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狂おしいばかりに聖を愛して、その他には目も向けなかった。
その男の名は、青菱史郎。
関東最大の勢力を誇る指定暴力団の、実質的トップである。
史郎は、ある傷害事件に絡んで実刑判決を受け、今年まで服役していた。
――――そうして、出所した史郎を呼び出して、短い逢瀬を重ねた後に……聖は史郎へ別れを告げたのだ。
それから半年が経つ。
史郎本人からは何らリアクションはないが、しかしその息子である青菱一夏という男からは、悪意を込めた反応が今回聖へ返って来たわけだ。
「……青菱の確執は、本当なのか? 」
呟くような聖の疑問に、真壁は躊躇いながら口を開いた。
「その――オレは、御堂さんの代わりにソッチ関連の情報を集めて精査しているわけですが……青菱と早乙女はギクシャクしているというのは本当のようです」
早乙女とは、青菱と同じく関東近郊では一大勢力を誇る指定暴力団の一家だ。
そして史郎の妻の名は、早乙女蘭子。
つまり、同じ極道同士、抗争に明け暮れるのではなく家同士の結びつきこそを強固にするために、蘭子は史郎の元へ嫁いで来た訳だ。
やがて生まれのが、一夏という男子である。
「あいつに、女房も子供もいるのは承知していたが……ヤツの口からは家庭の話は全く出ないから、オレもそんなに詳しくないんだ……」
それに、聖が史郎の愛人だったのは、もう何年も前の話だ。
完全に極道の世界から足を洗うために、史郎が収監される前から、聖は顔を合わせる事を避けていたので。
「しかし、どうして今になって……」
尤もな疑問に、真壁が重い口を開く。
「その――――蘭子姐さん、ちょっと、頭がおかしくなっちまったって噂を小耳に挟みました。だから、姐さんは実家である早乙女へ療養のために帰ったと」
「なにっ!? 」
真壁の言葉に、聖は驚きの声を上げた。
「どうしてそんな事に!? 」
その男の名は、青菱史郎。
関東最大の勢力を誇る指定暴力団の、実質的トップである。
史郎は、ある傷害事件に絡んで実刑判決を受け、今年まで服役していた。
――――そうして、出所した史郎を呼び出して、短い逢瀬を重ねた後に……聖は史郎へ別れを告げたのだ。
それから半年が経つ。
史郎本人からは何らリアクションはないが、しかしその息子である青菱一夏という男からは、悪意を込めた反応が今回聖へ返って来たわけだ。
「……青菱の確執は、本当なのか? 」
呟くような聖の疑問に、真壁は躊躇いながら口を開いた。
「その――オレは、御堂さんの代わりにソッチ関連の情報を集めて精査しているわけですが……青菱と早乙女はギクシャクしているというのは本当のようです」
早乙女とは、青菱と同じく関東近郊では一大勢力を誇る指定暴力団の一家だ。
そして史郎の妻の名は、早乙女蘭子。
つまり、同じ極道同士、抗争に明け暮れるのではなく家同士の結びつきこそを強固にするために、蘭子は史郎の元へ嫁いで来た訳だ。
やがて生まれのが、一夏という男子である。
「あいつに、女房も子供もいるのは承知していたが……ヤツの口からは家庭の話は全く出ないから、オレもそんなに詳しくないんだ……」
それに、聖が史郎の愛人だったのは、もう何年も前の話だ。
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「しかし、どうして今になって……」
尤もな疑問に、真壁が重い口を開く。
「その――――蘭子姐さん、ちょっと、頭がおかしくなっちまったって噂を小耳に挟みました。だから、姐さんは実家である早乙女へ療養のために帰ったと」
「なにっ!? 」
真壁の言葉に、聖は驚きの声を上げた。
「どうしてそんな事に!? 」
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