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するとサイエンは「なら、まずは先に返事を聞かせてくれ」と返して来た。
「この船を降りてしまったら、またしばらく会えそうもないからな。ミドーは全然ナモ公国へ寄り付きもしないし」
「用もないのに渡航なんてしないさ」
「逆にオレが日本へ行った時も、何だかんだと理由をつけて会ってくれなかったじゃないか。君が、オレの事を避けているのはお見通しだぞ」
全くその通りなので、聖は無言になった。
もしもまた、世界規模の歌謡祭『ミュージック・ヒット・ザ・ジャックポッド』がナモ公国で開催されるなら、ユウの付き添いで行くかもしれないが。
それ以外で、わざわざあの国まで行くつもりは毛ほども無かった。
その事を見抜いているのか、サイエンは切なく言葉を紡ぐ。
「オレの事を信用していないのは仕方がない。嫌がる君を閉じ込めて無理に抱いた過去があるからな。……だが、オレはそれだけミドーに夢中だったというのは分かって欲しい」
「サイエン」
「だからどうか、色よい返事を」
「――オレを困らせるな」
少しの沈黙の後、聖はそれだけを口にした。
サイエンの気持ちは嬉しいような気もするが、やはり信用が出来ない。
そもそもこの男は、異母兄弟との恋の鞘当てで聖を取り合っていただけの気もする。
本当に本気で聖を愛しているのかは、かなり疑い深い。
それは、この旅のパートナーとして同行している晁生にしてもそうだ。
(簡単に人を信用して、オレはいったい今まで何度痛い目に遭ったことか。もうそんなのは御免だ)
聖は苛立たし気に息を吐くと、サイエンへ言う。
「戯言はそこまでにして、早く秘書を捕まえろ。何処に姿を隠そうと、この船からは誰も逃げられない。ここは巨大な密室のようなものなんだからな」
その言葉を受け、サイエンは渋々聖の前から去って行った。
――そう、今のクイーンダイヤモンドは洋上の密室だ。天候は荒れているのでヘリも出せないし、ボートも降ろす事は出来ない。
どこにも、逃げ場など無いはずだった。
「この船を降りてしまったら、またしばらく会えそうもないからな。ミドーは全然ナモ公国へ寄り付きもしないし」
「用もないのに渡航なんてしないさ」
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全くその通りなので、聖は無言になった。
もしもまた、世界規模の歌謡祭『ミュージック・ヒット・ザ・ジャックポッド』がナモ公国で開催されるなら、ユウの付き添いで行くかもしれないが。
それ以外で、わざわざあの国まで行くつもりは毛ほども無かった。
その事を見抜いているのか、サイエンは切なく言葉を紡ぐ。
「オレの事を信用していないのは仕方がない。嫌がる君を閉じ込めて無理に抱いた過去があるからな。……だが、オレはそれだけミドーに夢中だったというのは分かって欲しい」
「サイエン」
「だからどうか、色よい返事を」
「――オレを困らせるな」
少しの沈黙の後、聖はそれだけを口にした。
サイエンの気持ちは嬉しいような気もするが、やはり信用が出来ない。
そもそもこの男は、異母兄弟との恋の鞘当てで聖を取り合っていただけの気もする。
本当に本気で聖を愛しているのかは、かなり疑い深い。
それは、この旅のパートナーとして同行している晁生にしてもそうだ。
(簡単に人を信用して、オレはいったい今まで何度痛い目に遭ったことか。もうそんなのは御免だ)
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「戯言はそこまでにして、早く秘書を捕まえろ。何処に姿を隠そうと、この船からは誰も逃げられない。ここは巨大な密室のようなものなんだからな」
その言葉を受け、サイエンは渋々聖の前から去って行った。
――そう、今のクイーンダイヤモンドは洋上の密室だ。天候は荒れているのでヘリも出せないし、ボートも降ろす事は出来ない。
どこにも、逃げ場など無いはずだった。
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