男とバレたら即処刑!?聖女な僕が死亡フラグをへし折ります!

日比谷ナオキ

文字の大きさ
38 / 92

36話 仮合格

しおりを挟む
セラフィーナは彼女に駆け寄り、急いで介抱しようとする。全く動かないので、死んでしまったのではないかと思ったのだ。

「い、いつつ……」

「ルーチェ!良かった!生きてたんだね!」

「大丈夫よ…それより、敬語敬語」

「あっ!…ご、ご無事で何よりです!」

なんか色々とバレてしまいそうだったが、アルヴェルトも大技の反動もあってか、二人の会話は聞こえていなかったようである。

「はァ…はァ…俺の勝ちだな」

「そうですね…貴方の勝ちです。お見事でしたよ、アルヴェルトさん」

「ああ…アンタも見事だった。ルーチェさん」

そう言って、彼は手を差し伸べる。ルーチェはそれをパシッと力強く握って、立ち上がった。決闘の後は、双方を尊重して敬意を示す。昔からの習わしだ。

「私の試験は以上です。最低限、力と忠誠心はわかりましたからね。仮合格と言ったところでしょう」

「合格!おめでとうございます、アルヴェルトさん!」

「ああ…けど、仮合格ってどういうことだ?」

「まだ貴方には、『セラフィーナ様を守る』という実戦経験がありませんからね。まずは一週間、セラフィーナさんを危険から守り抜いてもらいます。それが出来て、初めて合格です。もちろん私達も協力しますから、それ程難しくは無いでしょう」

なるほど、この試験は仮免許を手に入れるためのものだった訳である。確かに、飯を20分我慢したのと、メイドを一人倒しただけでは流石に完全な忠誠心や力があるとは言いきれないのも事実である。

「わかった。じゃあ俺は、セラフィーナさんにずっとくっついて回れば良いのか?」

「セラフィーナさんに命令された時以外は、なるべくお願いします。それと、セラフィーナさんではなく、様です。言い間違えたらご飯の量を減らします。良いですね?」

「えっ!?わ、わかった!セラフィーナ…さま!」

最強の騎士も、こうなってしまえば可愛らしいものである。二人してふふっと笑いあってから、ルーチェは再び今後についての話を始めた。

「午後の勤務ですが、セラフィーナさん、アルヴェルトと二人で王城に向かって頂けますか?」

「え?構いませんが…ルーチェさんはどうするのですか?」

「私はちょっと身体を休めます。この戦闘で思ったより疲れましたので…」

「あ、そうでしたね…わかりました。ごゆっくりお休みください」

おつかれさまでした、とポンポン優しく身体をさする。セラフィーナがついてこい!と言えば多分来てくれるだろうが、そもそも彼女は、本来の勤務時間を削って、セラフィーナの身勝手で連れてきた騎士のテストまでしてくれたのだ。これ以上勤務を強いる訳にはいかない。

「ありがとうございます。…アルヴェルトさん、セラフィーナさんのこと、よろしくお願いしますね」

「…任せてくれ。絶対守り抜いてやる」

「頼もしいですね。…では、午後の茶会に向けて支度をしましょう。セラフィーナさん、今度は貴方の戦いです。どうかお気をつけて」

「……はい」

二人の戦いに唖然としていたが、今度は自分が頑張らねばならない番だ。婚約者のフリがバレないように。何より、男だとバレないように。個人的には、今以上に逼迫した戦いになるだろう。セラフィーナはごくりと喉を鳴らし、王城の方を向いた。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

喪女なのに狼さんたちに溺愛されています

和泉
恋愛
もふもふの狼がイケメンなんて反則です! 聖女召喚の儀で異世界に呼ばれたのはOL・大学生・高校生の3人。 ズボンを履いていた大学生のヒナは男だと勘違いされ、説明もないまま城を追い出された。 森で怪我をした子供の狼と出会ったヒナは狼族の国へ。私は喪女なのに狼族の王太子、No.1ホストのような武官、真面目な文官が近づいてくるのはなぜ? ヒナとつがいになりたい狼達の恋愛の行方は?聖女の力で国同士の争いは無くすことができるのか。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

狙って追放された創聖魔法使いは異世界を謳歌する

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーから追放される~異世界転生前の記憶が戻ったのにこのままいいように使われてたまるか!  【第15回ファンタジー小説大賞の爽快バトル賞を受賞しました】 ここは異世界エールドラド。その中の国家の1つ⋯⋯グランドダイン帝国の首都シュバルツバイン。  主人公リックはグランドダイン帝国子爵家の次男であり、回復、支援を主とする補助魔法の使い手で勇者パーティーの一員だった。  そんな中グランドダイン帝国の第二皇子で勇者のハインツに公衆の面前で宣言される。 「リック⋯⋯お前は勇者パーティーから追放する」  その言葉にリックは絶望し地面に膝を着く。 「もう2度と俺達の前に現れるな」  そう言って勇者パーティーはリックの前から去っていった。  それを見ていた周囲の人達もリックに声をかけるわけでもなく、1人2人と消えていく。  そしてこの場に誰もいなくなった時リックは⋯⋯笑っていた。 「記憶が戻った今、あんなワガママ皇子には従っていられない。俺はこれからこの異世界を謳歌するぞ」  そう⋯⋯リックは以前生きていた前世の記憶があり、女神の力で異世界転生した者だった。  これは狙って勇者パーティーから追放され、前世の記憶と女神から貰った力を使って無双するリックのドタバタハーレム物語である。 *他サイトにも掲載しています。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

処理中です...