、婚約自体はもう成立してる」
げっ、と小さく呻いたリゼットに、アルフレッドは小さく噴き出した。
「だから、こうして二人だけで会う許可が出てるんだよ」
「えぇ……そうなんですね……」
げっそりとした表情を浮かべ、リゼットは再び呻き声をあげる。だが、アルフレッドは構わず話の先を続けた。
「お披露目の日取りは一か月後。それまでに、ドレスを作って……」
「ど、ドレス……!?」
リゼットの口から、思わず素っ頓狂な声が出た。
当然ながら、リゼットはドレスなど着たことがない。
聖女の衣装は巫女たちと同じ形の白いローブに銀糸の刺繍が施されたもの。それで、すべての儀式に出席できるからだ。楽で大変よろしい、優れものである。
だが、しかし――ドレスに憧れはある。
リゼットはかわいいものが好きだ。とにかく広い意味で、かわいいものならなんでも好き。
それが高じて、神殿でかわいい女の子たちを侍らせていたわけだ。まあ、女の子はおしなべてみんなかわいいので、全員に等しく優しく接してきた。
イメージを崩してしまうから、かわいいものが好きだということはみんなには秘密にしていたのだけれど。
(ドレスかあ……)
この婚約話が出てから、一番うれしい出来事ではないだろうか。
そんな気持ちが顔に出ていたのか、アルフレッドがとうとう噴き出した。
「リゼット、きみ、結構考えていることが顔に出やすいね」
「な、そ、そんなことは……」
慌てて頬を押さえたが、もう遅い。指摘されたことで更に頬が熱を持ち始め、きっと赤くなってしまっているだろうことがわかる。
ぎりぎりと、また内心歯ぎしりしながら、リゼットはぷいとそっぽを向いた。
「ごめんごめん、いや、いいんだよ」
「何がですか!?」
くすくすと笑いながら、アルフレッドは立ち上がると、なぜかリゼットの隣に移動してきた。そうして、リゼットの赤くなった顔を覗き込んでくる。
「かわいいところ、あるんだねぇ」
「う、うるさい……!」
からかわれて、また頬が熱くなってくる。これはあれだ、悔しさからくるやつだ。
そう思うのに、なんだか心臓がばくばく言い始めた。
今度は反対側に顔を向けようとしたリゼットだったが、アルフレッドにそれを阻止される。頬を押さえた腕を掴まれて、身動きが取れない。
うぐ、と唸ったリゼットを、紫紺の瞳が楽しそうな光を浮かべて見つめている。
(くそう……無駄にイケメン顔しやがって……)
こうして近くに来ると、本当に破壊力のある顔だ。ますます熱くなる頬が、多分彼からは見えないであろうことだけが救い。
けれど、アルフレッドはその救いをやすやすと打ち砕いてきた。
「耳、赤くなってるよ」
「う、うそお!」
いや、と小さく呟いて、リゼットは手を離してもらおうともがく。けれど、さすが騎士団に所属しているだけあって、アルフレッドの力は強く、簡単には外れない。
そして、あろうことか彼はその耳元に唇を近づけると、小さな声でささやきかけた。
「神殿の巫女たちが言ってたよ。きみ、ここでは『王子様』だってんだってね」
「え、なっ……」
「クールでさっぱりしてて、でも優しいところもあって……みんなきみのこと、そう言ってた」
「イッ、いつの間にそんな話を、っていうか、ち、近いぃ……」
「それが、最近かわいくなったって評判だよ」
「ヒッ……ど、どこでそんな……?」
答える声が裏返る。もう、内容なんか頭に入ってこない。
耳に口を近づけているから、アルフレッドが喋るたびに吐息が耳にかかってしまう。くすぐったくてこそばゆくて、なんだかぞわぞわしてしまう。
それ以上に、リゼットは、ここ――女の園、神殿で生活してきた身。こんなに近くに異性に寄られたことなどない。前世の記憶にも、こんな経験はない。
目がぐるぐる回る。もう、耐えられない。
いっそ気絶してしまえたら楽なのに。
そう思い始めた頃、ふっと小さくアルフレッドが笑った。そうして、パッと手を離す。
解放されたリゼットは、慌てて彼から距離を取り、顔をパタパタとあおぐ。早く熱よさめろ、と怨念じみた執念であおぎ続けていると、アルフレッドはそんなリゼットを見て目を細めた。
「見てて飽きないなぁ、リゼット。ほんと、きみみたいな子とだったら、うまくやってけそう」
「……私は、そんな気はしないですね」
パタパタと、まだ熱を持った頬をあおぎながらリゼットが言うと、アルフレッドは愉快そうに笑った。
あの日から、アルフレッドは、まめまめしく神殿に通ってくるようになった。おおよそ週に一度は来ているのではないだろうか。
「お暇なんですか、王子様って」
「暇ではないよ。でも、婚約者のことをよく知りたい、僕のこともよく知ってもらいたいというのはおかしい?」
嫌味だったのだけれども、通じなかったようだ。
微笑んでそう言うアルフレッドに、リゼットはじとっとした視線を送った。
まったく、この王子様、本当にとんでもなく「王子様」だ。非の打ち所が全くない。
騎士団にいるだけあって、細身でありながら鍛えられた身体。まだ十八と言う年齢がもたらすものなのか、精悍さの中にどこか甘い空気を漂わせる整った顔立ち。どこかアンバランスでありながら人目を引く雰囲気の持ち主だ。
神殿の巫女たちから寄せられた情報によれば、アルフレッドはどうやら母親似――つまり、正妃様によく似ているらしい。
正妃様は、たいそう美しい方だったという評判を今でも聞く。お亡くなりになってからだいぶたつのに人の口に昇るくらいだから、相当美人だったのだろう。
普段男性と接することのない巫女たちがきゃあきゃあ言うのも頷ける。そう、頷けるのだけれども――!
これまで、神殿の「王子様」として巫女たちの熱い視線を独り占めしていた身としては、たいそう面白くないのである。
それどころか最近では、アルフレッドと並んでいるリゼットを「姫君のよう」などと言い出すものまで現れる始末だ。
(くっ……これまでみんなの「王子様」でいるために、私なりに努力してきたのに……!)
それこそ、流行りの恋愛小説を読みふけり、みんなの「理想の王子様」に一歩でも近づけるよう、研究を重ねてきた。
その努力あってこそ、これまでこの楽園で王子様をやってこられたのに……。
だというのに、この王子様は、それを軽々と素でやってのけるのである。
(ほんっと、嫌なヤツ……)
神殿を訪れたアルフレッドを応接室に案内しながら、リゼットは胸中で毒づいた。
まあ、とにかくリゼットは、アルフレッドが何をしても気に入らない。そう、だって彼は、これまでリゼットが築き上げてきた地位を、なんの苦も無く奪っていくから。
自分の追い求める理想を体現したかのような存在が突然現れてしまった。
そして、周りのかわいい少女たちは、すっかりアルフレッドに夢中になっている。
(くやしい~~~~~!)
すれ違った巫女や行儀見習いの少女たちに、甘い笑みを振りまいてる隣の男が、憎たらしくてたまらない。
そして、その笑みをリゼットにも向けてくるのが腹立たしい。
ぎりぎりと胸中で歯噛みしながら、リゼットは応接室の扉を開いた。
「え、お披露目ですか?」
「うん」
いつもはお茶を飲みながら、他愛もない話をしていくだけのアルフレッドだが、どうやら今日は本当に用事があってきたらしい。
突然の「お披露目」の言葉に、リゼットは目をぱちくりさせた。
「あの、ほんっとうに私と婚約するおつもりなんですか?」
「もちろん。というか、婚約自体はもう成立してる」
げっ、と小さく呻いたリゼットに、アルフレッドは小さく噴き出した。
「だから、こうして二人だけで会う許可が出てるんだよ」
「えぇ……そうなんですね……」
げっそりとした表情を浮かべ、リゼットは再び呻き声をあげる。だが、アルフレッドは構わず話の先を続けた。
「お披露目の日取りは一か月後。それまでに、ドレスを作って……」
「ど、ドレス……!?」
リゼットの口から、思わず素っ頓狂な声が出た。
当然ながら、リゼットはドレスなど着たことがない。
聖女の衣装は巫女たちと同じ形の白いローブに銀糸の刺繍が施されたもの。それで、すべての儀式に出席できるからだ。楽で大変よろしい、優れものである。
だが、しかし――ドレスに憧れはある。
リゼットはかわいいものが好きだ。とにかく広い意味で、かわいいものならなんでも好き。
それが高じて、神殿でかわいい女の子たちを侍らせていたわけだ。まあ、女の子はおしなべてみんなかわいいので、全員に等しく優しく接してきた。
イメージを崩してしまうから、かわいいものが好きだということはみんなには秘密にしていたのだけれど。
(ドレスかあ……)
この婚約話が出てから、一番うれしい出来事ではないだろうか。
そんな気持ちが顔に出ていたのか、アルフレッドがとうとう噴き出した。
「リゼット、きみ、結構考えていることが顔に出やすいね」
「な、そ、そんなことは……」
慌てて頬を押さえたが、もう遅い。指摘されたことで更に頬が熱を持ち始め、きっと赤くなってしまっているだろうことがわかる。
ぎりぎりと、また内心歯ぎしりしながら、リゼットはぷいとそっぽを向いた。
「ごめんごめん、いや、いいんだよ」
「何がですか!?」
くすくすと笑いながら、アルフレッドは立ち上がると、なぜかリゼットの隣に移動してきた。そうして、リゼットの赤くなった顔を覗き込んでくる。
「かわいいところ、あるんだねぇ」
「う、うるさい……!」
からかわれて、また頬が熱くなってくる。これはあれだ、悔しさからくるやつだ。
そう思うのに、なんだか心臓がばくばく言い始めた。
今度は反対側に顔を向けようとしたリゼットだったが、アルフレッドにそれを阻止される。頬を押さえた腕を掴まれて、身動きが取れない。
うぐ、と唸ったリゼットを、紫紺の瞳が楽しそうな光を浮かべて見つめている。
(くそう……無駄にイケメン顔しやがって……)
こうして近くに来ると、本当に破壊力のある顔だ。ますます熱くなる頬が、多分彼からは見えないであろうことだけが救い。
けれど、アルフレッドはその救いをやすやすと打ち砕いてきた。
「耳、赤くなってるよ」
「う、うそお!」
いや、と小さく呟いて、リゼットは手を離してもらおうともがく。けれど、さすが騎士団に所属しているだけあって、アルフレッドの力は強く、簡単には外れない。
そして、あろうことか彼はその耳元に唇を近づけると、小さな声でささやきかけた。
「神殿の巫女たちが言ってたよ。きみ、ここでは『王子様』だってんだってね」
「え、なっ……」
「クールでさっぱりしてて、でも優しいところもあって……みんなきみのこと、そう言ってた」
「イッ、いつの間にそんな話を、っていうか、ち、近いぃ……」
「それが、最近かわいくなったって評判だよ」
「ヒッ……ど、どこでそんな……?」
答える声が裏返る。もう、内容なんか頭に入ってこない。
耳に口を近づけているから、アルフレッドが喋るたびに吐息が耳にかかってしまう。くすぐったくてこそばゆくて、なんだかぞわぞわしてしまう。
それ以上に、リゼットは、ここ――女の園、神殿で生活してきた身。こんなに近くに異性に寄られたことなどない。前世の記憶にも、こんな経験はない。
目がぐるぐる回る。もう、耐えられない。
いっそ気絶してしまえたら楽なのに。
そう思い始めた頃、ふっと小さくアルフレッドが笑った。そうして、パッと手を離す。
解放されたリゼットは、慌てて彼から距離を取り、顔をパタパタとあおぐ。早く熱よさめろ、と怨念じみた執念であおぎ続けていると、アルフレッドはそんなリゼットを見て目を細めた。
「見てて飽きないなぁ、リゼット。ほんと、きみみたいな子とだったら、うまくやってけそう」
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