12 / 26
12話 身体検査
しおりを挟むひとしきりお札を拾い終えた僕達はまたおまわりさんが戻ってきてしまっても厄介なのでそそくさと銀行からは立ち去り、また温泉宿に戻った。
温泉宿へ向かう途中のあの刺激臭が僕達を極楽へと導く道筋に感じてしまう。
なんたってこれから僕達は温泉に入ることが出来るんだ、浮かれてしまうのもしょうがない。
しかし、そこで僕はひとつの事に気がついた。
「あれ、おかみさん戻ってきて無いんだね。」
「…………そうだね、まぁ、おかみさんが居たら温泉に入れないかもしれないし、今のうちに入っちゃおうよ!」
「うん、そうだね!」
色々疑問に思うことはあるけれども、そんなのもうどうだっていい。
僕はルカに連れられ温泉宿の更に奥へと進んでいく。
そして、ある時を境にムワッとした湿気が辺りを包み始めた。
それと共に僕のテンションも急上昇していく。
独特な刺激臭の匂いも今では何だかいい匂いに感じる。
その時、ルカが歩みを止めた。
「みんなストーップ! 温泉に入る前に身体検査だけしちゃおうよ! 傷とかがあったら大変だしね!」
「んー、そうだねー、僕あれあんま得意じゃ無いんだよねー。まぁ、仕方ないからやるけどさー。」
「…………うん、僕もあれくすぐったくて苦手。」
前回やった時は必死に我慢したけど、やっぱりくすぐったいのは少し苦手だ。
「ふっふっふー、あたしは全然平気だぞ!」
「…………アニは痛覚がないからでしょー? 僕達はちゃんと感じてるからくすぐったいんだよー。」
「そーだそーだー!」
「じょ、冗談だよ、そこまで言わなくても…………。」
「あはは、じゃあやってくよー!」
ルカはみんなの体をぺたぺたと触っていく。
「うっ、くっ、くすぐったい…………。」
僕はくすぐったいけど何とか我慢していた。
「ふにゃ、ちょ、ルカ、も、もっとゆっくりやってー!」
サナは僕よりくすぐったいのが苦手なのか僕よりもくすぐったがっていた。
「ふはははは! みんなそんなにくすぐったいのかー!? あたしは全然くすぐったくなーい!」
「…………アニ、痛覚を直したら覚えていてねー?」
「ひぃっ!? さ、サナごめんって!」
アニはやはりくすぐったくないようで、くすぐられるのが苦手なサナに怒られていた。
あんまり見たことの無いサナの様子が見れてちょっと面白い。
「よし、みんな大丈夫! じゃあ私の身体検査はサナにやって貰うかなー。」
「…………分かったよー。ふふふ、覚悟してねー。」
サナはルカに触られてすごくくすぐったがっていたからか思いっきりルカに触り始めた。
「ふふふ、効かないよー。」
「ええっ、なんでー?」
…………ルカもくすぐられるのは大丈夫なんだね。
ルカのくすぐったがっている姿もちょっとだけ見たかったから残念だ。
「むー、ここは? こっちは?」
「…………き、効かないよー!」
あれ、この様子は…………痩せ我慢してる?
「サナ、もっとやっちゃってよ!」
「…………了解だよー。」
サナは僕の指示を聞いてルカの色んなところをくすぐっていた。
「ちょ、まって、それ以上はっ、くっ、あははははっ、やめてっ、くすぐったい!」
やっぱりルカもくすぐられるとくすぐったいみたいだ。
さっきまでのはやせ我慢だったみたいだ。
ふふふ、満足。
「ちょ、もうやめて! 謝るからー!」
「ふふふ、ルカも大丈夫そうだねー」
サナはそう言うと手袋をピッピッっと外すような仕草をした。
ルカは僕の横に座り、大きなため息をついた。
「いやぁー、酷い目にあったよ、わたし何も悪いことして無いのに…………。」
「ごめんごめんー、ついねー。」
「はぁ、けどまぁみんな大丈夫そうで良かったよ。」
僕たち3人は散々くすぐったくなった為か少しぐったりとしていた。
「よっし、じゃあみんな、入ろっか!」
ルカは僕の事を持ち上げてくれる。
「ちょっと待って、このままだと転んじゃって危ないから、お風呂では僕自分で歩くよ!」
「…………確かに危ないよね、分かった、じゃあ私の腕にしっかり抱きついて歩いてね、メグは三半規管もちょっとやられちゃってるからまだ1人では歩けないだろうかね。」
「…………うん、分かった。」
僕は目を見えるようにし、ルカの腕に抱きつき、体を寄せる。
「じゃあ立つよ、いち、にの…………さんっ!」
僕はルカの合図で立ち上がった。
「大丈夫そう?」
「うん、何とかね、ありがとう、ルカ。」
「なんもだよ! じゃあ行こうか!」
僕たちは1歩1歩歩き出して、扉を開ける。
ひゅぅっと涼しい風が吹き抜け、それと共に濃厚な温泉の匂いが漂ってくる。
「わぁっ! これは露天風呂か!?」
「うん、そうだねー。」
「おかみさんが居たおかげで凄い綺麗だし景色も良い…………最高だね!」
僕は景色は見えないけれど、この最高の雰囲気は伝わってくる。
「やっとだね、もうこのベタベタの体ともおさらばだ!」
「メグは1番楽しみにしてたもんね! 本当に来れて良かったよ!」
「うん!」
僕達はそのまま温泉へと向かっていった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
勘当された少年と不思議な少女
レイシール
ファンタジー
15歳を迎えた日、ランティスは父親から勘当を言い渡された。
理由は外れスキルを持ってるから…
眼の色が違うだけで気味が悪いと周りから避けられてる少女。
そんな2人が出会って…
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる