MAN OF THE FULL BLOOM

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　道楽でこんなイベントを催したであろう金持ち連中も、とりあえずは真面目にビジネスをする気はあるようで。
　聖たちのようにプレゼンする予定の面々は何グループかに分けられ、それぞれにスケジュール表が渡された。

　順番が来たら指定の会場へ入って、集まった金持ち相手にプレゼンを披露するという段取りであるようだ。
　その順番が来るまでは、船内を自由に散策できる――となっているが。

「こんな場所まで来て、格差を付けられるとはな」

　船内表示のプリントを眺めながら、聖は溜め息をついた。

　一万ドル払って経営者として一般参加した聖と晁生は『C』、投資運営を娯楽として参加したセレブは『B』、新規の投資先を探している資産家であり、十万ドル払って参加したスーパーセレブは『A』、さらにその先の『S』は、血統の良い王侯貴族や超金持ちのハイパーセレブ様だ。

　それぞれ「船内ではどうぞご自由に」と申し渡されているが、CとBは同じエリアを行き来できるが、ハイクラスのAとSのエリアには勝手な立ち入りは禁止となっている。

　きっとそこでは、提供される酒の種類から何から全てランクが違うのだろうと推測する。

　聖たちの下――つまりこの船の従業員たちが暮らすエリアは『free』と見做され、そちらには誰でも自由に行き来可能であるが。

　如何せん、格差は歴然としている。

「ハイクラスに忍び込んで誰ぞ誑し込もうとしても、ちょっと難しそうだな」

　船内では階数ごとに監視役がいる。
　地上のように、裏道や抜け道を通ってこれを遣り過ごすのは無理であろう。
　賄賂を渡せば行けるかもしれないが、果たして相場はどのくらいか……。

「まぁ、そういう仕事は晁生に任せるか」

　全部自分でやるのはしんどいし、大体にして、この話に乗った事を既に後悔している身としては、そこまで熱心に仕事をする気は起きない。

（名刺交換だけでも、オレとしては充分だよ）

　息をつき、とりあえずはロビーで寛ごうとそちらへ足を向けた聖であるが、