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2.溺れるのは水の中だけじゃない
プールサイドに仰向けになって思わず大きく息を吐く。夕焼けに染まった空はオレンジ色から徐々に紫へと変わっていって、視界の端で揺れるプールの水面がやけに綺麗に見えた。
「はぁ、疲れた……」
水泳部の練習自体は好きだし、体力だってそこそこあるつもりなんだけど今日はやけに身体が重い。いや、重いっていうより“神経使った”って感覚に近いかも……なぜなら今日一日、なんか変に意識しすぎてしまったからだ。
何をって?
そりゃあ2年の田所先輩に――
(俺、なんであんなに言われたこと素直にやろうとしてんだ……)
昨日ぐらいから先輩のアドバイスが頭から離れない。呼吸やフォームの指摘は「うるせぇな」って思うはずなのに、いざ泳ぎ始めるとどうしても意識しちゃう。結果、普段よりも疲れるし変に力が入って頭の中がグルグルする。しかも先輩の表情とか言葉とかが余計に俺を混乱させるんだよな。
ぼんやりとしていたら、急に日差しが遮られた。見上げると腕を組んだ田所先輩が立っていて呆れたように俺を見下ろしていた。
「おい、こんなところで寝るな。風邪ひくぞ」
「暑いのに風邪なんかひきませんよ」
「はいはい、いいから着替えろ」
いつも通りの素っ気ない口調。そう言いながらも先輩はタオルを俺の胸元に放り投げてくる。受け取ると同時に軽口を叩きたくなった。意地悪な気持ちっていうか、先輩を困らせてやりたい気分だった。
「先輩が着替えさせてくれるなら動くけど?」
ちょっと冗談きつめに言ってやった。どうせ「馬鹿か」って言われて終わりだろう……そう思っていたのに。
先輩は何も言わず、一歩こっちに寄ってきた。そのまま俺の腕をがっしり掴んでぐいっと引き起こすもんだから、バランスを崩して体が先輩に近づく。顔が、やたら近い。見上げると先輩の濡れた髪から水滴が落ちてきて俺の頬にぽたりと落ちた。
「ほら、着替えろ」
低い声が耳元に響き、ドキッとする。なんでこんな……男相手なのに変に意識しちゃうんだろう。顔が熱くなるのが分かる。日焼けだと自分に言い訳したいけど、絶対そうじゃない。
(ちょ、なに考えてんだ俺……!)
動揺を隠すために「冗談ですよ、先輩」と手を振り払った。少し乱暴だったかもしれないが、このままじゃ俺の鼓動の速さがばれそうでなんだか恥ずかしかった。
「なら、さっさと動け」
先輩はいつも通りの口調だけど、俺にはわずかに先輩の頬が赤いように見えた。こっちと同じで日焼けかもしれないけど、やけに意識してしまう自分がいる。
(くそ……なんで男の先輩にこんなにドキドキしてんだよ)
しかし俺の心の混乱はまだ続くことになる。着替えろと言われたのに、なんだか泳ぎ足りない気がしてきてしまった。というより今日言われた「無駄な力を抜く泳ぎ方」をもう少し自分のものにしたくて、つい自主練をすることに決めたのだ。見つかったらまた先輩にうるさく言われそうだったので、あえて誰もいないタイミングを狙い、プールへ戻る。
プールサイドには夕日が差し込んでオレンジの光が水面を揺らしている。誰もいない静かなプールって、ちょっと幻想的だ。少し背筋がゾクッとするような静寂の中、スタート台に立つと自然と気持ちが引き締まる。
(よし、やるか)
フォームや呼吸のタイミングを丁寧にチェックしながら俺はひと泳ぎ、またひと泳ぎ。普段なら適当にやり過ごしそうなポイントも今日は集中して身体に覚え込ませようとする。頭の片隅に先輩のアドバイスがチラついていて、それを思い出すたびにまた、先輩に振り回されてるよな……と苦笑いしたくなるけど。
ただプールって油断すると足が攣ることがある。特に集中してフォームを変えた時は身体に無理な負荷がかかるらしい。俺はその典型的な例だった。フォームを意識しすぎて余計な力が入ったのか、急に右足のふくらはぎがビキッと痛んだ。
「っ、やべ……!」
激痛でキックがうまく打てなくなり、みるみるうちに体が沈む。冗談抜きでやばいと思った瞬間、水を吸い込んで咳き込んだ。さらに焦ってしまい、手足をジタバタさせるんだけど攣った足は全然言うことを聞いてくれない。
(やっばい……!)
本能的に水面に浮上しようとするけど息が苦しくて、もがくほどにバランスを崩していく。こういう時、冷静さを失うと本当に危ないって頭では分かってるのに、どうしようもなかった。
その時――水を割る音が聞こえた。
誰かが飛び込んできた衝撃で水流が生まれ、腕が俺の身体をしっかり抱え込む。溺れかけていた俺の口元が水面に引き上げられた。
「ぷはっ……!」
一気に肺に空気が入り、思わずむせこむ。目を開けても視界がブレブレで……でも、その中でハッキリ分かったのは俺を助けてくれたのが――田所先輩だってこと。
「バカ! お前、何やってんだ!」
先輩の声が耳に届くと、なぜか涙が出そうになった。苦しかったし、ちょっと怖かったのもある。でも、一番胸に響いたのは先輩の声にこもる焦りと怒りと――それから、たぶん心配。
先輩は俺の肩をがっちり掴みながら、懸命にプールサイドまで運んでくれる。俺の息が整うまで、ずっと肩や背中を支え続けてくれていた。その腕の力がやたら頼もしくて、怖さよりも安心感の方が先に立つ。男に対してこんなこと思うのは変だって分かってるけど……だけど、それが正直な感想だった。
「お、おれ……」
どうにか声を出そうとする。が、何を言えばいいのか分からなかった。先輩はプールサイドに俺を座らせると、そのまま俺の肩を掴んだまま言った。
「足、攣ったんだろ……無理するからだ。なんで一人で泳いでんだよ」
怒鳴り声が苦手なはずなのに、今はなぜか「怒ってくれてよかった」と思う。先輩が駆けつけてくれなかったら、どうなってたか分かんないし。
「……悪かったっす」
短く答えると先輩は一瞬だけ眉をひそめたが、すぐに少しだけ息を吐いた。
「まったく……お前が無茶するの、俺が見てないとダメだな」
その言い方が胸にズキンとくる。「見てないとダメ」って、まるで子ども扱いだけど、なんでだろう、心の奥が暖かくなる。安心と同時に、鼓動がおかしなスピードで跳ねだす。
(溺れた直後だから……? それにしては妙にドキドキしてる気が……)
必死にごまかそうと咳払いをする。気付かれるわけにはいかない。
「悪かったっすね、先輩がいないとダメな後輩で」
ちょっと投げやりに言うと先輩は苦笑いして、近くの椅子に置いてあったタオルを取って俺の頭に押し付けてくる。
「しっかり拭け。それと……無理すんなよ」
その声が、やっぱり怒りよりも心配寄りに聞こえる。どう返事していいか分からなくて、俺は無言のままタオルで髪を拭いた。体温がさっきから上がりっぱなしなのは水から上がったばかりで暑いせいだ、と思いたい。
落ち着いてきたら先輩にどうお礼を言えばいいかなんて考えが頭をよぎる。だけど、言葉にしようとすると、なぜか視線が合わせられない。
(ありがとう、助かった……なんて、普通に言えばいいだけじゃん)
なのに口から出てくるのは素直とは程遠い言葉ばかり。せっかく先輩が心配してくれてるんだから、一言くらいちゃんと伝えたいのに。
「……俺は平気っすよ。ちょっと足攣っただけだし」
「どこが平気だよ。おっ、大丈夫か? 立てるか?」
「立てますって」
そう言いつつ、立ち上がるとまだ足に違和感がある。ぎくしゃくしながら歩こうとした時、先輩がさっと腕を貸そうとしてくれる。それを「要らないっす」と振り払おうとする俺。だけど、先輩はあくまで支えようとしてくるもんだから、わざとらしく舌打ちしてしまった。
「うっせぇな……本当に大丈夫なんで」
「俺が心配なんだよ、いきなりコケたら危ねぇだろ」
「……勝手にどうぞ」
俺はそっけなく答えながら、結局先輩の腕をちょっとだけ借りてプールサイドのベンチまで移動する。落ち着いて座り込み、ふと顔をあげると先輩も隣に座って大きく息をついていた。
「一瞬焦ったわ。誰もいないからって勝手に泳ぎやがって」
「すみません」
変に強がっても仕方ない。ここは素直に謝る。そしたら先輩は少しだけ眉を下げて、
「いや、俺もちゃんと見てりゃよかった」
なんて言うもんだから俺は思わず、
「そんなの先輩のせいじゃないでしょ」
と突っ込んだ。
そうこうしているうちに、いつの間にか空が暗くなってきた。プールの照明がぼんやりと水面を照らしていて、その光が先輩の輪郭を少しだけ幻想的に映し出している。俺はドキリとして、慌てて視線を外した。
(あぶね……また先輩の顔をマジマジと見ちまった)
助けてもらったばかりで、しんみり浸ってる場合じゃないってのに頭の中はさっきの“近距離”の光景がリフレインしてくる。先輩の腕の中で呼吸を取り戻した時の安堵感、あの体温と力強さ――正直、あんなの初めてだ。男相手に「守られる」感覚が気持ちいいなんて、どう考えても変だろう……けど、本当のことだからしょうがない。
「……?」
隣に座る先輩が、ちらっと俺の方を覗き込む。もしかして顔、赤くなってないよな?
水泳後で血行がいいだけだって思いたいけど自信がまるでない。
「どうした?」
「いや、別に」
「まだ苦しいなら無理するなよ」
「苦しくなんか……」
言いかけて慌てて口をつぐむ。足が攣った苦しさはすでに引いてるけど、心臓はまだバクバクしてる。溺れたせいだけじゃないのは自分でも分かる。先輩がこんなにも近くにいるだけで、やたら鼓動が早くなるって……俺の身体、おかしくなったんじゃないか?
「……お前、ちゃんとクールダウンしとけよ」
「わかってますよ」
少しムッとした口調になってしまう。誰が原因でこんな鼓動になってると思ってんだ、とか意地悪なことを考えてしまう自分も嫌だ。先輩はそんな俺の心中なんて知らないだろうから適当な相槌をうって立ち上がり、近くのラックから飲みかけのスポーツドリンクを取り出して飲んでいる。
俺は礼を言って先輩が差し出してくれたタオルをぎこちなく手に取って頭を拭く。座ったまま、プールの水面を改めて見ると本当に静かだ。さっきは俺がバシャバシャしていたから分からなかったけど、夜のプールってこんなにも落ち着いているんだな。
「もう今日は上がろう……鍵閉めなきゃいけないし」
「……そうですね」
先輩がそう言って、俺が返事をする。そのやり取りは当たり前なんだけど、なぜだか胸がチクリとする。さっきは俺もひとりで泳ぐなんて勝手な行動しちゃったし、これ以上迷惑かけたくないという気持ちと、もうちょっとだけ先輩と一緒にいたいような……いや、何考えてんだ?
もう自分が何を感じてるか分からなくて頭がぐちゃぐちゃだ。素直に「助けてもらってありがとうございます」と言えばいいのに、それすらまだ言えてない。
――結局、その言葉を飲み込んだまま、俺たちはシャワー室へ向かった。
短いシャワーを浴びて競泳パンツを脱ぎ、体操服に着替える頃には少しは気持ちが落ち着いてきた。先輩の方は先に着替えを終えたらしく、プールの出入口の方で何か作業をしている。多分、電気を消したりカギをチェックしたり、そんなところだろう。
俺は髪をタオルで拭きながら、何となく遠くで動く先輩の背中を眺めた。疲れているはずなのになぜか今は不思議と痛みも感じない。代わりに、さっきの先輩の腕の力強さがふわっと頭に蘇ってきて心臓がまた少しだけ速くなる。
(男に抱えられてドキドキするなんて、おかしいよな)
自分に言い聞かせるようにそっと呟く。でもプールで溺れそうになった時に助けられた瞬間、なんだか胸がギュッと掴まれたような気持ちになったのは事実だ。それから先輩の怒った顔を見て、ああ、心配されてるんだ、なんて変に嬉しくなってしまったりして――
「……イカれてるわ、俺」
軽く頭を振ってからタオルをカゴに放り込む。気持ちを切り替えたくてシャワー室を出ると、まるで待っていたように先輩がこっちを振り返った。
「よし、帰るぞ」
「はい」
その言葉を聞いて少しだけ胸が痛むのは、ただ単に今日の練習が終わるのが名残惜しいからだと思いたい。
外に出ると、もう空はすっかり夜の色。校舎にはほとんど人の気配がなくて遠くのグラウンドも真っ暗だ。先輩と一緒に昇降口へ向かう足取りが妙に静かに感じられる。
このままじゃ、何も言えないままバイバイになりそうだ。そう思った時、自然と口が動いていた。
「……さっきはありがとうございました。助かりました」
精一杯の声量。そしたら先輩は意外なほどあっさり「おう」と答えた。それだけ、でも、言葉は短くても先輩の表情は少しだけ優しげな笑みが浮かんでいた……やられた。そんな顔されると、こっちの鼓動が収まるわけがない。
(どうしよう、俺……)
心臓がまだ少しだけバクバクしてる。溺れたせいなのか、先輩のせいなのか――いや、もう答えは分かってる気がするけど認めたくない。男同士って、そんなの普通じゃないし。でも、このまま引きずるのもキツい。頭の中で自問自答を繰り返しながら俺は靴箱の扉を開けて上履きを脱ぎ、通学靴に履き替えた。
「じゃあ、俺はこっちなんで、お疲れっす」
「ああ、お疲れ。気をつけて帰れよ」
「はいはい」
校門を出るころには先輩がもう見えなくなっていた。そりゃそうだ、当たり前だ。一緒に帰るほど仲いいわけでもないし……だけど、どこかで並んで歩いてみたいなんて考えてしまう自分がいて思わず苦笑いがこぼれる。
結局、今日も自分の気持ちは整理できないまま空回りしたままだった。だけど一つだけ言えることがある。俺は先輩がいないとダメなのかもしれない。いや、ダメに“なりたく”はないけど……少なくとも、先輩がいないプールなんて味気ないと思い始めてる。
帰り道の夜風が昼間の蒸し暑さを少しだけ和らげてくれる。それでも俺の体温はさっきからほとんど下がっていない気がする。思い返すのは、溺れかけた俺を抱き上げてくれた先輩の腕の感触――そして、耳元で聞こえた低い声。水面から顔を出した時の息苦しさと高揚感がいまだに身体の中をぐるぐる回っている。
(溺れるのは、水の中だけじゃない……ってことか)
誰に教わったわけでもないのに、そんな言葉が胸に浮かぶ。水泳をやってる以上、水に溺れる危険は常にある。でも今の俺は水とは別の何かに溺れかけてる……まだはっきりとは口にできないし、認めたくないけど、その正体が何となく分かってしまいそうで怖い。
この気持ちを抱えたまま次にプールへ行く時、俺はいったいどんな顔をするんだろう。気づかないフリを続けるのか、それとも正面から先輩と向き合ってしまうのか。俺自身、答えを見つけられないまま今日という日は終わろうとしていた。
いつもより少し遅い時間の帰り道、俺の心臓はまだ少しだけ早鐘を打ったままだ。夜空に浮かぶ月を見上げながら、うっすらと感じるのは暑さとも違う妙に生々しい熱。まるで水の中から脱出できずにいるような苦しさと、それとは裏腹の心地よさが混ざり合って俺の胸をざわつかせるのだった。
「はぁ、疲れた……」
水泳部の練習自体は好きだし、体力だってそこそこあるつもりなんだけど今日はやけに身体が重い。いや、重いっていうより“神経使った”って感覚に近いかも……なぜなら今日一日、なんか変に意識しすぎてしまったからだ。
何をって?
そりゃあ2年の田所先輩に――
(俺、なんであんなに言われたこと素直にやろうとしてんだ……)
昨日ぐらいから先輩のアドバイスが頭から離れない。呼吸やフォームの指摘は「うるせぇな」って思うはずなのに、いざ泳ぎ始めるとどうしても意識しちゃう。結果、普段よりも疲れるし変に力が入って頭の中がグルグルする。しかも先輩の表情とか言葉とかが余計に俺を混乱させるんだよな。
ぼんやりとしていたら、急に日差しが遮られた。見上げると腕を組んだ田所先輩が立っていて呆れたように俺を見下ろしていた。
「おい、こんなところで寝るな。風邪ひくぞ」
「暑いのに風邪なんかひきませんよ」
「はいはい、いいから着替えろ」
いつも通りの素っ気ない口調。そう言いながらも先輩はタオルを俺の胸元に放り投げてくる。受け取ると同時に軽口を叩きたくなった。意地悪な気持ちっていうか、先輩を困らせてやりたい気分だった。
「先輩が着替えさせてくれるなら動くけど?」
ちょっと冗談きつめに言ってやった。どうせ「馬鹿か」って言われて終わりだろう……そう思っていたのに。
先輩は何も言わず、一歩こっちに寄ってきた。そのまま俺の腕をがっしり掴んでぐいっと引き起こすもんだから、バランスを崩して体が先輩に近づく。顔が、やたら近い。見上げると先輩の濡れた髪から水滴が落ちてきて俺の頬にぽたりと落ちた。
「ほら、着替えろ」
低い声が耳元に響き、ドキッとする。なんでこんな……男相手なのに変に意識しちゃうんだろう。顔が熱くなるのが分かる。日焼けだと自分に言い訳したいけど、絶対そうじゃない。
(ちょ、なに考えてんだ俺……!)
動揺を隠すために「冗談ですよ、先輩」と手を振り払った。少し乱暴だったかもしれないが、このままじゃ俺の鼓動の速さがばれそうでなんだか恥ずかしかった。
「なら、さっさと動け」
先輩はいつも通りの口調だけど、俺にはわずかに先輩の頬が赤いように見えた。こっちと同じで日焼けかもしれないけど、やけに意識してしまう自分がいる。
(くそ……なんで男の先輩にこんなにドキドキしてんだよ)
しかし俺の心の混乱はまだ続くことになる。着替えろと言われたのに、なんだか泳ぎ足りない気がしてきてしまった。というより今日言われた「無駄な力を抜く泳ぎ方」をもう少し自分のものにしたくて、つい自主練をすることに決めたのだ。見つかったらまた先輩にうるさく言われそうだったので、あえて誰もいないタイミングを狙い、プールへ戻る。
プールサイドには夕日が差し込んでオレンジの光が水面を揺らしている。誰もいない静かなプールって、ちょっと幻想的だ。少し背筋がゾクッとするような静寂の中、スタート台に立つと自然と気持ちが引き締まる。
(よし、やるか)
フォームや呼吸のタイミングを丁寧にチェックしながら俺はひと泳ぎ、またひと泳ぎ。普段なら適当にやり過ごしそうなポイントも今日は集中して身体に覚え込ませようとする。頭の片隅に先輩のアドバイスがチラついていて、それを思い出すたびにまた、先輩に振り回されてるよな……と苦笑いしたくなるけど。
ただプールって油断すると足が攣ることがある。特に集中してフォームを変えた時は身体に無理な負荷がかかるらしい。俺はその典型的な例だった。フォームを意識しすぎて余計な力が入ったのか、急に右足のふくらはぎがビキッと痛んだ。
「っ、やべ……!」
激痛でキックがうまく打てなくなり、みるみるうちに体が沈む。冗談抜きでやばいと思った瞬間、水を吸い込んで咳き込んだ。さらに焦ってしまい、手足をジタバタさせるんだけど攣った足は全然言うことを聞いてくれない。
(やっばい……!)
本能的に水面に浮上しようとするけど息が苦しくて、もがくほどにバランスを崩していく。こういう時、冷静さを失うと本当に危ないって頭では分かってるのに、どうしようもなかった。
その時――水を割る音が聞こえた。
誰かが飛び込んできた衝撃で水流が生まれ、腕が俺の身体をしっかり抱え込む。溺れかけていた俺の口元が水面に引き上げられた。
「ぷはっ……!」
一気に肺に空気が入り、思わずむせこむ。目を開けても視界がブレブレで……でも、その中でハッキリ分かったのは俺を助けてくれたのが――田所先輩だってこと。
「バカ! お前、何やってんだ!」
先輩の声が耳に届くと、なぜか涙が出そうになった。苦しかったし、ちょっと怖かったのもある。でも、一番胸に響いたのは先輩の声にこもる焦りと怒りと――それから、たぶん心配。
先輩は俺の肩をがっちり掴みながら、懸命にプールサイドまで運んでくれる。俺の息が整うまで、ずっと肩や背中を支え続けてくれていた。その腕の力がやたら頼もしくて、怖さよりも安心感の方が先に立つ。男に対してこんなこと思うのは変だって分かってるけど……だけど、それが正直な感想だった。
「お、おれ……」
どうにか声を出そうとする。が、何を言えばいいのか分からなかった。先輩はプールサイドに俺を座らせると、そのまま俺の肩を掴んだまま言った。
「足、攣ったんだろ……無理するからだ。なんで一人で泳いでんだよ」
怒鳴り声が苦手なはずなのに、今はなぜか「怒ってくれてよかった」と思う。先輩が駆けつけてくれなかったら、どうなってたか分かんないし。
「……悪かったっす」
短く答えると先輩は一瞬だけ眉をひそめたが、すぐに少しだけ息を吐いた。
「まったく……お前が無茶するの、俺が見てないとダメだな」
その言い方が胸にズキンとくる。「見てないとダメ」って、まるで子ども扱いだけど、なんでだろう、心の奥が暖かくなる。安心と同時に、鼓動がおかしなスピードで跳ねだす。
(溺れた直後だから……? それにしては妙にドキドキしてる気が……)
必死にごまかそうと咳払いをする。気付かれるわけにはいかない。
「悪かったっすね、先輩がいないとダメな後輩で」
ちょっと投げやりに言うと先輩は苦笑いして、近くの椅子に置いてあったタオルを取って俺の頭に押し付けてくる。
「しっかり拭け。それと……無理すんなよ」
その声が、やっぱり怒りよりも心配寄りに聞こえる。どう返事していいか分からなくて、俺は無言のままタオルで髪を拭いた。体温がさっきから上がりっぱなしなのは水から上がったばかりで暑いせいだ、と思いたい。
落ち着いてきたら先輩にどうお礼を言えばいいかなんて考えが頭をよぎる。だけど、言葉にしようとすると、なぜか視線が合わせられない。
(ありがとう、助かった……なんて、普通に言えばいいだけじゃん)
なのに口から出てくるのは素直とは程遠い言葉ばかり。せっかく先輩が心配してくれてるんだから、一言くらいちゃんと伝えたいのに。
「……俺は平気っすよ。ちょっと足攣っただけだし」
「どこが平気だよ。おっ、大丈夫か? 立てるか?」
「立てますって」
そう言いつつ、立ち上がるとまだ足に違和感がある。ぎくしゃくしながら歩こうとした時、先輩がさっと腕を貸そうとしてくれる。それを「要らないっす」と振り払おうとする俺。だけど、先輩はあくまで支えようとしてくるもんだから、わざとらしく舌打ちしてしまった。
「うっせぇな……本当に大丈夫なんで」
「俺が心配なんだよ、いきなりコケたら危ねぇだろ」
「……勝手にどうぞ」
俺はそっけなく答えながら、結局先輩の腕をちょっとだけ借りてプールサイドのベンチまで移動する。落ち着いて座り込み、ふと顔をあげると先輩も隣に座って大きく息をついていた。
「一瞬焦ったわ。誰もいないからって勝手に泳ぎやがって」
「すみません」
変に強がっても仕方ない。ここは素直に謝る。そしたら先輩は少しだけ眉を下げて、
「いや、俺もちゃんと見てりゃよかった」
なんて言うもんだから俺は思わず、
「そんなの先輩のせいじゃないでしょ」
と突っ込んだ。
そうこうしているうちに、いつの間にか空が暗くなってきた。プールの照明がぼんやりと水面を照らしていて、その光が先輩の輪郭を少しだけ幻想的に映し出している。俺はドキリとして、慌てて視線を外した。
(あぶね……また先輩の顔をマジマジと見ちまった)
助けてもらったばかりで、しんみり浸ってる場合じゃないってのに頭の中はさっきの“近距離”の光景がリフレインしてくる。先輩の腕の中で呼吸を取り戻した時の安堵感、あの体温と力強さ――正直、あんなの初めてだ。男相手に「守られる」感覚が気持ちいいなんて、どう考えても変だろう……けど、本当のことだからしょうがない。
「……?」
隣に座る先輩が、ちらっと俺の方を覗き込む。もしかして顔、赤くなってないよな?
水泳後で血行がいいだけだって思いたいけど自信がまるでない。
「どうした?」
「いや、別に」
「まだ苦しいなら無理するなよ」
「苦しくなんか……」
言いかけて慌てて口をつぐむ。足が攣った苦しさはすでに引いてるけど、心臓はまだバクバクしてる。溺れたせいだけじゃないのは自分でも分かる。先輩がこんなにも近くにいるだけで、やたら鼓動が早くなるって……俺の身体、おかしくなったんじゃないか?
「……お前、ちゃんとクールダウンしとけよ」
「わかってますよ」
少しムッとした口調になってしまう。誰が原因でこんな鼓動になってると思ってんだ、とか意地悪なことを考えてしまう自分も嫌だ。先輩はそんな俺の心中なんて知らないだろうから適当な相槌をうって立ち上がり、近くのラックから飲みかけのスポーツドリンクを取り出して飲んでいる。
俺は礼を言って先輩が差し出してくれたタオルをぎこちなく手に取って頭を拭く。座ったまま、プールの水面を改めて見ると本当に静かだ。さっきは俺がバシャバシャしていたから分からなかったけど、夜のプールってこんなにも落ち着いているんだな。
「もう今日は上がろう……鍵閉めなきゃいけないし」
「……そうですね」
先輩がそう言って、俺が返事をする。そのやり取りは当たり前なんだけど、なぜだか胸がチクリとする。さっきは俺もひとりで泳ぐなんて勝手な行動しちゃったし、これ以上迷惑かけたくないという気持ちと、もうちょっとだけ先輩と一緒にいたいような……いや、何考えてんだ?
もう自分が何を感じてるか分からなくて頭がぐちゃぐちゃだ。素直に「助けてもらってありがとうございます」と言えばいいのに、それすらまだ言えてない。
――結局、その言葉を飲み込んだまま、俺たちはシャワー室へ向かった。
短いシャワーを浴びて競泳パンツを脱ぎ、体操服に着替える頃には少しは気持ちが落ち着いてきた。先輩の方は先に着替えを終えたらしく、プールの出入口の方で何か作業をしている。多分、電気を消したりカギをチェックしたり、そんなところだろう。
俺は髪をタオルで拭きながら、何となく遠くで動く先輩の背中を眺めた。疲れているはずなのになぜか今は不思議と痛みも感じない。代わりに、さっきの先輩の腕の力強さがふわっと頭に蘇ってきて心臓がまた少しだけ速くなる。
(男に抱えられてドキドキするなんて、おかしいよな)
自分に言い聞かせるようにそっと呟く。でもプールで溺れそうになった時に助けられた瞬間、なんだか胸がギュッと掴まれたような気持ちになったのは事実だ。それから先輩の怒った顔を見て、ああ、心配されてるんだ、なんて変に嬉しくなってしまったりして――
「……イカれてるわ、俺」
軽く頭を振ってからタオルをカゴに放り込む。気持ちを切り替えたくてシャワー室を出ると、まるで待っていたように先輩がこっちを振り返った。
「よし、帰るぞ」
「はい」
その言葉を聞いて少しだけ胸が痛むのは、ただ単に今日の練習が終わるのが名残惜しいからだと思いたい。
外に出ると、もう空はすっかり夜の色。校舎にはほとんど人の気配がなくて遠くのグラウンドも真っ暗だ。先輩と一緒に昇降口へ向かう足取りが妙に静かに感じられる。
このままじゃ、何も言えないままバイバイになりそうだ。そう思った時、自然と口が動いていた。
「……さっきはありがとうございました。助かりました」
精一杯の声量。そしたら先輩は意外なほどあっさり「おう」と答えた。それだけ、でも、言葉は短くても先輩の表情は少しだけ優しげな笑みが浮かんでいた……やられた。そんな顔されると、こっちの鼓動が収まるわけがない。
(どうしよう、俺……)
心臓がまだ少しだけバクバクしてる。溺れたせいなのか、先輩のせいなのか――いや、もう答えは分かってる気がするけど認めたくない。男同士って、そんなの普通じゃないし。でも、このまま引きずるのもキツい。頭の中で自問自答を繰り返しながら俺は靴箱の扉を開けて上履きを脱ぎ、通学靴に履き替えた。
「じゃあ、俺はこっちなんで、お疲れっす」
「ああ、お疲れ。気をつけて帰れよ」
「はいはい」
校門を出るころには先輩がもう見えなくなっていた。そりゃそうだ、当たり前だ。一緒に帰るほど仲いいわけでもないし……だけど、どこかで並んで歩いてみたいなんて考えてしまう自分がいて思わず苦笑いがこぼれる。
結局、今日も自分の気持ちは整理できないまま空回りしたままだった。だけど一つだけ言えることがある。俺は先輩がいないとダメなのかもしれない。いや、ダメに“なりたく”はないけど……少なくとも、先輩がいないプールなんて味気ないと思い始めてる。
帰り道の夜風が昼間の蒸し暑さを少しだけ和らげてくれる。それでも俺の体温はさっきからほとんど下がっていない気がする。思い返すのは、溺れかけた俺を抱き上げてくれた先輩の腕の感触――そして、耳元で聞こえた低い声。水面から顔を出した時の息苦しさと高揚感がいまだに身体の中をぐるぐる回っている。
(溺れるのは、水の中だけじゃない……ってことか)
誰に教わったわけでもないのに、そんな言葉が胸に浮かぶ。水泳をやってる以上、水に溺れる危険は常にある。でも今の俺は水とは別の何かに溺れかけてる……まだはっきりとは口にできないし、認めたくないけど、その正体が何となく分かってしまいそうで怖い。
この気持ちを抱えたまま次にプールへ行く時、俺はいったいどんな顔をするんだろう。気づかないフリを続けるのか、それとも正面から先輩と向き合ってしまうのか。俺自身、答えを見つけられないまま今日という日は終わろうとしていた。
いつもより少し遅い時間の帰り道、俺の心臓はまだ少しだけ早鐘を打ったままだ。夜空に浮かぶ月を見上げながら、うっすらと感じるのは暑さとも違う妙に生々しい熱。まるで水の中から脱出できずにいるような苦しさと、それとは裏腹の心地よさが混ざり合って俺の胸をざわつかせるのだった。
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漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
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