ヤクザ娘の生き方

翠華

文字の大きさ
33 / 80

誘拐

しおりを挟む
寒い…何だ?真っ暗で何も見えない…何があったんだっけ?あかりと弥彦さんと晶さんと四人で遊んでて、お腹空いたから飲食店に入って、それで…


だんだん暗闇に目が慣れてくる。


「ここは…学校の教室?でも、いつもの学校じゃない…気がする…」


古びた黒板に古びた机と椅子、割れたままの窓ガラス。


机と椅子は黒板側に雑に積み上げてある。


ここはきっと廃校になった学校の教室だ。


確か、ウチが通ってる学校から歩いて30分くらいの所だったと思う。


「花子ちゃん…」


「あかり、大丈夫?」


「うん。でも、ここは…」


「多分、廃校になった学校」


「…なんでそんな所に…」


「多分…いや、確実に弥彦さんと晶さんだろうね。あんまり言いたくないけど、最初からそのつもりだったんだ」


「…え」


「飲食店に入ってから水しか飲んでないし、疲れていたとしてもあんなに急に眠くなるなんて有り得ないからね」


「………」


「ごめんあかり」


「ううん…私の方がごめんね。こんな事になるなんて…」


「大丈夫。とりあえず、どうにかして逃げ出さないと」


「でも、どうするの?荷物は全部取られてるよ。それに…」


手も足も縄で縛られている。逃げられないようにかなりしっかりと。


「…そうだね。大きい音出すわけにもいかないし、どうするべきか…」


考えていると、


「あれ?もう起きちゃったの?」


「弥彦さん…」


「ごめんね。あかりちゃん。元々このつもりだったんだよ。あかりちゃんに話しかけたのも、花子ちゃんと友達だって知ってたからだし」


「そんな…」


「最初から好きじゃなかったよ。告白したのも花子ちゃんに近づく為だっただけだし」


「何で、花子ちゃんに…」


「それはね、ここにいる花子ちゃんが『桜組の娘』だからだよ」


「桜…組…」


「そう。この子はヤクザの娘なんだよ」


あかりは驚いた顔でウチを見る。


俯いて黙ったまま頷く。


ああ、終わった。知られるなら自分の口で言いたかったのに。馬鹿みたいだ。こんな奴にこんな場所でバラされるなんて。なんて屈辱的なんだろう。こんな時にこんな無駄なプライドなんかいらないのに。ウチはほんと、無駄なものが多い。嫌だな。


それに、ただでさえ傷ついてるあかりをもっと傷つけてしまった。騙し続けていたせいで、あかりを失ってしまう。


「…そうなんだ。花子ちゃんから聞きたかった」


ズキッ。


「…でも、花子ちゃんの事、また一つ知られて良かったよ」


え……。


思わず顔を上げてあかりを見る。


あかりは笑顔で笑った。


「あかり…」


「はいはい!友情なんて見たくないんだよ。悪いけど花子ちゃん、君は"黒薔薇組"に引き渡させてもらうよ。それで俺らは金を貰っておさらばだ。良かった良かった。これで鬱陶しい彼女とも別れて金も貰える。偽善者面した桜組の悔しがる顔も拝めるぜ」


「………」


「まぁそう怒んなって。今日中には黒薔薇組の奴が迎えに来るし、もう少し一緒に待っててもらうぜ」


「弥彦さん、あんたは知らないんだな。黒薔薇組の恐ろしさを」


「知ってるさ。人身売買に武器の密輸、違法な薬の売買、数えきれねぇくらいだな」


「そんな組の連中が一度関わってきた奴を生かして逃がすと思うのか?」


「そういう契約だからな。契約書だってある。金が貰えなきゃ他の組に情報を漏らすだけさ」


馬鹿だな。黒薔薇組の奴らがウチを捕まえる為にこいつらを泳がせているだけだと分かってない。ここへ来てウチを捕まえた瞬間こいつらの命はないぞ。そんなおぞましい瞬間をあかりには見せられない。トラウマで今までみたいに幸せに暮らすなんて出来なくなってしまう。


でも、しっかりと縄で縛られてる上に弥彦さんと晶さん、二人を相手にするのは難しい。どうにかしてあかりだけでも逃がしてあげたい。どうする?


暗闇の中、集中してひたすら方法を考える。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結済】25年目の厄災

恋愛
生まれてこの方、ずっと陽もささない地下牢に繋がれて、魔力を吸い出されている。どうやら生まれながらの罪人らしいが、自分に罪の記憶はない。 だが、明日……25歳の誕生日の朝には斬首されるのだそうだ。もう何もかもに疲れ果てた彼女に届いたのは…… 25周年記念に、サクッと思い付きで書いた短編なので、これまで以上に拙いものですが、お暇潰しにでも読んで頂けたら嬉しいです。 ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ ※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。 ※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。 ※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。 ※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。 ※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。 ※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。 ※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。 ※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...