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中央都市編

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 ぬらり、と瓦礫から這い出て来たスカルに、サラは剣を向ける。

「いいか、あんたは遠方から援護射撃に徹しろ。接近戦は私がやる」

「わかりました」

 リリナの声がはっきりと聞こえる。

 今まで聞いた声の中で一番芯のある、何かから吹っ切れた声だ。

 サラは今のリリナなら大丈夫だと思った。

 だったら、スカルに集中するだけ。

 目の前でぴたりと止まったスカル。

 いや、止まったのは一瞬。

 猛スピードで地面すれすれを飛翔してきた。

 刀に力をため込み、スカルの体がぼんやりと黒く包まれる。

 一撃で決めるつもりなのだろうか。

 そろそろスカルの体力も底をつくのかもしれない。

 こちらも悠長に戦っている暇などない。

 街中にうごめくスカルを一掃しなければならないのだ。

 だから、これ以上傷を負うわけにはいかない。

 こちらも強打を打ち込む必要がある。

 サラとリリナは即座に跳躍してスカルの動線上から退いた。

 そのまま背後の建物へ衝突するのかと思いきや、スカルはギリギリでぶつかるのを回避し、サラの方へ突進。

 空中じゃ身動きが取れないな……。

 刀を振り下ろして斬り付けようとする寸前で、サラは背後にある建物の壁に着地し、そこからスカルを越えるように垂直に飛ぶ。

 と同時にリリナがスカルに発砲。

金糸雀カナリア宝玉オーブ!!」

 拳銃から生み出されたまばゆい光を放つ金糸雀が、スカルに向かって美しい曲線を描く。

 空を自由に飛ぶ金糸雀を避けきれるはずもなく。

 スカルにぶつかってぱあん、と弾けた。

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」

 空気と共にスカルの体が痺れるが、それも一時的。

 けれどリリナはその隙を逃さず、銃口を向けたまま風のごとく駆け抜け、撃鉄を叩き続ける。

 下へ、横へ、背後へ、地を蹴って、壁を蹴って。

 まるでウサギのように跳ねて移動しながら、あらゆる角度からスカルを狙う。

 サラは彼女の見違えるような動きに感心し、見事過ぎて、もはや別人ではないのかと思った。

 でも、いつまでも感心ばかりしていてはいけない。

 弾丸が撃ち込まれ続けるため、スカルの体が衝撃で空中に滞在している、この瞬間を狙う。

 足へ一閃、続けざまに胴へ二閃、勢いそのままになめらかな円を描く剣閃が煌めけば、頭から足へ一直線に斬撃が入る。

 さらに目に追えぬ速さでスカルに攻撃を与えるが、ダメージはいまいちのようだ。

 光の力を使わないと駄目か……?

 通常攻撃ではなく、特殊攻撃を使えば、確かに強烈な一撃を与えることができるだろう。けれど、それは体に負担がかかり、体力が大幅に削られる。

 この一体だけならまだしも、他にも複数と闘わなければならないので、あまり使いたくないのだが。

 仕方ない。

 サラは剣に神経を集中させ、動きが一瞬止まったスカルの胴へ上から剣を叩き込んだ。

月光の刃ムーンライト・ブレイド!!」

 鎧など構わず。

 サラは力の限り薙ぎ払う。

 目を差すような光が斬撃となってスカルを襲う。

 スカルは地面へゴオオッ、と風の音が聞こえるほどのスピードで真っ逆さまに落ちてゆき。

 ドゴオオン、と地面に激突した。

 むわっと粉塵が巻き上がると共に、スカルはさらさら、と砂のように跡形もなく消えてゆく。

 サラはスタッと地面に着地した。

「はあ、はあ……。やったな」

「先輩……!」

 リリナがタタッと駆けてくる。

「あんた、やればできるじゃないか」

「え、あ、ありがとうございます! 先輩のおかげで、やっと前を向けます。本当にありがとうございました……!」

「いや、私は何もしてない……。それより、傷はもうだいぶいいのか?」

「血は止まっています。痛みはありますが、戦闘には支障ないです。ラルクが必死に私の治癒能力を上げてくれていますから」

「そうか」

「先輩は……?」

「私も問題ない。よし、他のスカルを倒しに行くぞ」

「はいっ!」
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