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(だが、もしもオレの為に……地位も名誉も命さえも、一切合切の全てを捨ててもいいと言われたら……)
果たしてその時は、自分はどうするのだろうか?
嬉しさに涙を流して喜ぶのか、迷惑だと言って切り捨てるのか。
自分でも答えが分からないまま、もう何年も経ってしまった。
(ユウの為に生きて行こうと決心していたが、ユウはとっくに新しい道を歩んでいる。オレの力を借りなくても充分やって行けている。その現実に、オレはこの先どうすればいいのか迷っている最中だ)
それが、自社の為に尽力している晁生との温度差になっている。
仕事の為に、わざわざこんな豪華客船に乗ったというのに――。
聖は軽く頭を振ると、ホールの端に配置されていたソファーへと歩いた。
その後ろに付き従うように、サイエンと晁生も場所を移動する。
何やら、聖の気分が沈んでいると察したらしく、二人は口々に慰めようとした。
「すまなかった! つい、頭に血が上ってしまった……ボクの言った事は全て戯言だと思って、どうか忘れてくれ。君はそのままで充分だよ」
「ミドーは誰よりも魅力的だ。絶対にレオンも興味を持ったさ。今頃、部屋には招待状が届いているだろう」
その言い様から、どうやら二人とも『聖はレオンに振られてショックを受けている』と勘違いしているようだ。
バカらしいと思いながら、聖はソファーへ腰を下ろした。
人の心の機微など通常は分からないが、自分に向けられる欲望の眼差しは違える事は無い。
レオンは、必ずもう一度聖に接触を図って来るだろう。
獅子の瞳は、獲物を前にした獣のように光っていた。
ベッドで何かしら強請れば、余程無茶な事でない限りは吞むだろうと思う。
(ヨーロッパでの興行を保証してくれと言えば、簡単に頷くだろうな。向こうとしても悪い話じゃないし、渋る理由はない筈だ。マフタン財団のバックアップがあれば、鬼に金棒になるワケだが……)
だが、結局いつもの通り、セックスありきの交渉かと思うと複雑な気分になる。
奴等が口にする『愛』は肉欲のことで、聖の中の寂しさは埋めてはくれない。
果たしてその時は、自分はどうするのだろうか?
嬉しさに涙を流して喜ぶのか、迷惑だと言って切り捨てるのか。
自分でも答えが分からないまま、もう何年も経ってしまった。
(ユウの為に生きて行こうと決心していたが、ユウはとっくに新しい道を歩んでいる。オレの力を借りなくても充分やって行けている。その現実に、オレはこの先どうすればいいのか迷っている最中だ)
それが、自社の為に尽力している晁生との温度差になっている。
仕事の為に、わざわざこんな豪華客船に乗ったというのに――。
聖は軽く頭を振ると、ホールの端に配置されていたソファーへと歩いた。
その後ろに付き従うように、サイエンと晁生も場所を移動する。
何やら、聖の気分が沈んでいると察したらしく、二人は口々に慰めようとした。
「すまなかった! つい、頭に血が上ってしまった……ボクの言った事は全て戯言だと思って、どうか忘れてくれ。君はそのままで充分だよ」
「ミドーは誰よりも魅力的だ。絶対にレオンも興味を持ったさ。今頃、部屋には招待状が届いているだろう」
その言い様から、どうやら二人とも『聖はレオンに振られてショックを受けている』と勘違いしているようだ。
バカらしいと思いながら、聖はソファーへ腰を下ろした。
人の心の機微など通常は分からないが、自分に向けられる欲望の眼差しは違える事は無い。
レオンは、必ずもう一度聖に接触を図って来るだろう。
獅子の瞳は、獲物を前にした獣のように光っていた。
ベッドで何かしら強請れば、余程無茶な事でない限りは吞むだろうと思う。
(ヨーロッパでの興行を保証してくれと言えば、簡単に頷くだろうな。向こうとしても悪い話じゃないし、渋る理由はない筈だ。マフタン財団のバックアップがあれば、鬼に金棒になるワケだが……)
だが、結局いつもの通り、セックスありきの交渉かと思うと複雑な気分になる。
奴等が口にする『愛』は肉欲のことで、聖の中の寂しさは埋めてはくれない。
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