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零はA+アジア専属モデルとして契約しているプロなのだから、勝手に降りれば、どれだけ周りに迷惑が掛るのかは充分知っている。
責任感も強く、良識人である普段の零であれば、仕事を放り出して日本へ渡航するなどありえない。
しかしその彼が、全てを捨ててでも、愛しいこの恋人のことだけは決して誰にも譲る気はないのだ。
「今回は――――スペインで撮影が終わったら、早々に帰国するハズだったんです。でも、A+の来季のコンセプトが急遽決まったから、アメリカへ打ち合わせだけでも参加するようスケジュールに横槍が入ってしまって。それで、打ち合わせだけならばと仕方なしに行ってみれば、スマホもパソコンも没収されて100年前の村に半分軟禁されるような感じになって……」
「それは、最初に聞いたから分かってるよ。アーミッシュだっけか? その人たちの信仰なら尊重すべきだけど……お前も大変だったな」
ユウはポンポンと零の頭を叩き、同情するように言った。
「現代っ子には、なかなかキツイ状況だな。たしか電話もテレビもダメなんだろう? 」
「ええ。でもアーミッシュの女性が、外の企業とデザインの仕事をするというのは、かなり革新的なんですよ。だから、できればオレも彼女に協力したいと思って――でも、やっぱりユウさんの顔を見られないのだけは我慢が出来ませんでした」
そうして、少しだけと立ち寄った役所でユウのゴシップを知り、取る物も取り敢えずここへ来た。
「大した行動力だ」
呆れた様子で嘆息するユウに、零は笑い掛ける。
「だって、オレの中心はいつだってユウさんですから」
「零……」
ユウはポッと頬を染めて、零の広い背中へ腕を回す。
「お前のそういうストレートなところ……結構好きだぞ」
「ユウさん! 」
愛しい恋人に抱き付かれ、零のテンションは一気に上がる。
そうして、抱き付いてくる恋人の上着の裾から、そうっと手を差し込むが――――
「いてっ! 」
責任感も強く、良識人である普段の零であれば、仕事を放り出して日本へ渡航するなどありえない。
しかしその彼が、全てを捨ててでも、愛しいこの恋人のことだけは決して誰にも譲る気はないのだ。
「今回は――――スペインで撮影が終わったら、早々に帰国するハズだったんです。でも、A+の来季のコンセプトが急遽決まったから、アメリカへ打ち合わせだけでも参加するようスケジュールに横槍が入ってしまって。それで、打ち合わせだけならばと仕方なしに行ってみれば、スマホもパソコンも没収されて100年前の村に半分軟禁されるような感じになって……」
「それは、最初に聞いたから分かってるよ。アーミッシュだっけか? その人たちの信仰なら尊重すべきだけど……お前も大変だったな」
ユウはポンポンと零の頭を叩き、同情するように言った。
「現代っ子には、なかなかキツイ状況だな。たしか電話もテレビもダメなんだろう? 」
「ええ。でもアーミッシュの女性が、外の企業とデザインの仕事をするというのは、かなり革新的なんですよ。だから、できればオレも彼女に協力したいと思って――でも、やっぱりユウさんの顔を見られないのだけは我慢が出来ませんでした」
そうして、少しだけと立ち寄った役所でユウのゴシップを知り、取る物も取り敢えずここへ来た。
「大した行動力だ」
呆れた様子で嘆息するユウに、零は笑い掛ける。
「だって、オレの中心はいつだってユウさんですから」
「零……」
ユウはポッと頬を染めて、零の広い背中へ腕を回す。
「お前のそういうストレートなところ……結構好きだぞ」
「ユウさん! 」
愛しい恋人に抱き付かれ、零のテンションは一気に上がる。
そうして、抱き付いてくる恋人の上着の裾から、そうっと手を差し込むが――――
「いてっ! 」
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