前世勇者の世直し人生〜400年前に死んだ元勇者、この世界に物申す！〜

1章：新たな人生編

2話，元勇者、暇つぶしに、ダンジョンに行く

あれから恐らく一週間は経った。その間、木を切り倒して簡易的な家を作ったり、木の実などを集めたり・・・。結構大変、というわけではない。むしろ飽きてきた。

前世は魔物がたくさんいたから毎日ぶっ飛ばしていたもんだ。平和な現代は俺には向いてないな。だからといって魔物が出てきてほしいというわけではない。俺の目的は何しろ『スローライフ』だからな！

・・・・・・めんどくさくてごめんなさい。

「あー、今日も暇だな～」

只今俺は、お手製の家でゴロゴロしてる。どうせならスキルのレベル全部MAXにしようかと思って修行したら、なんと1日で終わってしまった。

「ん？　この匂いは・・・」

突如窓から濃い臭がしてきた。血だ。それも・・・。

「これ・・・魔物？　え、な、なんで？」

おっかしいな～。前に山を回ったときはなんにもいなかったのに。とりあえずは外へ出てみないと分からんか。

「【千里眼】」

俺はスキルを使う。すると、東の方向に濃い魔物の反応があった。ざっと見ても数十体はいるか。

「――――まあ、暇だったし丁度いいか」

今日は久々に楽しくなりそうだ！
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なーんて思ってた時もありました。結果から言って、期待外れ。大外れだ。少しは腕のなるやつかと思っていたが、実際はオーガが数体と、ゴブリンの群れだけだった。

さっきまでオーガとゴブリンは争っていたが、そいつらは俺を見つけると真っ先に襲いかかってきた。だが、俺がそこらにある意思を適当に投げつけるとみんなポックリとお陀仏になってしまった。

「えー！　コイツラのレベル低くねッ！？」

とりあえず素材を剥ぎ取って【笑う奇術師】の能力でアイテムボックスを作り、その中にぶちこんだ。

あ、ちなみにこの【笑う奇術師】って結構便利なんだよね。発動条件は自分が「そうだ」と思い込むこと。いわば創作魔法だな。もちろん敵にも効き目は抜群。結構お気に入り。

とまあ、それはおいておいて。俺が不思議に思ったのは2つ。

１つは、どうしてここに魔物がいるのかということ。魔王軍を倒したから、てっきりいなくなったのかと勝手に思ってた。
2つ目は――――――。

「・・・ここに残ってたのか。《虎王の迷宮》・・・！」

《虎王の迷宮》とは。前世にもあった最古から伝わるダンジョン。まだ攻略は俺も含めていなかった、極めて地獄を見るであろう所。

そんなダンジョンがまだ残っていたとは。魔物が出たのも、コレが影響していたのか。

久々に胸が高鳴る。勇者としての勘が言っている。ここは俺にふさわしいとな。

俺は近くにあった小枝とオーガの持っていた大剣を手に、一人ダンジョンへ潜ったのだ。