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レオンにそんな態度を取った人間は、イオリが初めてだった。
そこからは沼にハマり込むように、レオンはどんどんイオリに惹かれて行った。
しかしイオリは、レオンのこの不可解な執着に構ってやれるほど、生活に余裕は無かった。
妹のシオリがモード界で頭角を現した頃だったが、まだまだ金は必要だったからだ。
この大事な時に、御大尽のお遊びに付き合ってやるほど暇ではない。
だからイオリは、レオンの全てを拒絶したのだ。
――――そうして、今に至るワケだが。
「兄を手籠めにする為に、妹を人質にとるような真似をしたから、恨まれて殴られたんじゃないのか?」
尤もな事を言われ、レオンは渋面を作った。
この感情が『愛』なのか『征服欲』なのか、未だ本人も判別が付かない。
ずっと頑なにレオンを拒絶していたイオリを抱いたら、そこですっかり満足して執着心も消えるかもしれない。
それをこの船旅で、ハッキリさせようとしたのだが。
(まさか、ここに来て反撃されるとは思わなかった。これが日本でいう窮鼠猫を嚙むというやつか?)
押し黙るレオンに、サイエンは「質問だが」と声を掛ける。
「君は、ミドーをどう思う?」
「ミドー? それはもちろん、絶世の美形だと思っている。あれ程にエロスの雰囲気を漂わせた美しい男は何処にもいないだろう。彼の事を考えているだけで、滾るよ」
即座に答えたレオンに、サイエンは不満そうな顔になった。
「なら、どうして彼の無実を証明しない? このままでは、次の港で彼は降ろされてしまうぞ」
「う……」
「そんなに、ガブリエル・マフタンが怖いか?」
「お爺様の恐ろしさを、お前は知らない」
レオンが、苦い声でそう呟く。
その瞬間、サイエンの瞳がギラっと光った。
「――なら、オレの話に乗らないか?」
そこからは沼にハマり込むように、レオンはどんどんイオリに惹かれて行った。
しかしイオリは、レオンのこの不可解な執着に構ってやれるほど、生活に余裕は無かった。
妹のシオリがモード界で頭角を現した頃だったが、まだまだ金は必要だったからだ。
この大事な時に、御大尽のお遊びに付き合ってやるほど暇ではない。
だからイオリは、レオンの全てを拒絶したのだ。
――――そうして、今に至るワケだが。
「兄を手籠めにする為に、妹を人質にとるような真似をしたから、恨まれて殴られたんじゃないのか?」
尤もな事を言われ、レオンは渋面を作った。
この感情が『愛』なのか『征服欲』なのか、未だ本人も判別が付かない。
ずっと頑なにレオンを拒絶していたイオリを抱いたら、そこですっかり満足して執着心も消えるかもしれない。
それをこの船旅で、ハッキリさせようとしたのだが。
(まさか、ここに来て反撃されるとは思わなかった。これが日本でいう窮鼠猫を嚙むというやつか?)
押し黙るレオンに、サイエンは「質問だが」と声を掛ける。
「君は、ミドーをどう思う?」
「ミドー? それはもちろん、絶世の美形だと思っている。あれ程にエロスの雰囲気を漂わせた美しい男は何処にもいないだろう。彼の事を考えているだけで、滾るよ」
即座に答えたレオンに、サイエンは不満そうな顔になった。
「なら、どうして彼の無実を証明しない? このままでは、次の港で彼は降ろされてしまうぞ」
「う……」
「そんなに、ガブリエル・マフタンが怖いか?」
「お爺様の恐ろしさを、お前は知らない」
レオンが、苦い声でそう呟く。
その瞬間、サイエンの瞳がギラっと光った。
「――なら、オレの話に乗らないか?」
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