男とバレたら即処刑!?聖女な僕が死亡フラグをへし折ります!

日比谷ナオキ

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54話 カフェ・ド・ショコラ

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「見えてきましたよ、セラフィーナさん」

「本当ですか!?…わぁ…素敵ー!」

お出迎えしてくれたのは、お菓子をモチーフにした、いや、実際にお菓子で出来た豪華な建物。冷凍魔法と定期的な殺菌魔術を使用することで、本当に食べれる、立ちっぱなしのお菓子の家を実現している。

「ふふ、美味しそうですね。でも試食はぼちぼちにして下さいね。はしたないですから」

「う、が、頑張ります…///」

本当はルーチェもかぶりつきたいくらいだが、身分的に我慢するしか無い。先程朝ごはんを食べたばかりだと言うのに、もうお腹が鳴りそうになっているのだった。

「セラフィーナ様ですね。お待ちしておりました。どうぞお入り下さい」

「どーもっと。馬車はどこに置けば良いんだ?」

「右手に中庭が御座いますので、そちらの方にお願い致します」

「へえ、中庭があるのか。流石はこの国1の金持ち菓子工房だ」

貴族の移動手段は馬車であることが多いので、金持ちを相手にする場所ではこのように馬車を置くスペースを用意されている事が多い。馬車を止め、三人は中庭へと降り立つ。

「ありがとうございます。アルヴェルトさん」

「お、おう、良いってことよ…!」

「そこはどういたしましてよ」

ちなみに、馬車で移動する度にセラフィーナに頭をよしよしされている。ちなみにこれは、アルヴェルトが彼女に所望したご褒美である。なんと可愛らしい。

「…そういやセラフィーナ様、いくらアンタが食いしん坊とはいえ、朝食後すぐにお菓子ってのは腹にこたえねえか?」

「いえ、すぐに食べる訳では無いのですよ。先に工場を見学させて頂いて……って今!食いしん坊って言いましたね!?」

顔を真っ赤にして、むうーとアルヴェルトを睨む。

「え?違うのか?毎日ご飯は必ずお代わりしてるし…おやつのケーキも必ず半ホールくらい食うし…」

「違いますー!ちょっと人より食べる量が多いだけですー!意地汚いとかじゃありませんからね!ね!」

「お、お、おおおう、わかった!わかりましたよセラフィーナ様!だからそのなんか威圧してくるのやめて!」

「分かればよろしいんです」

ふふん、と安心したように笑って、セラフィーナはるんるんと歩き始める。それから数歩歩いた所で、ぐぅーっと腹の虫が盛大に鳴り響いた。

「……」

「……」

「………///」










そんなわけで、意地汚い聖女様と共にお菓子工房の門をくぐる。流石に中まではお菓子で出来ていないらしく、割と普通なお菓子工場の内装になっていた。

「お待ちしておりました。聖女様。この度は私達のお菓子工房にお越し頂き、誠にありがとうございます」

「いえ、そんな、こちらこそ突然押しかけてしまってすみません…」

案内人のコックさんに連れられながら、工場内を見て回る事にする。工場と言っても、まだまだ古代的なもので、文明も高度な機械のある世界とは大きく異なる。

「あちらの方々は何を?」

「はい、あの方々は炎職人です。お菓子作りには欠かせない要員の一人ですね」

ルーチェが興味を持ったのは、様々な炎魔術を器用に利用してお菓子を焼いている工房の人々。赤、青、緑、様々なカラーにコーティングされた炎が、工房内をあちこち駆け巡っているのだ。

「綺麗ですね…でも、なんで炎に色を?」

「お菓子作りにはそれぞれ最適な温度の炎がありますからね。一定の温度に到達すると、色が変わる魔術コーティングを行っています」

「なるほど…コーティング魔術ってこんな風にも使えるんだ……です」

うっかり素が出そうになったので、慌てて言い直し。ちょっぴりドキッとする二人だったが、残りの二人は気付いていなさそうなので一安心。そのまま歩いて、今度は少しひんやりした部屋にたどり着く。

「こちらは冷凍魔術でお菓子を保存しています。遠くに届けるお土産なんかに、この魔術を利用します」

「ほー、便利だな…ん?でも待てよ?魔術で温度を生成しても、その温度は長期的に持続しないんじゃ無いか?」

「はい。魔力供給が途絶えれば、当然冷凍魔術の効果が切れて部屋の温度は戻ってしまいます。なので…」

コンコン、とコックは足を数回足踏みさせる。すると、地面に一つ、大きな魔法陣が浮かび上がってくる。

「陣形魔術を使用しています。戦闘とは違って、激しい魔力消費も無いので、安定して効果が持続させられます」

陣形魔術。セラフィーナの使用する神の壁エデンにも組み込まれている術式の一つで、魔法陣を地面に生成し、そのサークル上に持続的な魔術効能を発動させる。起動には時間がかかるが、反面、効果は凄まじく、取り込んだ魔力をじわじわゆっくり消費して陣形内のあらゆるものに効果を発揮させる。

この工房の場合、この部屋にかけられている氷属性の魔力を、冷蔵庫のように持続させて発生させている訳である。

「おおー、あったま良いな!しかし、ここまで複雑な機構を作るってえと、よっぽど賢い魔法使いが居るんじゃないか?」

「ご名答です、アルヴェルト様。工場長のクラウディア・ペッロッティ様はとても偉大な魔法使い様でいらっしゃいます」

「「クラウディア!?」」

それを聞いて、お付きのメイドと騎士は二人揃って声を上げる。驚く二人を見つめながら、事情が全く分からないセラフィーナだけが、ポカーンとした様子で佇んでいる。

「えっと…誰…ですか?」
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