色衰愛弛

亜衣藍

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最終章

最終章-11

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 さすがにR.Bの在庫が無くなってきた楊は、最後まで取っておいた初代茂音のR.Bを、道前とは別の売人へ売り渡したのだ。
 これがマトリに捕まり、今回の騒動へ発展したのだろう。

 そして道前であるが。

 SNSを介してR.Bをやり取りしていた人物が突然連絡を絶った訳だから、さぞや動揺したと推測する。
 みかじめ料としてヤクザにカネを払い、それ以上のカネを顧客から徴収していたサイクルが、元から狂ったのだ。
 道前はなりふり構わず、R.Bのコピーを作って売った。

 だがそれは最悪の劣化版で、中毒死する人間を出してしまう事になる……。

「このままでは自分の命も危ないと思った道前は、藁にも縋る思いで、手元に届いた『R.Bの染み込んだ手紙』の差出人を探す事になる。ここで、道前はオレと繋がる事になった訳だが」

 そこで言葉切ると、綾瀬は堪らぬように首を振った。

「色々な人間の身勝手な思惑が絡んで、本来は単純な筈だった話が複雑になっちまった。楊は、自分の大切にしていたキャバレーが誰にも顧みられない事を恨んでいた。失踪する前の白露の様子から、茂音は日本に戻っているのだと悟っていたのに、その肝心の茂音が一度も自分キャバレーを訪ねてこない事に憤っていたんだろう。だから意趣返しのつもりで、オレに佐久間の存在を匂わせてきた」

 そこに行けば、夢破れて無様な有様になったに出会うだろう。
『ざまぁ見ろ』とでも、思ったか。

 そして佐久間だが、二年の月日が経っても一向に白露からの接触が無い事から、さすがに焦り始めていたのではないだろうか。

 茂音の不在をどうにかして誤魔化し、施設維持の為に白露へR.Bを製造させようと佐久間は考えていたのに、肝心の白露が音信不通ではその計画も成り立たない。
 だが、自らが表立って動くことは避けたいという保身から、佐久間は道前を利用する事を思いついた。

 道前も、オリジナルのR.Bを血眼になって探している筈だと考えたからだ。
 ただ、佐久間は、道前とは直接の面識が無い。

 楊が偽名を使って、道前にR.Bを売買していた事は知っていただろうが。

「楊がどういう偽名を使っていたのか分からなかった佐久間は……楊の事だ、訊かれたとしても、意趣返しに教えなかったんだろう……だから、お前に手紙を送った方法を再現したんだと思う」

“ほかにもまだまだ写真がります”

 敢えて名を書かず、薔薇の香りが染み込んだ手紙を送った。
 同封した写真はR.Bに関わる写真だったのだろう。
 道前は即座に飛びついたが、肝心の人探しに躓き。
 そして、紆余曲折の末に綾瀬探偵事務所へ辿り着いた。

 同封していた写真は当然入れ替え、あくまで“リベンジポルノで困っている”という作り話に摩り替えて。
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