俺だけ使える1万円で超能力を買える怪しいサイトを見つけたら人生が変わった件

黒飛清兎

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87話 ナイトシティー

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「っ、な、なんだ?」

  俺が彼らに迫っていると、突然地面が大きく揺れた。
  こんなこと起こそうなんて1ミリたりとも思っていなかったし、なぜそんな事が起こってしまったのか不思議でならなかった。
  まさか、俺の他にも俺みたいに夢を操ることが出来るやつが居るのか……?

  俺は辺りをきょろきょろと見回す。
  しかし、そんな感じの雰囲気を醸し出しているやつはどこにも居ない。

  少し焦りながらも、俺は自分の身を守る為に辺にある透明な壁の量を増やした。
  この壁がかなり強固な事は分かっているし、これがあれば大丈夫だと思うんだが……。

  奴らに何がするのを一旦ストップし、『キミイロ』のメンバー達も一旦動かないようにして周囲の警戒を続ける。
  すると、辺りは再度大きく揺れた。
  先程よりも大きな揺れだ。

  観客席の方からもどよめきが聞こえてくる。
  冷静な人物はどこにも見れない。

「くそ、なんなんだよこれ……」

  この世界は完全に俺のものだと思っており、まさか俺以外のものからの攻撃を受けるなんて一切考えていなかった為少し衝撃が大きい。
  が、そんな事を言っている場合では無い、何とか対策を考えなくては…………。

  とは言っても俺にもこの夢の世界は完全に理解できている訳ではなく、このライブ会場以外の場所がどうなってるかなど一切分からないのだ。

  狸寝入りするしか無いのかと考えていると、また地面が揺れ、今度はどこからとも無く声が聞こえてきた。

《おい、開けろ!》

  その声は遥か遠くから聞こえてきているようにも逆に非常に近くから聞こえてくるようにも聞こえる、不思議な声であった。
  その怒号と共に俺達の立っている地面は揺れているようだった。

「この声は……さんだ!」
「っ! ほ、ほんとだ、助けに来てくれたんだ!」

  その声を聞いた観客席の者共は一斉にその名を叫んでいた。
  ナイトシティー? なんだそれ、奴らが言うには人の名前のようだが……どういうことなんだろうか?
  ナイトシティーと言う名前には聞き覚えがない、そんな人間は俺の記事やライブ配信等には現れていなかったはずだし、本当にその名前は俺の記憶に無い。

  しかし、目の前の奴らがその名を知っているということは十中八九奴らの知り合いなのだろう。

  だとしたら、明らかに敵だ。
  どうやって俺の夢に干渉しているのか分からないが、少なくとも俺には『ドリーマー』がついている。
  これがある限り俺は夢の中において最強の力を手に入れることが出来るのだ。

「ナイトシティー……居るなら出て来なよ! お前もこの『キミイロ』のファンなんだろ?  だったら、出てこなかったらこの子達がどうなるか……分かるよな!?」

  もしかしたらあの地獄絵図の観客席に紛れ込んでいるのかもしれないと思いそうかまをかけてみるが、特に目立った反応は無い、昨日と同じ感じだ。

  だったとしたら……………奴は何処にいる?
  ナイトシティーとか言うやつが居る場所に転移する想像をしてみるも、やはり上手くいかない。
  まさか、この夢に居る訳じゃないのか?

  夢に居ないとなると……どうやって俺に干渉してるんだ? 

  俺が思考を深めようとしていると、俺の耳元で見知った2つの声が聞こえてきた。
  その声は俺の耳元で囁くように喋っているようで、他の奴らには聞こえていないようだった。

「……彩斗くん、起きて、緊急事態」
「……お願い、彩斗くんの力が必要なの」

  その声は俺がなんなら親の声よりも聞いているかもしれない2人の声……そう、命と紫恵だ。
  こんな悪夢を見せる訳にもいかないからこの夢の中には登場しないように仕向けていたって言うのに、なんで2人の声が…………。

「…………まさか!」

  俺はあるひとつの考えに至り、急いで目覚める準備をする。
  観客席からはナイトシティーへと賛美の言葉などが聞こえてきており、地獄絵図が更に気持ちの悪いものへと変容していっていた。
  こいつらにもっとトラウマを植え付ける計画だったんだが……今日は一旦中止だ。
  まぁ、まだまだ時間はある、これから何とかしていけば良いだろう。

  俺はせめて少しでも怖がらせる為に俺も含め全員を雲の上に転移させる。

  自由落下を続けながら俺はその場で浮遊し、その後すぐに目を閉じ、起きるよう想像した。



  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇



「…………状況を説明してくれ」
「…っ、起きた」
「……ちょっと冷静すぎない? ま、頼り甲斐があって良いけど…………」
「いいから……何があった」

  俺が目を覚ますと、2人は俺が寝ていた座椅子の方に固まっていた。
  座椅子はちょうど部屋の窓やドアから1番遠い位置にあり、壁を背にして置かれている。
  2人は壁にもたれかかっていた俺の両隣にしゃがんでいる状況だ。

「そ、それが……」

  命が話始めようとした瞬間、ドアの方から何か叩くような音が聞こえてくる。

「おい、クソアマ! 居るのは分かってんだよ! 出てこい!」

  その声は先程目覚める前夢に出てきたナイトシティーとか言うやつの声と一致していた。
  …………何となく状況は掴めてきたぞ。
  
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