13 / 51
13話 洗いっこ
しおりを挟む「ねぇ、リリン、魔物って何?」
俺はとりあえず気になったことを聞いてみた。
今突然ネロがリリンの事を騙してるかもしれないなんてことを言ったところで困惑してしまうだろう。
それに、俺のメインの目的である睡眠に関しても今叶ってしまえばリリンの事をほっぽり出して眠りについてしまう可能性が高い。
だからこそ、今はリリンを助け出すためにもこの世界の事を知らなくてはいけない。
リリンに魔物の事を聞くと、少しうーんと悩んだ後に教えてくれた。
「ネムちゃんって記憶が無くなってるんだよね?」
「うん」
「じゃあ詳しく説明するね!」
それからリリンは魔物についてとても詳しく教えてくれた。
曰く、この世界は聖なる源と邪なる源の2つの源から成り立っているらしい。
その2つの源は対極の位置関係にあるらしく、それぞれ、聖なる源に近ければ人族の領土、そして邪なる源に近ければ魔族の領土となるらしい。
そして、人族の領土に住む比較的温厚な生物をそのまそのまま生物と言い、魔族の領土に住む凶暴な生物の事を魔物というらしい。
全ての物はその源に影響を受けその姿を変えているということみたいだ。
「……だけど、そうだとしたら私はなんでここにいるの?」
そこが純粋に疑問に思った。
リリン曰くアンデッドというのは死体がある程度の期間邪なる源に晒された結果魔物化したものらしい。
だとしたらここは恐らく聖なる源側の人族の領土みたいだし、俺がここに居るということが異常に思える。
「あー、多分ここが2つの源のちょうど中間のところ辺りにあるからじゃないかな?」
「そうなんだ?」
「そうそう、どっちの源の影響も受けてるからネムちゃんはアンデッドになったんじゃないかな? あ、あとそれの影響で喋れてるのかもね!」
「ふむ……」
そういう事ならおかしく無いのかな?
それ以上のことはリリンも知らないようだった。
そんなこんなで話しているとリリンはご飯を食べ終わってしまっていた。
途中で流石に俺も食べた方がいいということで俺も多少はパンを食べた。
やはり味は分からなかった。
「よし、それじゃ体を綺麗にしたら寝よっか!」
「うん」
「それで、提案なんだけど……体洗いっこしない?」
「…………」
ふむふむ、それはまずいんじゃないか?
抱きついたりとかそういうのは必要に迫られて仕方がなくやった事だし、別にやましい意図とかもない。
しかし、洗いっことなるとやましい意図があるとかないとか関係なしに犯罪ではないか?
いや、罪に問われることは無いだろう、だって今の体はまんま幼女なのだから。
だが、それにしたってやっていい事と悪いことはあるだろう。
今回のこれは明らかにやってはいけないことだ。
「いや、けどそれはちょっと……」
俺は丁重に断ろうとした。
しかし、そうするとリリンは目をうるうるさせて今にも泣きそうな表情になる。
「背中とか拭きにくいところを拭いて欲しかっただけなんだけど……そんなに嫌なんだったら、いいよ、ごめんね………」
ぐぅっ!? 良心がっ!
良心と理性という普段は割と仲のいい2つの感情がぶつかり合っているだと!?
「いや、別にやなわけじゃないよ」
「じゃあ、洗いっこしよ?」
「ゔっ……」
これはこれは、どうしたものか…………。
脳内の良心と理性の戦いはどうやら理性の優勢のようだった。
しかし、ここで良心の必殺技が出た。
そう、「もう体は幼女なんだし、別にいいじゃないか」だ!
結果としましては…………。
「ありがとー、いつもそこの部分届かなくてむず痒い思いしてたんだよね、あー、きもちいいー」
「…………」
えー、良心の勝利です。
こんな良心は嫌だランキングトップ層のりょうしんが良心が勝ってしまいました。
せめてと思い目を半開きにしながら、そして服で背中以外の部位を隠した状態というできる限りのことはした状態での洗いっこだ。
……まぁ、こんな事をした所で罪の意識は消えないわけなんだが、ともかくこれで何とかなった。
背中を拭き終わったリリンは清々しい顔でタオルをバトンタッチした。
「じゃ、脱がすね」
「うん………………ん?」
特に何も考えていなかったから一瞬違和感無くスルーしてしまうところだったが、流石にこれは俺も見逃さない。
…………リリン、君なんで俺の服を全部脱がしているんだい?
俺は慌てて止めに入る。
「リリン、ストップ、これ以上は、だめ」
「…………ネムちゃん、まだ体動かしにくいし力も入らないんでしょ?」
「…………まぁ」
歩くぐらいならそこまできつくは無いが、少し細かい動きなどをするのは流石にキツイ。
体を拭くというのも腕を後ろにやったりするのは少しきついかもしれない。
だが、リリンにやらせなければいけないという程では無い。
「あの、リリン? えっと、やめて?」
「…………」
あ、ダメだ、リリンの目が座ってる、これは何言っても無理なやつだ。
俺は必死に抵抗しながらも自分よりも体の少し大きなリリン為す術なく服を脱がされていく。
間もなくして俺は諦めて身を任せた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活
仙道
ファンタジー
ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。
彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。
追放された俺の木工スキルが実は最強だった件 ~森で拾ったエルフ姉妹のために、今日も快適な家具を作ります~
☆ほしい
ファンタジー
ブラック企業で過労死した俺は、異世界の伯爵家の三男・ルークとして生を受けた。
しかし、五歳で授かったスキルは「創造(木工)」。戦闘にも魔法にも役立たない外れスキルだと蔑まれ、俺はあっさりと家を追い出されてしまう。
前世でDIYが趣味だった俺にとっては、むしろ願ってもない展開だ。
貴族のしがらみから解放され、自由な職人ライフを送ろうと決意した矢先、大森林の中で衰弱しきった幼いエルフの姉妹を発見し、保護することに。
言葉もおぼつかない二人、リリアとルナのために、俺はスキルを駆使して一夜で快適なログハウスを建て、温かいベッドと楽しいおもちゃを作り与える。
これは、不遇スキルとされた木工技術で最強の職人になった俺が、可愛すぎる義理の娘たちとのんびり暮らす、ほのぼの異世界ライフ。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
Sランクパーティを追放されたヒーラーの俺、禁忌スキル【完全蘇生】に覚醒する。俺を捨てたパーティがボスに全滅させられ泣きついてきたが、もう遅い
夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティ【熾天の剣】で《ヒール》しか使えないアレンは、「無能」と蔑まれ追放された。絶望の淵で彼が覚醒したのは、死者さえ完全に蘇らせる禁忌のユニークスキル【完全蘇生】だった。
故郷の辺境で、心に傷を負ったエルフの少女や元女騎士といった“真の仲間”と出会ったアレンは、新パーティ【黎明の翼】を結成。回復魔法の常識を覆す戦術で「死なないパーティ」として名を馳せていく。
一方、アレンを失った元パーティは急速に凋落し、高難易度ダンジョンで全滅。泣きながら戻ってきてくれと懇願する彼らに、アレンは冷たく言い放つ。
「もう遅い」と。
これは、無能と蔑まれたヒーラーが最強の英雄となる、痛快な逆転ファンタジー!
魔法が使えない落ちこぼれ貴族の三男は、天才錬金術師のたまごでした
茜カナコ
ファンタジー
魔法使いよりも錬金術士の方が少ない世界。
貴族は生まれつき魔力を持っていることが多いが錬金術を使えるものは、ほとんどいない。
母も魔力が弱く、父から「できそこないの妻」と馬鹿にされ、こき使われている。
バレット男爵家の三男として生まれた僕は、魔力がなく、家でおちこぼれとしてぞんざいに扱われている。
しかし、僕には錬金術の才能があることに気づき、この家を出ると決めた。
僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜
リョウ
ファンタジー
僕は十年程闘病の末、あの世に。
そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?
幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。
※画像はAI作成しました。
※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる