上 下
9 / 51

第八話 血まみれ亭

しおりを挟む
「ちっ、あいつ逃げやがったか、仲間ってのは重いんだけどな、殺さなくちゃな、なんたってこのハンターの正体に気付いちまったみてえだからな」

彼の能力は仲間の証である珍しい石(琥珀)から位置を特定する能力ではない、仲間を特定する能力なのだ、それだけにもう、仲間だと思われていないと一瞬で判断した、そして、殺しに行くのだった。

「さて、位置がわからねえ、まあ、探すとするか」

そう言って、ハンターは仲間であったエバを探し始めた、それと同時に原因を追求したところ、分からなかった、彼の能力は仲間の思考回路を読むものでは無いからだ。

ハンターは簡単に推理した結果、たまたま近くの人間に教えてもらったわけではなく、俺のことを知っているやつに教えてもらえたのだろう、つまりは情報を持っているやつだ、オースとかいうやつか?それはあり得ない、エバに話しかけるわけがない、となると、まずは娘だな、娘を見に行くか、家は知っているわけだしな。さて、あいつの家の近くで生きているやつはと…ビーだな、仲間になっているし、移動するか。

「『召魂サモンソウル恐爪竜ディノニクス』!」

彼の持つ能力の一つである、一瞬のうちに仲間の元へと飛ぶ能力を使い、ビーの近くまで移動した、誰にも見られていないことを確認し、情報をもらうのと同時に、娘の様子を確認するのだった。

「ビーちゃん、めんご、俺のこと分かる?」
「分かるー!」
「エバの娘のことなんだけどさ、あの娘、何才?」
「十才ぐらい」
「まじで、まだ子供じゃん、アリかなと思ったんだけどな」
「残念だったね、ど変態」
「めんご、めんご、それはそうと、エバについてなんか教えてくれる?」
「今のところ、借金まみれだな、どうしようもないな、まあ、なんとかなるよ、いざとなったら銀行強盗だ」
「めんご、めんご、しょうがないな、気をつけないとね」

こうして、犯人は娘では間違いなく無いと思い、次に相手を疑う必要はないので、これ知人じゃない、オースじゃない、勝手に犯罪者だと気づいたやつだ、そんなわけない、つまり、昔の知り合いだ。そして、ビーは俺に情報をくれた、つまりは世間に俺は疑われてない、エバは詰んだ、仲間がいない、おしまいだ。

偶発的に情報を手に入れたエバがいただけだな。後は始末するだけだ。

えーと、エバの行きつけの店はと…あったな、ここだ、仲間は近くにいるな、よし飛ぶか、一瞬のうちに移動し、エバがいるかの確認をすると、酔い潰れたエバがいた。答え合わせはこうなった、旅人がいる、そいつから教えてもらえた、だって、ここのウェイティングリストに書いてある。

その後、このお店にいるやつ(エバ含めて)全員を始末して、ハンターは旅人であるジャーニーを始末しに向かうのだった。

その後、役人たちが来たが、その中の一人が酒まみれ亭から血まみれ亭だなとボソリと呟くのだった。気を失いそうな惨状だけが広がっていた、店の中に入ると首のないエバの遺体や、心臓のない遺体など狂った殺し方をされた遺体が置いてあった。
しおりを挟む

処理中です...