『赤毛猫海賊団 カタリナの野望』 ~カタリナ様はワガママ貫き通すってよ~

ひろの

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第1章 カタリナ、ついでに弩級戦艦もらっとく  ~ 海賊(きょうてき)打倒編 ~

第20話 脱出していい?

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脱出を急ぐカタリナたち。バルザックはロープでミノムシのようにぐるぐる巻きにされ、足に結ばれたロープを団員三人に引きずられていた。
バルザックは引っ張られながらも怒りと不快感で顔を歪ませていた。

非常口からカタリナ達は飛び出した。少しだけ広い場所に出た。
だがその先は切り立った崖になっており、それ以上進むことはできなかった。
まるで地震のように地面が小刻みに揺れている。
どれくらいの猛獣が迫ってきているのか。

「道を間違ったか!急げ!戻るぞ!」

カタリナが叫ぶ。だがその時に崖下から一隻のコルベットが急浮上してきた。
コタは本当に場所を把握していた。

スピーカーからコタの声が聞こえる。

「間に合いました!さぁ、逃げますよ。ですが、この一隻に34人を押し込むのは少々厳しい上に時間がかかります。少々お待ちください。」

崖際の上空10メートルほどまで急上昇した。風で団員達の髪が大きく揺らいだ。
先ほど設置していた秘密装置が展開し、大きなネットが広がった。

「そこに飛び乗ってください。」

「……大丈夫なの、これ?」

カタリナが蓑虫バルザックを引っ張ってきてネットに放り投げた。
少し揺れたが、しっかりと安定していた

「よし、みんな乗り込め!」

赤毛猫海賊団団員達が次々とネットに飛び移りしっかりとロープを握り締めた。

「乗り込みましたね。では少し揺れますよ。」

そういうとコルベットを浮上させて地上10mほどの所で基地から離脱しようとする。

その時、反対側から大きな音と共に砂埃が舞って基地を取り囲む塀が所々崩された。
半狂乱になって暴れ狂う象のような大型獣、その巨体がぶつかり合い、周囲の獣たちが紙屑のように巻き上げられていった

基地の周りでは集った猛獣たちが、お互い襲いあっていた。
逃げようとした海賊達の中にはその狂乱に巻き込まれた者もいる。

「危機一髪でしたね…。」

団員の一人が呟いた。
それは皆が思っていることだった。

少し不安になったカタリナがコタに語り掛けた。

「ねぇ、コタ。もうちょっと高く上がらないの?なんか猛獣たちが襲ってきたら、届きそうで怖いんだけど。」

「フーム……お嬢様、最近お菓子の食べ過ぎで、少々……あ、いえ何でもございません。実は重くて、これ以上は上昇できません」

「はぁ!?このナイスバディのどこ見て言ってんの!こいつよ、こいつが筋肉バカだから重いのよ!」

プンスカしながらバルザックを指さす。

「冗談ですよ。普通に上昇はできますが、世の中何が起きるか分かりません。もし落下されたとしても、この高さなら一命を取り留めます。執事たるもの全てのリスクに備えるものです。」

今まで、黙り込んでいたバルザックが口を開いた。

「なるほど……そういうことだったのか。俺はどうせ軍に引き渡されても縛り首だ。なら万に一つの助かる道を選ぶさ。」

そういうと蓑虫のまま腹筋と背筋を使って跳ね上がった。ネットが揺れて団員達は掴まるのに必死だった。

バルザックはそのまま、一回転して足から着地しようとする。

「あばよ、小娘!俺は必ず立ち戻り、お前達をぶっ殺してやるからな!!俺を殺さなかったことを後悔するんだな!!」

だがその軌道を追うようにコルベットから何やらアームが伸びた。
コタのドヤ声が聞こえる。

「言ったでしょう?どんなリスクにも備えると。執事たるもの、あらゆるスキルを磨いておくものです。クレーンゲーム検定初段を舐めないでいただきたい。」

落下するバルザックの位置を完全に予測するかのように第二の秘密装置から伸びたアームが固定されるとクレーンが一気に降下し、落下するバルザックをがっしりと掴んだ。

何が起きたか理解できないバルザックはその不安定な体勢で固定された。

「暴れると頭から落ちますよ。」

「うあぁああぁぁああ!!!!」

バルザックの悲鳴が響く中、コルベットは猛獣の群れを超えて、サバンナの開けた場所に着陸した。
そこには先に離脱した7隻のコルベットと団員たちが控えていた。

団員たちはハイタッチで健闘を称えあった。

バルザックは時に引きずられ、時に猛獣に引っかかれ、サボテンに突き刺さって、もはや呆けた状態で気を失っていた。

「お嬢様、お見事でした、おめでとうございます。いかがでしたか?」

「コタ、ありがとう。助かったよ。いや、楽しかったよ。上には上がいることが分かってよかった。もっと強くならないと、みんなを守れないな。」

「ほっほっほ。それはようございました。爺はいつでもお嬢様のために尽くしますぞ。さて、皆も疲れています。帰りましょう。7隻に別れて乗ればそこまで窮屈ではないと思います。」

「ありがとう。コタは?」

「はい、私めはバルザックを軍に引き渡して懸賞金を受け取ってまいります。それは私が一番適任です。なにせ、私は堅気ですからね。」

再び真面目な目つきで顔だけが笑っていた。
団員は内心、この人が一番、やくざっぽい、と思ったのは内緒である。

「ミネ、ついてきなさい。懸賞首を届け出の仕方と吹っかけ方を伝授します。」

「うん、わかった。ではカタリナ様、私はお父さんと一緒に行って後から合流します。くれぐれもアジトを汚さないでくださいね。」

「そんな元気ないから早く戻ってきてね。」

カタリナが珍しく弱気なのをみて、みんな思い出した。

「あぁ…そういえばおねーちゃん、骨折ってたっけ?もうくっついた?」

サクラモカが真面目な顔で問いかけた。

「………おねーちゃんの事、ロボットか何かと勘違いしてないか?」

笑いが広がる。ホッとして皆が心の底から笑い抱き合った。

「じゃあ、帰ろう!!」

【あとがき】
…皆さん、お疲れ様です。ミネです。
無事に帰還しました。カタリナ様もモカ様も、そしてみんなも、全員無事です。
今回は、本当にヒヤヒヤしました。

私だって、カタリナ様が無茶をするのはいつものことだと思っていました。
ですが、今回は、相手が違いすぎました。
バルザック…あの人は、本当に強敵でしたね。
団長が骨を折られるほどの相手なんて、今までいませんでしたから。

そして、私の秘密道具。
フェイズウィップ…あれは、もともと「いざという時に、お父さんを止めるため」に持っていたんです。
でも、まさかあんなところで役に立つなんて…。
まさか、モカ様があんなに上手に使いこなすとは思いませんでした。
モカ様、銃は本当にダメなのに…鞭は得意だなんて……。
実は夜の女王様の素質が……ガクガクガク。

でも…お父さんの「場所はわかる」っていうセリフには、ゾッとしました。
本当に場所を特定してきたのできっと何かあります。今度問い詰めないと……。

今回、作戦は成功しましたが、私達はまだまだ未熟です。
もし、私達が今回よりもさらに強い敵と戦うことになったら…
あの時のような危険な状態は、もう見たくありません。
お父さんのように、完璧な準備と、どんな状況にも対応できるスキルを身につけなければいけませんね。
私はまだまだお父さんから学ぶべきことは多いようです。

さて、これからお父さんと懸賞金を受け取りに行きます。
もちろん、吹っ掛けます。少しでも多くもらわないと、命を賭けた甲斐がありませんからね。
それでは、また次回、お会いしましょう。

カタリナ様に感想やレビューを差し上げてください。嬉しくて単純なので骨もすぐにくっつくかもしれません。
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