愛する人と結婚するだけが愛じゃない

ぜらちん黒糖

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第七章

69.マリアの決意

ジェームズは今仕事で王都の街中を見回りしていた。相棒のスカイラーがジェームスに声をかける。

「今日も王都は平和そうだな、ジェームズ」

「ん?ああ、そうだな」

上の空のジェームズにスカイラーが尋ねる。

「何かあったのか?ジェームズ。元気ないぞー?」

「いや、少し疲れてるだけさ」

「そうなのか?ジェームズ」

スカイラーはいやらしそうな笑みを浮かべて「まあエッチもそこそこにな」と言ってその場を離れ串焼き屋の屋台へと歩いて行った。

「おい、仕事中だぞ!道草するなよ」

苦笑いしながらもスカイラーを待ってやるジェームズ。

ジェームズは今朝のマリアの態度を思い出していた。

出かける時にいつものようにマリアにハグをしようとしたら、何気に拒否をされたのだ。

「あれは……避けられたんだよな。私がハグをしようとしたらマリアはすぐにエリアを抱っこして私にハグをさせないようにした」

なぜなんだ?そう自分に問うたが答えは分かっている。

「昨日の女将を見たせいだ……」

やはりマリアから見ても女将のローナは、あのオリビアにそっくりなんだろうな……。

もう自分の中ではオリビアのことは吹っ切れているのにどうして今頃になってこんなことになるんだろう……。

マリアに誤解を解いた方がいいんだろうがどうすればいいのかジェームズには分からなかった。

ただ一つ言えることは、女将のローナにもう二度と街中で出会っても声をかけないでほしいと頼むしかない、そう思っていた。

物思いに耽っていると目の前に串焼きが現れた。スカイラーだった。

「よっ、ジェームズ、お前も食べろよ。精がつくぞ」

苦笑いしながら串焼きを受け取ると「これ、お前の奢りか?」と聞くジェームズ。

そんなジェームズを呆れたようにスカイラーが言い返す。

「当たり前だろう?しかし所帯持ちはケチ臭いこと言うねぇ、考え方が」

「うるさい」

ジェームズとスカイラーはそのまま街中の見回りに戻った。後で警備隊事務所にクレームが入ることをこの時はまだ二人は知らなかった。

マリアは炊事、洗濯、掃除を済ませて昼食後、エリアをお昼寝させていた。

エリアの寝顔を見てマリアがふと考える。

「この子にはどんな未来があるんだろう……幸せだといいけどな」

マリアは昨日の飲み屋の女将を思い浮かべていた。

「あの人、オリビア先輩にそっくりだった」

マリアの表情が悲しそうになる。

「ジェームズはまだオリビア先輩のことが忘れられないのかしら」

エリアがすやすやと眠っているのを見届けるとマリアは食卓に戻り熱いお茶を入れ始める。

お茶を入れた湯呑み茶碗を両手で持って椅子に座るマリア。

「あの女の人……探してみようかな」

マリアはジェームズがだいたいどの辺で飲み食いしているのかを知っていた。

「探せば案外、見つかるかもしれないし……」

しかしまた考えるマリア。探し出してどうしようというのか……。

「決まっているわ、彼女とジェームズがなんでもないって言うことを確かめるのよ、それだけ」

マリアは明日探しに行こうと思った。

夕方近くになりジェームズとスカイラーは街中の見回りを終わり警備隊事務所に戻ったのだが……。

事務所の中に入ると他の隊員たちが何やらニヤついている。何だろうと思ったその時、事務所の奥から隊長の大きな声がした。

「ジェームズ、スカイラーちょっと来い!」

急いで隊長の前に行くとこう尋ねられた。

「お前たち、串焼きはうまかったか?ん?」

どうやら二人が串焼きを食べながら歩いているのを見た人が、わざわざ警備隊事務所まで文句を言いにきた人がいたらしい……。

ジェームズとスカイラーは当分の間内勤となった。


















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