光の騎士

ななこ

文字の大きさ
107 / 201
北都市編 後編

25(敵視点)

しおりを挟む

 漆黒の城。

 ライヴンは一人鼻歌を歌いながら廊下を歩いていた。

「俺の心は超スーパーロックダゼ! お前の心のビートも――」

「ライヴン」

「わ!?」

 一体どこから現れたのか、暗闇の中から急に目の前に現れたヴォルクセンに、ライヴンの体はびくついた。

「な、何ダヨ!? ヴォルクセン、そんな怖い顔シテ!?」

「どうして命の木の作戦に加勢しなかったわけ?」

「あ、そのこと!? いや、俺マジで道間違えちゃってサ、辿り付けなかったワケ」

「は?」

 ヴォルクセンの長い前髪から、鋭い瞳が覗く。

「ダカラヨー! 俺、迷子になっちゃってヨー! ヘンテコな場所に着いちゃってヨー!」

「……死ね」

「そうやって、死ね死ね言うの、良くないヨー!」

「……ラップ調、マジで死ね」

「酷いヨー!」

「二人とも、何をしているのかしら?」

 ヒールを鳴らしながら、キャンヴェルがいらだった様子でこちらに近づいてきた。

「ノヴァ様がお呼びよ。さっさとしなさいな」

「……はい」

 怒られた二人はキャンヴェルに従って、そそくさと玉座の間に入った。

 重厚感のある玉座に座っているのは、我らの崇めるノヴァ。

 ノヴァに忠誠を誓うようにみな頭をたれた。

 その玉座の前の階段に、こちらを向いて立っている二人の姿があった。

 漆黒に艶めく髪の毛は、ツインテール。

 二人とも同じような顔。

 ぱっちりとした瞳は、悪だくみを考えているかのように、ニヤついていた。

 見かけたことのない二人組に、三人は眉根を寄せる。

「グラヴァンは光に葬られた」

「あの変態が? まあ、居ない方がマシね」とキャンヴェル。

「道理で快適だと思った」とヴォルクセン。

「マジかよ、やっとあいつのイジメから解放されるゼ……!」とライヴン。

 グラヴァンの訃報に哀しんでいる者は誰もいなかった。

 それもそれで別によい。

 自身の願いを叶える準備が進めば、それでよいのだ。

 ノヴァは続けた。

「……その代わりの新たな闇の使者だ。――レヴィアンとヴィヴィアンだ」

 二人がフリルのたっぷりとついたスカートをつまみ上げて、ぺこりと同時にお辞儀する。

「「よろしくねー」」

 ノヴァはかわいらしい二人の姿にほほ笑む。

 生まれて間もない彼らの力は不安定だ。

 だから簡単な任務から任せることにしよう。

 彼らの仕事ぶりに期待だ。

 でも、聖域の機能は半分ぐらいまでそぎ落とした。

 だから、もうすぐだ。

 あの約束を果たすその日は、もうすぐ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

勘当された少年と不思議な少女

レイシール
ファンタジー
15歳を迎えた日、ランティスは父親から勘当を言い渡された。 理由は外れスキルを持ってるから… 眼の色が違うだけで気味が悪いと周りから避けられてる少女。 そんな2人が出会って…

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る

ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。 異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。 一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。 娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。 そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。 異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。 娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。 そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。 3人と1匹の冒険が、今始まる。 ※小説家になろうでも投稿しています ※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!  よろしくお願いします!

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end**

30年待たされた異世界転移

明之 想
ファンタジー
 気づけば異世界にいた10歳のぼく。 「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」  こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。  右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。  でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。  あの日見た夢の続きを信じて。  ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!  くじけそうになっても努力を続け。  そうして、30年が経過。  ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。  しかも、20歳も若返った姿で。  異世界と日本の2つの世界で、  20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

ペットになった

ノーウェザー
ファンタジー
ペットになってしまった『クロ』。 言葉も常識も通用しない世界。 それでも、特に不便は感じない。 あの場所に戻るくらいなら、別にどんな場所でも良かったから。 「クロ」 笑いながらオレの名前を呼ぶこの人がいる限り、オレは・・・ーーーー・・・。 ※視点コロコロ ※更新ノロノロ

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...