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本編
6(後編)
「狭くてすみません。その辺、適当に置いてください」
夏休みも終盤に差し掛かった八月下旬。
本来ならある程度仕上げた状態で夏休みを迎えるはずなのだが、今回ばかりはそうもいかず、しかも夏休み中の大学の出入りは制限されてしまうため、こうして板垣の家にお邪魔して試験練習をすることになった。
「気にするな」
初めて訪れる板垣の家に緊張している岩倉は、ぶっきらぼうな返事しかできず、玄関を入る傍からそわそわと落ち着きがない。
玄関を上がると大きな一枚扉があり、その先が防音室兼居住スペースになっていた。
何となく手持ち無沙汰な岩倉は、とりあえず部屋の中を見渡すことにした。
物が少なくスッキリとした室内は、白黒茶を基調とした落ち着く印象だ。ちなみに、今挙げた色合いの黒の大部分はピアノが占めている。
これはピアノ科あるあるなのだが、ワンルームのど真ん中にグランドピアノが置かれている様はいつ見ても滑稽だ。何人かのピアノ専攻の奴の家にお邪魔したことがあるが、寝るスペースが確保できずにピアノの下に足が被るように布団を敷き寝ているやつもいた。何かあったらと考えると……、少し恐怖を覚えたことがある。
板垣の部屋は比較的広めなワンルームのため、ピアノを置いたとしてもベッドが置けるくらいのスペースは確保されていた。もちろんそれ以外大したものを置くことはできないとは思うが……。板垣は必然的なミニマリストなのかもしれないな。
「この部屋に物珍しいものは特にないと思いますけど」
「あぁ、ごめん。綺麗にしてるなと…」
罰が悪い。あまり人の家でキョロキョロとするものでは無い。
「別に楽さんですし、構いませんけどね。そうだ、譜面台持ってきていますか? うちにはないって事伝え忘れていて」
「ちゃんと持ってきてるぞ。流石にピアニストのうちにはないと思ってたからな」
「よかったぁ。少し休んでから始めますか?」
「いや、俺この後バイト入れてるんだ。六時にはここを出ないと」
なんとなく、この後予定が入っていることにしたくてバイトを入れた。そうすればタイムリミットが生まれるから。
「そうですか。じゃあ先に合わせた方が良さそうですね。余裕があれば時間が余るかもってことで」
「そういうことで。じゃ、よろしく」
そうして、板垣の家での試験練習が始まった。
始まってしまえば早いもので、いつの間にか時計の針は五時半を指していた。
「ちょうどキリがいいですかね」
「そうだな。結構納得いく感じにできたかも。わざわざ休みなのに、ありがとな」
「別にいいですよ、楽さんのためですから。てか、僕がいうのもなんですけど、この一年でめちゃくちゃ上手くなりましたよね」
いきなりすぎてびっくりしてしまった。板垣からそんな言葉が飛び出すとは、思ってもみなかった。
「それは間違いなく、千弥のおかげだから。千弥がいなかったら、ここまで上手くなってなかったよ」
これは本心だった。
「楽さんの実力ですよ。俺はあくまで伴奏、楽さんのサポートですからね」
「そんなことない。千弥じゃなかったら……ここまでなってない!」
大きな声を出してしまった。なんだかムキになってしまったな。大人気ない。
この発言に少し困った顔をした板垣だったが、切り替えは早いようで、「とりあえずはそういうことにしておきます」といいピアノの蓋を閉め始めた。
俺も片付けようとケースを取り出そうとしたところで、名前を呼ばれた。
「楽さん。帰る前にハグ、させてくれませんか?」
そう言いながらピアノ椅子に座る板垣に手招きされた。岩倉は持っていた楽器を一旦ケースの上に置き、板垣の方に近づいた。
「ここに座るのか?」
「そう、ここです」
指を刺しているのは板垣の太ももだ。
ハグってことは、向かい合って座れと言うこと、だよな……。俺には少しハードルが高すぎる!
「早くしないと先輩、バイト遅刻しちゃいますよ」
こういう時だけ先輩呼びしやがって。
いつまで経っても踏ん切りのつかない岩倉をみかねて、板垣は手首を軽く掴みひょいっと岩倉を引き寄せた。倒れ込むようにして板垣の太ももにまたがる形で、岩倉がスッポリと収まった。でも、抱きつくのが少しだけ恥ずかしい岩倉は、胸の前で自分の腕を握る姿勢をとっている。
「恥ずかしがってる楽さんも可愛いです」
「可愛いって、……言うな」
板垣の肩にうずくまりながら、少しばかり脆弱な虚勢を張ってみる。
少しの沈黙の後、急に板垣が岩倉の尻を持ち上げた。
その反動でバランスを崩した岩倉は、板垣の首に手を回し、がっしりとしがみつく体制になった。おかげで、さっきまで胸と胸の間にあった微妙な隙間がなくなった。
「落ちちゃいそうだったので」
「びっくりするだろうが」
「ごめんなさい。そろそろ顔、上げてくれますか?」
少し恥ずかしかったけれど、岩倉はゆっくりと顔を上げた。
顔を上げた目の前には少しだけ微笑んだ千弥の顔があった。
キスされる。
岩倉は瞬時に悟った。
そう思った時には、唇が合わさっていた。
少し冷たくて柔らかな感触。くっ付いたと思ったらすぐに離れ、もう一回、もう一回と触れるだけのキスを繰り返す。冷たかった唇が徐々に温められていき、啄むようなキスへと変わる。また何度も何度も唇を合わせる。
板垣に流されるまま、岩倉も無我夢中で唇を合わせた。
全身から動悸が止まらない。心臓が飛び出るのではと思うくらい、耳の後ろ側で鼓動が響いている。
どちらともなく唇が離れた瞬間、板垣にぎゅっと強く抱きしめられた。
「試験が終わるまで待ちます。でも、それ以上は自制が効かないと思うので、そのつもりでいてください」
遠回しであるが、これは俺とコトに及びたいと宣言されたようなものだ。
まもなく夏休みも終わろうとしている。試験終了まであと約半月ほどかと、岩倉は頭の中で時を数えた。
俺も男だ。欲望くらい人並みにある。今だって、……自分の下半身の膨らみかかったそれを意識する。と同時に、板垣のそれも膨らんでいることに、今更ながらに気付く。
「俺も、……そのつもりだ」
岩倉もぎゅっと抱きしめ返した。
板垣の家からの帰り、楽器を持ったままバイト先へ向かう訳にはいかないので、一度自宅へ戻ることにした。
帰る間際まで、送りましょうかと言われたが丁重に断った。板垣の家と岩倉の家は徒歩で十五分程しか離れていない。駅を挟んであちらとこちらくらいなものだ。
自宅までの帰り道、おもむろにスマートフォンを取り出し「男と男 エッチのやり方」と検索をかけた。
さっき板垣から告げられた言葉を反芻する。そして、板垣は告白の際に抱きたいと言っていた。
間違いなく、俺が受ける方、だよな…。一応逆も想像してみる。俺が千弥に…。あぁ、ないない。考えてはみたが、こっちの方が全然しっくりこない。
検索したサイトを眺め、なんとなく知ってはいたものの、どこか他人事のように捉えていたことが、今自分事として襲いかかって来た。今見ていることが事実だとして、自分自身果たしてこれができるのかと一抹の不安が募る。
岩倉はいてもたってもいられず、サイトの画面を閉じてしまった。
こうなったら、なるようになるとたかをくくる。この後に及んで試験前にも関わらず、試験よりも不安なことが生まれてしまった。
夏休みも終盤に差し掛かった八月下旬。
本来ならある程度仕上げた状態で夏休みを迎えるはずなのだが、今回ばかりはそうもいかず、しかも夏休み中の大学の出入りは制限されてしまうため、こうして板垣の家にお邪魔して試験練習をすることになった。
「気にするな」
初めて訪れる板垣の家に緊張している岩倉は、ぶっきらぼうな返事しかできず、玄関を入る傍からそわそわと落ち着きがない。
玄関を上がると大きな一枚扉があり、その先が防音室兼居住スペースになっていた。
何となく手持ち無沙汰な岩倉は、とりあえず部屋の中を見渡すことにした。
物が少なくスッキリとした室内は、白黒茶を基調とした落ち着く印象だ。ちなみに、今挙げた色合いの黒の大部分はピアノが占めている。
これはピアノ科あるあるなのだが、ワンルームのど真ん中にグランドピアノが置かれている様はいつ見ても滑稽だ。何人かのピアノ専攻の奴の家にお邪魔したことがあるが、寝るスペースが確保できずにピアノの下に足が被るように布団を敷き寝ているやつもいた。何かあったらと考えると……、少し恐怖を覚えたことがある。
板垣の部屋は比較的広めなワンルームのため、ピアノを置いたとしてもベッドが置けるくらいのスペースは確保されていた。もちろんそれ以外大したものを置くことはできないとは思うが……。板垣は必然的なミニマリストなのかもしれないな。
「この部屋に物珍しいものは特にないと思いますけど」
「あぁ、ごめん。綺麗にしてるなと…」
罰が悪い。あまり人の家でキョロキョロとするものでは無い。
「別に楽さんですし、構いませんけどね。そうだ、譜面台持ってきていますか? うちにはないって事伝え忘れていて」
「ちゃんと持ってきてるぞ。流石にピアニストのうちにはないと思ってたからな」
「よかったぁ。少し休んでから始めますか?」
「いや、俺この後バイト入れてるんだ。六時にはここを出ないと」
なんとなく、この後予定が入っていることにしたくてバイトを入れた。そうすればタイムリミットが生まれるから。
「そうですか。じゃあ先に合わせた方が良さそうですね。余裕があれば時間が余るかもってことで」
「そういうことで。じゃ、よろしく」
そうして、板垣の家での試験練習が始まった。
始まってしまえば早いもので、いつの間にか時計の針は五時半を指していた。
「ちょうどキリがいいですかね」
「そうだな。結構納得いく感じにできたかも。わざわざ休みなのに、ありがとな」
「別にいいですよ、楽さんのためですから。てか、僕がいうのもなんですけど、この一年でめちゃくちゃ上手くなりましたよね」
いきなりすぎてびっくりしてしまった。板垣からそんな言葉が飛び出すとは、思ってもみなかった。
「それは間違いなく、千弥のおかげだから。千弥がいなかったら、ここまで上手くなってなかったよ」
これは本心だった。
「楽さんの実力ですよ。俺はあくまで伴奏、楽さんのサポートですからね」
「そんなことない。千弥じゃなかったら……ここまでなってない!」
大きな声を出してしまった。なんだかムキになってしまったな。大人気ない。
この発言に少し困った顔をした板垣だったが、切り替えは早いようで、「とりあえずはそういうことにしておきます」といいピアノの蓋を閉め始めた。
俺も片付けようとケースを取り出そうとしたところで、名前を呼ばれた。
「楽さん。帰る前にハグ、させてくれませんか?」
そう言いながらピアノ椅子に座る板垣に手招きされた。岩倉は持っていた楽器を一旦ケースの上に置き、板垣の方に近づいた。
「ここに座るのか?」
「そう、ここです」
指を刺しているのは板垣の太ももだ。
ハグってことは、向かい合って座れと言うこと、だよな……。俺には少しハードルが高すぎる!
「早くしないと先輩、バイト遅刻しちゃいますよ」
こういう時だけ先輩呼びしやがって。
いつまで経っても踏ん切りのつかない岩倉をみかねて、板垣は手首を軽く掴みひょいっと岩倉を引き寄せた。倒れ込むようにして板垣の太ももにまたがる形で、岩倉がスッポリと収まった。でも、抱きつくのが少しだけ恥ずかしい岩倉は、胸の前で自分の腕を握る姿勢をとっている。
「恥ずかしがってる楽さんも可愛いです」
「可愛いって、……言うな」
板垣の肩にうずくまりながら、少しばかり脆弱な虚勢を張ってみる。
少しの沈黙の後、急に板垣が岩倉の尻を持ち上げた。
その反動でバランスを崩した岩倉は、板垣の首に手を回し、がっしりとしがみつく体制になった。おかげで、さっきまで胸と胸の間にあった微妙な隙間がなくなった。
「落ちちゃいそうだったので」
「びっくりするだろうが」
「ごめんなさい。そろそろ顔、上げてくれますか?」
少し恥ずかしかったけれど、岩倉はゆっくりと顔を上げた。
顔を上げた目の前には少しだけ微笑んだ千弥の顔があった。
キスされる。
岩倉は瞬時に悟った。
そう思った時には、唇が合わさっていた。
少し冷たくて柔らかな感触。くっ付いたと思ったらすぐに離れ、もう一回、もう一回と触れるだけのキスを繰り返す。冷たかった唇が徐々に温められていき、啄むようなキスへと変わる。また何度も何度も唇を合わせる。
板垣に流されるまま、岩倉も無我夢中で唇を合わせた。
全身から動悸が止まらない。心臓が飛び出るのではと思うくらい、耳の後ろ側で鼓動が響いている。
どちらともなく唇が離れた瞬間、板垣にぎゅっと強く抱きしめられた。
「試験が終わるまで待ちます。でも、それ以上は自制が効かないと思うので、そのつもりでいてください」
遠回しであるが、これは俺とコトに及びたいと宣言されたようなものだ。
まもなく夏休みも終わろうとしている。試験終了まであと約半月ほどかと、岩倉は頭の中で時を数えた。
俺も男だ。欲望くらい人並みにある。今だって、……自分の下半身の膨らみかかったそれを意識する。と同時に、板垣のそれも膨らんでいることに、今更ながらに気付く。
「俺も、……そのつもりだ」
岩倉もぎゅっと抱きしめ返した。
板垣の家からの帰り、楽器を持ったままバイト先へ向かう訳にはいかないので、一度自宅へ戻ることにした。
帰る間際まで、送りましょうかと言われたが丁重に断った。板垣の家と岩倉の家は徒歩で十五分程しか離れていない。駅を挟んであちらとこちらくらいなものだ。
自宅までの帰り道、おもむろにスマートフォンを取り出し「男と男 エッチのやり方」と検索をかけた。
さっき板垣から告げられた言葉を反芻する。そして、板垣は告白の際に抱きたいと言っていた。
間違いなく、俺が受ける方、だよな…。一応逆も想像してみる。俺が千弥に…。あぁ、ないない。考えてはみたが、こっちの方が全然しっくりこない。
検索したサイトを眺め、なんとなく知ってはいたものの、どこか他人事のように捉えていたことが、今自分事として襲いかかって来た。今見ていることが事実だとして、自分自身果たしてこれができるのかと一抹の不安が募る。
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