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東京は狭い
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東京は、案外、狭い。
父親が個人タクシーの運転手をしていた友人から聞いた話。
友人が妹と銀座で買い物をして、いざ帰宅しようとした時、「お姉ちゃん、タクシーで帰らない?もう、電車に乗って帰るの、かったるい」
と、妹。
確かに、2人とも久しぶりのショッピングで両手いっぱいの紙袋。
普段は倹約家の友人も流石に混んだ電車に乗る気がしなかった。
「そうだね、タクシーで帰ろ」
4丁目のコアビルの前から、手を挙げた。
運良く空車のタクシーが、2人の前に横付けになった。
ドアが開き、妹が先に乗り込む、紙袋が邪魔をして中々、奥に座り込めない。
「お客さん、荷物、トランクに入れますか?」
「ん?」
なんだか、聞き覚えのある声だ。
妹が、声のした方へ顔を向ける。
と、同時に、運転手と妹が声をあげた。
「あっ!」
ここで会ったが100年目、親子の御対面である。
今朝、一緒に朝ご飯を食べて、数時間しか経っていないのに。
「なんだ、お前達、銀座に買い物に来てたのか」
「お父さんこそ、こんなとこまで、来てたの?」
「あぁ、個人だからな、気の向いた所を流してるんだ。今日は、もう、商売にならねえな、俺も今日は店じまいしよっ」
お父さんは、2人の娘を乗車するとメーターを倒し回送にすると、そのまま帰宅したそうだ。
ところが、この後に、親子は上野でも遭遇することになる。
「世間って狭いねぇ、それも東京で、自分の父親のタクシーを2度も拾う事になるとは」
と、友人は、しみじみ言ってた。
あれから、数十年、友人は、40代の初めに大腸癌で亡くなった。
3歳になる可愛い忘れ形見を残して。
天国も狭いんだろうか。
私が逝った時に、また、ばったり会えたらいいな。
父親が個人タクシーの運転手をしていた友人から聞いた話。
友人が妹と銀座で買い物をして、いざ帰宅しようとした時、「お姉ちゃん、タクシーで帰らない?もう、電車に乗って帰るの、かったるい」
と、妹。
確かに、2人とも久しぶりのショッピングで両手いっぱいの紙袋。
普段は倹約家の友人も流石に混んだ電車に乗る気がしなかった。
「そうだね、タクシーで帰ろ」
4丁目のコアビルの前から、手を挙げた。
運良く空車のタクシーが、2人の前に横付けになった。
ドアが開き、妹が先に乗り込む、紙袋が邪魔をして中々、奥に座り込めない。
「お客さん、荷物、トランクに入れますか?」
「ん?」
なんだか、聞き覚えのある声だ。
妹が、声のした方へ顔を向ける。
と、同時に、運転手と妹が声をあげた。
「あっ!」
ここで会ったが100年目、親子の御対面である。
今朝、一緒に朝ご飯を食べて、数時間しか経っていないのに。
「なんだ、お前達、銀座に買い物に来てたのか」
「お父さんこそ、こんなとこまで、来てたの?」
「あぁ、個人だからな、気の向いた所を流してるんだ。今日は、もう、商売にならねえな、俺も今日は店じまいしよっ」
お父さんは、2人の娘を乗車するとメーターを倒し回送にすると、そのまま帰宅したそうだ。
ところが、この後に、親子は上野でも遭遇することになる。
「世間って狭いねぇ、それも東京で、自分の父親のタクシーを2度も拾う事になるとは」
と、友人は、しみじみ言ってた。
あれから、数十年、友人は、40代の初めに大腸癌で亡くなった。
3歳になる可愛い忘れ形見を残して。
天国も狭いんだろうか。
私が逝った時に、また、ばったり会えたらいいな。
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