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第13話 魔王城に行こう!

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 カディア達が宿に帰る頃。

 ロレールは、魔王城に戻り。
 早速、魔王様に許可を取りに行く。

「魔王様♪ いらっしゃいますか? ロレールです」

 と扉を叩くと。
 入りなさいと返事が来たので入る。

「ロレールお帰りなさい。楽しい事でもあったのかしら?」

 と新魔王は、首をかしげる。

 買い物なのに何か。
 そんなに嬉しい事でもあったのかな?

「えっへへん~♪ 聞いて下さい。魔王様。人間のお友達が出来ました! なので魔王城に招待したいのですよ。許可をお願いします!」

 と上機嫌に踊ったり。
 飛んだりと楽しそうだ。

 1番人嫌いなロレールなのに……。
 一体何があったのかしら?
 精神操作されてないか確認しないと。
 スキルを使い確認してみたが。
 何も異常は、見つからない。

 本当にお友達が出来たの?
 彼女が招待したい程の人物とは……。
 少し興味ありますね。

「貴方……簡単に許可を出せる訳がないでしょ……ふ~。その方達は、魔族を嫌ったり。敵意を持ったり。してませんか?」

 と頭を抱えながら話す。

「いえ。全く無いと思います。一緒に遊んだりしましたので……でも、カディアって言う人。不思議な感じでしたよ。人間なのに魔族みたいな。親近感を覚えました。しかも自称、我とか言ってるし」

 と聞くと新魔王は、反応する。

 嘘、まさか……。
 魔王様……!
 その人に会わなければいけませんね。
 と立ち上がる。

「ロレール! 至急その人達を連れてきなさい! 皆さん直ぐにおもてなしの準備をお願いします!」

 と魔族に命令する。
 皆慌ただしく準備を始める。

 ロレールは、命令通り。
 呼びに行く。

 執務室で1人残った新魔王。
 嬉しそうに椅子に座る。

「やっと……見つけましたよ。魔王様……話したい事いっぱいあります。早く会いたいです……」

 と立ち上がり。
 窓越しに思いフケながら手をかざす。
 新魔王様であった。

 ✡✡✡✡✡✡✡✡✡✡✡✡✡✡✡✡✡✡✡✡✡✡

 翌朝。
 突然、ロレールが現れ。
 起こされるカディア。
 外を見るとまだ朝日も登ってない。
 もうちょっと寝かせてほしいな。

 ちなみにロレールの後ろで殺意を出している。
 グロリアがいたのでやめさせる。
 本当に殺しかけんからな。

「カディア! 起きて! 聞いてよ! 魔王様が会いたいって許可貰ってきたよ」

 とロレールが言うと。
 
 直ぐに起き上がる。

「本当か? 嬉しいぞ。ロレールよ。なら、待たせては、悪いな。直ぐにしたくをしよう! グロリア。マリ殿を頼む」

 魔王の奴、こんなあっさりと。
 許可出して良かったのか?
 逆に何か裏がありそうで怖いな。

「了解致しました……我が主……マリ様……起きてください……」

 とグロリアは、マリを起こす。

 あんなにうるさくしていたのに。
 ぐっすり寝れるなんて羨ましいな。

「う~ん~。グロリアお姉ちゃん。おはよ……」

 とまだ眠いのか目を擦る。
 
「はい……おはようございます……今日は、ロレール様がいらしています……魔王城に行くため……おしたくをお願いします……」

 とロレールの方を見るマリ。
 一瞬で目が覚め。
 嬉しそうにロレールに近寄る。

「うん。あ! ロレールお姉ちゃん! 来てくれたんだね。今日は、何して遊んでくれるの?」

 と期待をする目で見てくる。

 可愛いと思いながらロレールは、よしよしする。

「今日はね♪ 魔王城に招待しにきたんだよ。だから、着替えて一緒に行こう」

「うん♪ 楽しみだね。直ぐに着替えるよ」

 とグロリアと一緒に用意し始める。

 しばらくして。
 宿の主人に礼を言いつつ。
 その場を後にした。
 
 宿から少し歩き。
 路地裏に入る4人。
 ロレールが転移魔法を使い。
 魔王城の中に転移した。

「あ~。魔力がなくなった。立てないよ~」

 と転移した瞬間。
 ロレールの魔力が付き。
 おばあちゃんみたいにフラフラし。
 倒れ込んでしまった。

 転移魔法は、馬鹿みたいに。
 魔力を使う為。
 加減を知らないとこうなるのだ。

「ロレールよ。手を貸そう」

「いえ。その必要は、無いです。ロレールを運びなさい!」

 とした瞬間、誰かが叫び。
 魔族に命令する。

「え……魔王様……」

 と驚きながら、他の魔族に手がかかるなと言われながら。
 運ばれていった。
 
 アヤツが新魔王か……。
 全身ローブで正体が分からん。
 たが実力は、かなりあるの。
 下手したら我よりも強いかもな。

「貴方が、カディアさん? 初めまして魔王ヘルゲイトと申します。以後、お見知りおきを」

 と丁寧な挨拶をする魔王。

 この口調……。
 勇者殿に似てるな。
 それに何処か懐かしい感じもする。
 まさかな……。

「うむ。我がカディアだ。よろしく頼む……グロリア。マリ殿。ロレールの様子を見てきてくれ」

 と何故か2人っきりにならないと。
 行けない気がして2人を離れさせた。
 2人は、喜んで見に行ってくれた。

「ふふ♪ ようやく2人だけになりましたね」

「ふふ♪ なるほど。久しいの殿

 とカマをかけてみた。

「ええ。お久しぶりです。立ち話しでも何ですし。こちらへ」

 なぬ!
 本当に勇者殿だったのか!
 驚くわけにもいかない。
 とりあえず。
 冷静にこのまま話そう。

「うむ。向かうとしよう」

 と執務室に通され。
 誰も聞こえないようにスキルを使い。
 完全防音対策をし。
 懐かしそうに話し始める。

「魔王様……会いたかったです……長年待ち続け。ようやく会えました」

 と全身フードを取ると。
 前と変わらず。
 勇者殿の見た目そのままであった。
 ただ手に刻印がついてしまっている。

 勇者殿は、嬉しそうに我の手を握る。
 我も正直嬉しい。
 優しく握り返した。

「うむ。我が友よ。元気にしてたかの?」

「はい。何とか元気にしております」

 と微笑み合う。

「そうだ。何故、勇者殿が刻印を手に入れたのだ?」

 と聞くと。
 深刻そうに刻印をさすりながら答える。

「はい。魔王様と別れ。勇者として約束を守りました。その後、歴史から抹消された。戦いがあったのです」

 と悲しそうに話す。

 我は、無理しなくて良いぞと言う。
 勇者殿は、首を横にふる。

「その戦いこそ、人類全てが無くなるかも知れない。勇者VS全人類の大戦がありました。私は、勿論全人類の味方でした。しかし。魔王様がいなくなった事により。魔族達の生きる希望が失われてしまいました」

 と一息入れて、話し出す。

「なので私は、新魔王となり。皆を勇気付け。決起させました。その時に大量の勇者達……仲間を殺し。刻印を授かりました。この刻印は、私に対する。罰でもあります……」

 と悲しそうに話す。

 我がいなくなった後、そんな事があったのか!
 勇者殿に全てを任せ。
 我は、のうのうと転生を果し。
 気楽に旅をしていたのか……。
 申し訳ない気持ちで一杯だ。

「私は、状況も見ず。勇者の任務を全うし。魔王様を倒してしまい。私が不幸へ導きました。なので少しでも生きやすくする為。危険な国や勇者を消し続けてきました」

「なので……魔王様は、何も気にせず。旅をしてほしいです……これは、私に対する。試練と罪滅ぼしなのですから……」

 と苦しそうに微笑み。
 涙を流す勇者。

 我は、友として見てられず。
 勇者に駆け寄り。
 子をあやすように抱き付く。

「そんな事を言うのではない! 本当は、それは我の役目だ。なのに勇者殿に全てを背負わせ。のうのうと転生し。勇者殿の気持ちも知らずに楽しんでしまった。恨むなら我をうらめ!」

 とカディアは、悔しそうに。
 強く抱き付く。

「うっ……魔王様……」

「苦しかっただろう……本当にすまんな……だから後は、我が引き継ぐ。優しき勇者殿には、これ以上。苦しんで欲しくない。我がすべてを背負う! だからな。刻印よ! 我の元へ戻れ!」

 と言うと勇者の手からカディアの手に刻印が移動した。

「え!……魔王様……駄目です! これは、私への罰ですから……うっ……」

 と言う前に強く抱き付き。
 言わせない様にした。
 当然勇者は、混乱する。

「もう……何も言うではない……本当に何もかも背負わせて悪かったの……安心するのじゃ。勇者殿の罪や試練は、我に受け継がれた。全く……本当に優しい子じゃの……」

 と優しく頭を撫でる。

 勇者は、カディアの胸の中で。
 全てを吐き出すように泣く。

「魔王様……いえ……お母様……どうして……責めないの……私……恨まれる様な事をしたのに……」

 と子どものように泣く。
 
 カディアは『困った子だ』と。
 微笑み頭を撫でる。
 年月がいくら経っても勇者殿は、母が恋しのだな。
 我は、受け止めるだけだ。
 少しでも安らげる様にな。

「何故恨むのだ? こんな優しい子を恨む必要が我には、分からん。今まで良く頑張ったな。ゆっくりと休むが良い。スリープ」

「……ありがとうございます……お母様……」

 と泣きながら勇者は、微笑み。
 胸の中で眠る。

 我は、近くにあった。
 ソファーに勇者殿を寝かせる。

「魔王に戻る気は、なかったのじゃがな。勇者殿の為。見た目だけ。戻るかの……何じゃコレは?」

 と目の前に異空間見たいな物が現れ。
 中から昔着ていた。
 洋服が出て来た。

「これは……勇者殿と戦う時に着ていた物だ。何故これが? まあ良い!」

 と着替え。
 ボックスから角みたいなのを付け。
 羽も漆黒の10本をボックスから選び。
 大きさや形が違うがそれらしく装備。
 ドラゴン見たいな尻尾も取り付け。

 地獄から蘇った見たいな。
 禍々しくボロボロの見た目に。
 なってしまった。

「うむ……まあ、この見た目なら相手が怖がりそうだ。逆に良いかの。次は、我の名刀を取りに行くかの。まず、頂上に行こう」

 と上に歩き。
 ようやく到着する。
 目の前には、聖剣と双剣が。
 突き刺さった状態で当時のまま。
 保管されていた。
 更に神聖なバリアに阻まれ通れない。

「これは、勇者殿か? 温かく綺麗なバリアだな」

 と手を乗せると……。
 その隣に手を乗せる。
 もう一人の人物。

「ありがとうございます……あの……さっきは、お母様と呼んでごめんなさい……迷惑でしたよね……」

 と少し寝れたのが効果的だったらしく。
 少しスッキリした顔付きになる。

「起きて大丈夫かの? 気にするでない。母が恋しいのならそう呼んでも構わんぞ。勇者殿は、家族も同然だからの」

「ふふ♪ ありがとうございます。では、お母様とお呼びしますね」

「良いだろう。今後好きに甘えよ。我が娘よ!」

「はい♪ お母様♪ ありがとうございます」

 と微笑みながら手を重さね。
 互いに微笑み合うと身体が光り。
 同時にバリアが消えた。
 不思議そうに見つめた後。

 剣に向かい手に取り。
 感触を確かめる様に振り回し。
 鞘に収め。
 泣き顔を隠すため。
 仮面をプレゼントし。
 それをかぶる勇者。

 そして、魔王の椅子にカディアが座り。
 その隣で嬉しそうに立つ。
 仮面勇者。

 すると。
 危険を知らせる鐘が響き渡り。
 魔族領に勇者の大軍と人間達が現れ。
 楽しそうに破壊と殺戮を始めた。
 
「魔王様! 大変です! 人間と勇者が攻めてきました!……え! 魔王ヘルゲイト様ですか?」

 と報告に来た魔族たちが驚く。
 そこには、初代勇者を従え。
 死んだはずの魔王ヘルゲイトが、堂々と座っていたのだ。

「我は、魔王ヘルゲイト! 復活したと全魔族と亜人達に知らせよ! それと! 防壁魔法を展開し。交代しながら維持せよ! その間に戦の準備を整え! 集合せよ!」

「「はっ! 仰せのままに! ご復活おめでとうございます!」」

 と魔族達は、期待と憧れの目で見て敬礼しながら出て行く。
 
「さあ、最後の戦いを始めよう! 今回は、我が娘もいるからの。百人力だ!」

「はい♪ お母様♪ 必ず勝利を収めましょう!」

 とヘルゲイトは、立ち上がり。
 嬉しそうな勇者と共に戦場に向かうのである。

 ここに旧魔王と旧勇者。
 新勇者達と人間の戦いが幕を開けるのであった。
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