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第二十五話 勝利

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ハンターは素早く、後ろに後退すると、すぐに仲間の位置を確認しながら、瞬間移動ワープしていった、次々に移動しながら、ストロングの隙を窺い、負けないように気を遣いながら、戦っていた。

ストロングの隙を窺いながら、簡単な攻撃を外から加えてみた、石を投げつけ、反応を伺ってみたのだ、しかし、一瞬の隙も見つからなかった。

なので、ここは賭けに出るしかないと、ストロングの後ろに再び、瞬間移動ワープすると、黒い衣だけ残して、囮とし、その上で頭上に瞬間移動ワープすると、脳天を攻撃してみた。しかし、ストロングの能力である首無霊デュラハンの力で頭部への攻撃を無効化され、ハンターはこれ以上の戦いを諦めるのだった。

「ちくしょうがよぉ、諦めろだとぉ、この俺様がぁ、はぁはぁ、くそがぁっ!」

ハンターがストロングから離れて逃げることに決めた。

「ずまねぇ、おっさん、負けちまいやがったぜ、俺が、やっぱ勝てねえんだなぁ、おっさん」

泣きながら、ハンターはその場を去るのだった。それを見たストロングは笑いながら、勝ちを誇るのだった。逃げたければ逃げるがいい、今の状況で捕まえる気はない、まずはお前の仲間を捕まえて、この街の状態を良くしていくことから始めよう、全てはそこからだ。それはそうとしてだ、ストロングはハンターの強さを貶すことなく褒め称えるのだった、明らかに勝てない相手にも挑んだ勇者には褒め言葉を!

「ハンターは強い、なぜなら、実戦部隊として長年経験を積み、戦場を駆け抜けたからだ、その名前は天を抜け、我がエゴ様にすら届いたことがある、天下に名高い勇者として永劫に語られよう、今夜の決闘は長く誇りにするがいい」

ストロングは追いかけずにハンターの仲間たちを全員連れて役所まで戻った。三十人以上いるハンターの仲間たちをモノともせず、一匹で運んでいくのがストロングの能力で召喚した不死馬イモータルだった。

*****

殴りつけてきたレイジの一撃を避けながら、フォートは敵を確認していった、相手は強いが、明らかに召魂士ソウルサモナーではなかった。

「相手は普通の達人、ならば!これでも喰らえ!」

フォートは刀から水の塊アクアバレットを飛ばして攻撃の打点を増やしながら、敵を追い詰めていった。

「ッ!!」

敵は攻撃を受け止めきれなくなり、遂には持っていた黒い棒が吹き飛んだ。

「しまった!」
「これで終わりだ!」

フォートはレイジに走り寄り、最後には思いっきり切りつけて、トドメを刺すのだった、そして、そのまま気絶させて、その場を収めていくのだった。

*****

さてさて、そうこうしているときにフォートと一緒にいたアルマたちはどうなったかというと、市民たちがパニックを起こして、周りを行ったり来たりしている間に逸れてしまい、ローゼがお父さんを見失って大泣きするのだった。だが、すぐに、狂ったように奇妙なポーズを取ると、一言言って動き出すのだった。

「Let's dance!」

とパニックになって踊り出すローゼはガーベラが見たところ、パニックになって落ち着くために、一番楽しかった思い出がある舞踏会のことを再現して自分を宥めているのだろう。

それに対して、ガーベラは慌てて対応するのだった。

「落ち着いて、ローゼ、このおとこガーベラが相手を務めます!」

こうして、二人は一緒にダンスして、相手を落ち着かせるガーベラがいるのだった。
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