ギルド嬢の大罪無双〜平凡な受付嬢は禁断の力で世界を駆ける〜

柴咲心桜

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第7章 野外実習編

第46話 王命と学院依頼

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私は今、王城の正門に立っている。

──陛下に、直接話があるからだ。

「陛下、門番からの知らせです。サティという方が、陛下に謁見したいと城に来ておりますが、いかがいたしますか?」

    報告を受けた陛下は、紅茶のカップを片手に静かに言った。

「応接室に案内するように」

「かしこまりました」

    その言葉に従い、私は衛兵に案内されて応接室へと足を踏み入れる。

「サティ、今日はどんな用だ?」

    部屋に入ると、すぐに陛下が穏やかに問いかけてきた。

「実は、お願いがあって来たの」

「奇遇だな。私も《死神》に依頼したいことがあったところだ。まずは、君の要件を聞こうか」

「街の外壁を広げたの。だから、冒険者ギルドも街の中央に移動させたいと思ってるの」

「そんなことか。領土の管理は領主に一任している。好きにして構わん。ただし、事前に何をするかは報告するようにな」

「分かったわ。じゃあ、陛下の話は?」

    私の用件が片付いたところで、今度は陛下に話を振る。

「サティ、王立学院は知っているな?」

「名前くらいは。確か、貴族のための学校でしょ?」

「もとはな。だが最近は、平民の入学も認めるようになった」

「……それって、いずれ争いの火種にならない?」

「今のところ、そのような報告は無い。うまくやっているようだ」

「それで、依頼っていうのは?」

「この学院、座学は教師が行うが、実技授業は冒険者が担当してきた。だが近年、冒険者の質が低下していてな……」

「その件なら、力になれるかもしれないわ」

「本当か?」

「本当よ」

「だが、どうやって?」

「前にも言ったでしょ? 街を改革してるって」

「ああ、確かに」

「今、私の領地では複数の分野を融合した学院を作っているの。まだ生徒はいないけど、準備は進めてる」

「複数の分野?」

「魔術、冒険者育成、ダンジョン探索、その他いろいろ。今後はダンジョンも作るし、適任の教師も招く予定」

「……適任の人物?」

「《剣聖》《聖女》《勇者》《魔王》よ」

「……すまん、聞き間違いか? 《魔王》と聞こえた気がしたのだが」

「《魔王》で合ってるわ」

「……お前、《魔王》と親しいのか?」

「うん、大丈夫。悪い子じゃないし、契約してるから」

「……もう何を言われても驚かんぞ」

「召喚しよっか?」

「しなくていい!」

───後でこっそり召喚してみるつもり。

    陛下が溜息をついたところで、さらに続けて言った。

「実は、もうひとつ依頼がある。王立学院の野外実習、その監督をしてほしいのだ」

「野外実習?」

「詳しいことは学院の雑用係のエリィに聞いてくれ」

「了解。じゃあ、行ってくるわ」

    私は軽く会釈して応接室を後にし、学院へと向かった。


*  *  *

    王立学院。石造りの堂々とした門構えと広大な敷地。中庭には生徒らしき姿もちらほら見える。

    正門を通り、事務棟に入り、窓口に声をかけた。

「あの、すみません」

「どうされましたか?」

    柔らかい声とともに、受付にいた女性が笑顔で返してくる。

「エリィさんという方はいらっしゃいますか?」

「エリィは私ですが?」

「あ、よかった。陛下からエリィさんに、野外実習の監督について話を聞くように言われまして」

「……なるほど。では中へどうぞ」

    私は彼女に案内され、学院の事務室へと足を踏み入れた。

    ここから、王立学院での新たな日々が静かに幕を開ける。
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