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⑫センフーとカオリン
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「俺は自分で言うのもなんだが賞金稼ぎとしては優秀だった。2年前のあの時、俺は反社組のゲンゾウを追って王国を飛び出して、かなり遠くまで行ってしまった。ゲンゾウは凶悪な奴で逃げる途中で、立ち寄った村や町で悪事を働いていた」
食事のメニュー表を見ていたヨリコは、お腹が空いて来たのか厨房の方へ大きな声で注文した。
「すみませーん。今日のおすすめ定食を3つ下さーい。」
ゴロウと女将に確認するヨリコ。
「ゴロウちゃんとお母さんもそれで良かった?」
ゴロウと女将が頷いた。
話を中断して待っていたセンフーがヨリコを見た。
「どうぞセンフーさん、話を続けて下さい」と言った。
センフーは頷いて話を続ける。
「俺も必死だったがゲンゾウも
必死だった。だが奴も疲れていたんだろう。野宿をしているときに睡魔に勝てず寝てしまったんだ。」
ヨリコが呟いた。
「分かるわ、ゲンゾウの気持ち。私も夜が近づいてくると店番疲れるもん。暇だと眠くなるし」
センフーは酒をちょびちょび口にしながら、
「ゲンゾウは俺を引き離したと思い込んでいたらしくて、ぐっすりと寝てしまった。俺は寝込みを襲うことにした。わざわざ起こす必要はねーからな」
センフーがカオリンを見ながら、
「俺は刀を手に取り、草むらから出て行こうとしたんだが、出るのをやめた。ゲンゾウの前にカオリンが現れたからだ」
ヨリコが嬉しそうに、
「お料理来たよ。美味しそう」
お料理がテーブルに並べられていく。
「さっ食べよ、ゴロウちゃん、お母さん」
頷くゴロウと女将。
自分の独白に酔っているセンフーは気にせず話しを進めた。
「魔族がどうしてここに?とも思ったが暫く様子を見ることにした。そしたらゲンゾウがうなされ始めた。そして悶え始めてな、気持ち悪かったぜ」
ヨリコが呟く「それはキモそうだ」
女将も続く「そうねえ」
「その時だ!カオリンの後ろの方に、大分離れていたが武装した魔族が立っていた。一人だったがな。だがそいつの殺気が尋常じゃなかった。」
「ゴロウちゃんがお母さんを見つめる顔も尋常じゃないときあるからわかるーー」とヨリコ。
「ヨリコちゃん、俺はね、元々そういう顔なの」
構わず話を進めるセンフー。
「カオリンがゆっくりとゲンゾウの後ろに立つと、奴がすっと立ち上がったんだ。今まで寝ていた奴がだ。」
ヨリコがまた口を挟む。「ゾンビみたいね。」
「ゲンゾウは二刀流で構えて、武装をした魔族……名前はなんだっけ?カオリン」
「サイラス。魔国特殊部隊の一人よ」
「そう、そのサイラスにゲンゾウが立ち向かって行ったんだ。ゲンゾウの奴、俺とやりあっていたときよりも強くなっててな、驚いたぜ。」
カオリンを見ながら、
「カオリンが潜在能力を引き出す魔法をゲンゾウにかけていたんだ」
ヨリコがゴロウを見る。
「ゴロウちゃん、今カオリンの胸を見ていたでしょう?」
ゴロウが否定する。
「見てない見てない。」
「ゲンゾウとサイラス。最初は互角だったんだが、やっぱり元々の実力の違いがあったんだな。ゲンゾウの奴がだんだんと押されはじめたんだ。こりゃゲンゾウが負ける、ゲンゾウは勝てねー。そう思った瞬間、ゲンゾウの首が宙を飛んでた」
ゴロウに酒を勧めるセンフー。ゴロウが珍しく酒を飲んだ。センフーが話しを続けた。
「これは不味いことになったと正直思った。俺は動かずにじっと身を潜めてサイラスがどこかへ行く事を願って草むらでじっとしていたんだが……」
センフーがカオリンの顔を見て「カオリンの姿も消えていたんだ。カオリンはゲンゾウをだしにして逃げたと思った。しかしサイラスがカオリンを追い掛けずに俺が潜んでいた草むらをじっと見てやがってな。」
「これはやばいことになったと。俺は全力で逃げようと思ったんだが……」
「俺の首筋に刀があたっていた。カオリンが俺の後ろに立っていたんだよ。俺の首筋に刀をあてて……」
「サイラスがこっちに向って歩き始めた。後ろにはカオリン。絶対絶命とはまさにそれだな。俺は殺されるのか。そう思った時カオリンが言った。俺の耳元で囁くように……」
助けて……
私を助けて……
お願い……
ゴロウはちいさく呟いた。
「女性の囁き声はいいよねー」
「俺はゆっくりと後ろを振り向いた……カオリンが泣いていた。」
女将も口を挟む「女の武器を使ったのね」
「俺の首筋に刀をあてているほうが助けてときた。しかも泣いてるし。前を見るとサイラスがゆっくりとこっちに歩いて来る」
「答えは一つだ。わかった。」
「そう答えた瞬間、俺の体から湧き上がるような力が、ヤル気が湧き出てきた」
「カオリンがゲンゾウにかけた潜在能力向上の魔法を俺にもかけたんだ」
「俺はすぐにヤツの目の前に飛び出し、思い切り刀を横に払った」
「サイラスの顔が宙に浮かんでいたよ」
センフーはカオリンを見つめたまま、
「俺がカオリンの方を向くと同時に、泣きながら抱きついて来た。カオリンの胸の柔らかさが俺の胸にも伝わった」
「カオリンは『ありがとう』って泣きながら俺にキスをした」
センフーは目を閉じて想い出すように言った。
しばしの沈黙の後ヨリコが無邪気に言った。
「センフーさん。それってサキュバスの常套手段じゃないの?」
「え?」センフーがヨリコを見た。
「男を虜にするのがサキュバスでしょ?それに…」
ヨリコの口を女将が慌てて両手で抑えた。
「この子ったらもう!気にしないでくださいセンフーさん。」
と女将がヨリコの口を抑えたまま謝った。
センフーはゆっくりとカオリンの目を見た。
カオリンはそっと目を反らした。
食事のメニュー表を見ていたヨリコは、お腹が空いて来たのか厨房の方へ大きな声で注文した。
「すみませーん。今日のおすすめ定食を3つ下さーい。」
ゴロウと女将に確認するヨリコ。
「ゴロウちゃんとお母さんもそれで良かった?」
ゴロウと女将が頷いた。
話を中断して待っていたセンフーがヨリコを見た。
「どうぞセンフーさん、話を続けて下さい」と言った。
センフーは頷いて話を続ける。
「俺も必死だったがゲンゾウも
必死だった。だが奴も疲れていたんだろう。野宿をしているときに睡魔に勝てず寝てしまったんだ。」
ヨリコが呟いた。
「分かるわ、ゲンゾウの気持ち。私も夜が近づいてくると店番疲れるもん。暇だと眠くなるし」
センフーは酒をちょびちょび口にしながら、
「ゲンゾウは俺を引き離したと思い込んでいたらしくて、ぐっすりと寝てしまった。俺は寝込みを襲うことにした。わざわざ起こす必要はねーからな」
センフーがカオリンを見ながら、
「俺は刀を手に取り、草むらから出て行こうとしたんだが、出るのをやめた。ゲンゾウの前にカオリンが現れたからだ」
ヨリコが嬉しそうに、
「お料理来たよ。美味しそう」
お料理がテーブルに並べられていく。
「さっ食べよ、ゴロウちゃん、お母さん」
頷くゴロウと女将。
自分の独白に酔っているセンフーは気にせず話しを進めた。
「魔族がどうしてここに?とも思ったが暫く様子を見ることにした。そしたらゲンゾウがうなされ始めた。そして悶え始めてな、気持ち悪かったぜ」
ヨリコが呟く「それはキモそうだ」
女将も続く「そうねえ」
「その時だ!カオリンの後ろの方に、大分離れていたが武装した魔族が立っていた。一人だったがな。だがそいつの殺気が尋常じゃなかった。」
「ゴロウちゃんがお母さんを見つめる顔も尋常じゃないときあるからわかるーー」とヨリコ。
「ヨリコちゃん、俺はね、元々そういう顔なの」
構わず話を進めるセンフー。
「カオリンがゆっくりとゲンゾウの後ろに立つと、奴がすっと立ち上がったんだ。今まで寝ていた奴がだ。」
ヨリコがまた口を挟む。「ゾンビみたいね。」
「ゲンゾウは二刀流で構えて、武装をした魔族……名前はなんだっけ?カオリン」
「サイラス。魔国特殊部隊の一人よ」
「そう、そのサイラスにゲンゾウが立ち向かって行ったんだ。ゲンゾウの奴、俺とやりあっていたときよりも強くなっててな、驚いたぜ。」
カオリンを見ながら、
「カオリンが潜在能力を引き出す魔法をゲンゾウにかけていたんだ」
ヨリコがゴロウを見る。
「ゴロウちゃん、今カオリンの胸を見ていたでしょう?」
ゴロウが否定する。
「見てない見てない。」
「ゲンゾウとサイラス。最初は互角だったんだが、やっぱり元々の実力の違いがあったんだな。ゲンゾウの奴がだんだんと押されはじめたんだ。こりゃゲンゾウが負ける、ゲンゾウは勝てねー。そう思った瞬間、ゲンゾウの首が宙を飛んでた」
ゴロウに酒を勧めるセンフー。ゴロウが珍しく酒を飲んだ。センフーが話しを続けた。
「これは不味いことになったと正直思った。俺は動かずにじっと身を潜めてサイラスがどこかへ行く事を願って草むらでじっとしていたんだが……」
センフーがカオリンの顔を見て「カオリンの姿も消えていたんだ。カオリンはゲンゾウをだしにして逃げたと思った。しかしサイラスがカオリンを追い掛けずに俺が潜んでいた草むらをじっと見てやがってな。」
「これはやばいことになったと。俺は全力で逃げようと思ったんだが……」
「俺の首筋に刀があたっていた。カオリンが俺の後ろに立っていたんだよ。俺の首筋に刀をあてて……」
「サイラスがこっちに向って歩き始めた。後ろにはカオリン。絶対絶命とはまさにそれだな。俺は殺されるのか。そう思った時カオリンが言った。俺の耳元で囁くように……」
助けて……
私を助けて……
お願い……
ゴロウはちいさく呟いた。
「女性の囁き声はいいよねー」
「俺はゆっくりと後ろを振り向いた……カオリンが泣いていた。」
女将も口を挟む「女の武器を使ったのね」
「俺の首筋に刀をあてているほうが助けてときた。しかも泣いてるし。前を見るとサイラスがゆっくりとこっちに歩いて来る」
「答えは一つだ。わかった。」
「そう答えた瞬間、俺の体から湧き上がるような力が、ヤル気が湧き出てきた」
「カオリンがゲンゾウにかけた潜在能力向上の魔法を俺にもかけたんだ」
「俺はすぐにヤツの目の前に飛び出し、思い切り刀を横に払った」
「サイラスの顔が宙に浮かんでいたよ」
センフーはカオリンを見つめたまま、
「俺がカオリンの方を向くと同時に、泣きながら抱きついて来た。カオリンの胸の柔らかさが俺の胸にも伝わった」
「カオリンは『ありがとう』って泣きながら俺にキスをした」
センフーは目を閉じて想い出すように言った。
しばしの沈黙の後ヨリコが無邪気に言った。
「センフーさん。それってサキュバスの常套手段じゃないの?」
「え?」センフーがヨリコを見た。
「男を虜にするのがサキュバスでしょ?それに…」
ヨリコの口を女将が慌てて両手で抑えた。
「この子ったらもう!気にしないでくださいセンフーさん。」
と女将がヨリコの口を抑えたまま謝った。
センフーはゆっくりとカオリンの目を見た。
カオリンはそっと目を反らした。
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