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二章 宝物捜索 編
08
しおりを挟む物を見て回ると言うより、途中から聖獣なのに飯ばかり食っていく事に夢中になってて、いつの間にか腹はパンパンに膨れ、満足気だ
『 いやー、食った食った 』
「 よく味がねぇのにあんなに食ったな 」
休憩程度に街の公園にある噴水の前に座り、腹を触りながらご満悦の俺に、目の前に立っているソレイユは引き気味に眉を寄せていた
物を咬み、飲み込み、その動作は生き物として慣れ親しんだ行動の為に自然と食う事は楽しかった
どんなに味が無くとも匂いで想像するってこともまたいい、それに此所の料理が美味しそうなのは結構あったと言う事は、国の経済も悪くはない
主がいる国が治安が悪く貧困だったりすると、其だけで病みそうだからだ
『 顎を動かすってことが楽しかったんだよ 』
「 すぐに疲れるじゃねぇか 」
『 えっ?そんなわけ…… 』
食べた物を思い返してにこやかに笑みを浮かべてた俺は、ポツリと呟いたようなソレイユの言葉に視線を上げ、一瞬考える
そんな顎が疲れるような物を食べたっけ……と思考を回転させていれば一つの" 動作 "を思い出した時には頬に感じる熱に呼吸は荒くなる
「 ほら、フェ……いっ!! 」
『 街中で何を言おうとしてんだ、変態!! 』
座ったまま思いっきり足を踏んだ俺に、ソレイユは痛がりしゃがみこんだ
確かにあれは疲れるけど、そんな事を気にしない時だってある
いや!ナニを昼間から考えてんだと、首を振って冷静になり立ち上がる
「 そんな、怒ることねぇだろ…… 」
『 うっさい。馬鹿、ほら……シエル達の元にそろそろ戻ろうぜ 』
思い出しただけで恥ずかしい、その場のノリって怖いなって思うからこそ口元に手を置き、恥ずかしさに、頬が熱くなる
「 たっく、しゃーねぇな……戻るか 」
ソレイユは気にしないだろうし、慣れてるような感じはあるから平然と言えるのだろうが
俺はまだ経験が浅い、そう簡単に下ネタを笑って返せるような事は出来ないと思う
どちらかと言えば、クラスに一人は居るだろ、男子の下ネタを笑って返せるような女の子には何一つ共感は出来ず、寧ろ引いて遠目で見てた位だ
自分が言う立場になるとは思えず、ソレイユの冗談をどう返したらいいか分からない
「 ルーナ 」
『 なんだよ 』
シエル達の魔力を頼りに先に進む俺の名を呼んだ彼へと、また変なことでも言うんじゃ無いかと振り返れば、立ち止まりそっと片手を向けていた
「 手を繋ぎたい、駄目か? 」
『 あ…… 』
そう言えばタピオカ擬きのカエルの卵辺りから、繋いでいた手は既に離れていて、そのまま気にせず歩き回っていた
気にしてたのかと、思えば改めて言われる恥じらいが有るものの仕方無くその手を取った
『 ほら、これでいいだろ! 』
「 嗚呼、満足だ 」
お手をするように手に触れれば繋ぎ直し、共に歩いていく
少しだけ俺の手が持ち上がるような感じになるが、こうやって歩くとやっぱりデートのように見えてしまう
意識するのはいつも俺ばかりだ……
「 ソレイユ、お帰り!ん?その子は? 」
「 あれ?ルーナは? 」
流石聖獣、歩いて戻ったにしろ主の居場所はドンピシャに当てれる
二人は其々にキャラクター飴のような飴細工を持ってるのを見れば俺達と同じく満喫してたのだろ、すれ違いはしなかったにしろ
この街は他にも色々あるから、一日じゃ全てを見て回れないだろう
少しだけまた来れたらいいな、と思いつつ二人が俺を探すように辺りを見るから笑みを溢し、
繋いでいた手を離し胸元へと手を置く
『 俺がルーナだ!どうだ、人型にもなれるんだぜ 』
「「 ルーナ!? 」」
『 そう! 』
胸を張ってフサフサの毛量がある尾を左右に揺らして、誉めてとばかりに思っていれば
二人は顔を見合わせてから真顔で告げた
「 てっきり迷子の子供かと…… 」
「 オレ達とそんな変わんない子供…… 」
「 ブッ…… 」
二人の言葉に背後で小さく吹き出したソレイユの態度にイラッとするが、そんな風に見られたことの方が驚きだ
『 えっ、そんな子供っぽいかよ!? 』
「 だって……ねぇー? 」
「 なぁー 」
テールとシエルが其々に顔を合わせて首を捻ったことに、俺は別の恥ずかしさと言うより怒りが込み上げる
子供なのは見た目だけで、中身は大人と言いたい元大学生
此所に居る二人より多少永く見えきたのに、子供……
『 俺は子供じゃない!! 』
「 だってさー、ソレイユが大きいから保護者みたい 」
「 そうそう!保護者と子供! 」
「 保護者…… 」
『 子供…… 』
少し後ろを向いた俺と、何か心に刺さったのだろ
暗い顔をしたソレイユは少し考えた様に舌打ちをし、その身体は雷のバチっと音と共に雷雲が渦巻くように身に纏う
「 此なら、保護者とは言えねぇだろ 」
『 えっ…… 』
「「 わっ……」」
俺達とはたいして変わらない、背格好をしたソレイユが立っていた
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