MAN OF THE FULL BLOOM

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　聖は、そんな三人の男達を順番に眺めながら、フッと微笑む。

　揃いもそろって頬を赤く染め、本人達は知ってか知らずか、しっかりと股間を膨らませて目をギラギラさせている。
　様々なエンターテインメントが用意されている豪華客船クイーンダイヤモンドだが、さすがに娼館はない。
　だが、セレブたちは個人的に、それぞれ悪趣味な余興を愉しんでいるようだ。

　そんな光景を横目にしながらも、しかし船員たちスタッフは、羽目を外す事は固く禁じられている。
　だが、まだ若そうな彼等にとって、いつまでも品行方正を保つのは苦痛であったろう。

　すると、三人の内の一人が「オレは、あんたを見たぞ……」と呻くような声を上げた。

「Aクラスの船室へルームサービスを届けた時、その客がオレを無視してスマホをガン見してたんだ。野郎は、エロいポルノを観てた」
「ほぉ？」
「……あんたに、そっくりだった。ついついオレも手を止めて、客の背後からそのスマホを覗き見てたんだが……いいところで画面が切れて、続きは〇日に開催予定のプレゼン会場でって文字が」

　そのセリフを聞き、聖は脳内で『晁生は集客に奔走していたからな』と納得した。
　しかしまさか、このスタッフもあれを観ていたとは。

　聖は次にどう動くべきかと考えていたら、そのスタッフが生唾を飲み込みながら、再び口を開いた。

「でも、〇日のプレゼンは中止になったんだ。船内でマフタンの御曹司が暴行された事件が起きた所為で――そうか、あんたか」

　スマホの小さな画面には、艶やかに笑う淫魔のように美しい男が映っていた。
　まさかそれが、ここに囚われていた男と同一人物だったとは。

「せっかく、いいところで動画が終っちまって……おかげでムラムラして、こっちは大変だったんだぜ」

　徐々に息を上げながら、男は一歩近づいた。
　他の二人も、それに倣うかのように歩を進める。

「ハハ、なんだ、だからジョンはバーレスクショーに行こうってしつこかったのか？」
「ショーで女の生足を拝むよりも、今はこっちの方が興味あるな」