『赤毛猫海賊団 カタリナの野望』 ~カタリナ様はワガママ貫き通すってよ~

ひろの

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第1章 カタリナ、ついでに弩級戦艦もらっとく  ~ 弩級戦艦 2号 強奪編 ~

第33話 アーティファクト……諦めてもいい?

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二人はマルザンの店に案内された。
カタリナは念のため、さっきの奴らが来ないか、変装して外で見張っている。

マルザンの店は、噂通り、いや、噂以上に汚く、動かないガラクタが所狭しと並んでいた。
だが、ミネの目には、それが宝の山に見えた。

「これは…まさか…」

それは、どれもこれも、修復不可能なほどに壊れたアーティファクトだった。

「面白いだろう?わしの店は、宇宙で最も役に立たねぇもんしか売らねぇと評判だ。だが、この中には、とんでもねぇもんが眠ってるんだぜ。」

マルザンは、薄汚れた手で壊れたガジェットを撫でながら言った。

「お父さんは、これを……?」

ミネが尋ねると、マルザンはニヤリと笑った。

「ああ。あの坊主は、ここからグラヴィ・スパイクを手に入れた。とんでもねぇ代物だったが、わしが売った時は、ただの鉄くずだったよ。」

「どうやって…修復したんですか?」

「さぁな。だが、奴は裏社会のボスを騙して、とんでもねぇ危険を冒した。
 この要塞の地下世界のボスなんかじゃねぇぞ。
 ニャニャーン神聖帝国23星系の全ての闇を牛耳るボスのことさ。
 この儂でさえ、そいつが、どんな奴でどんな力を持っているか見当もつかない。
 だが、アーティファクトの一つや二つ、修復できるほど影響力があるってことだけは確かさ。
 あの坊主も、そう簡単には死なねぇだろうが…おそらく、無事じゃねぇな。」

マルザンはそう言い放つと、ミネに背を向けた。
ミネの顔から血の気が引いた。

「それが、お前さんが探してる情報だ。さっさと帰りな。ここには、もう何もねぇよ。」

マルザンは、これ以上話すつもりはないようだった。
ミネは、コタがどれほどの代償を払ってあのアーティファクトを手に入れたのかを理解し、深く、静かに絶望した。

「…無理だ。私には、お父さんの真似はできない。」

ミネは、マルザンが差し出した壊れたアーティファクトを手に取った。どれもこれも、彼女の持つ技術では修復不可能な代物だった。
マルザンは何も言わなかった。
ただ、その背中は、彼女の無力さを物語っているようだった。

「あぁ、そうだ。あのお嬢ちゃんを呼びな。」

カタリナが呼ばれて入店する。

「クセェ店だな。鼻が曲がりそう。それに何だ?ゴミだらけじゃん。」

「ち……せっかくお前さんにおっぱいの代金、惑星1個買えるほどの宝をくれてやろうと思ったのにやめたわ。」

「お爺ちゃまぁ……なんて素敵なお店なのかしら!?
 まぁ、並んでいるのは本当に立派なゴミばかりねぇ~!」

「……調子のいい奴め。お前さんのおっぱいは中々じゃったな。
 惑星1つは謙遜しすぎじゃよ。ほれ、これは惑星3つくらい買える価値はあるぞ。」

まるで血管が浮き出たような外観のレーザーブレードの柄を放り投げた。
カタリナがそれを受け取る。

「わ……惑星3つ分!?そうでしょそうでしょ!
 私のおっぱいは惑星3つ分!!で、これは?」

マルザンが答えようとするよりも早くミネが割り込んだ。

「そっそれはーーー!!!!」

いつものオタク説明が始まりそうでカタリナの期待値も爆上がりする。

「神経接続型精神共鳴刀《エグゾ・ヴェイン》!!アーティファクトです!」

「エグゾ・ヴェイン!?」

惑星3つ分のアーティファクト、否が応でもカタリナの期待が高まる。

「その原理は精神圧共鳴フィードバック機構―――柄に浮き出た血管状の構造は、持ち主の神経信号と共鳴する“外部神経接続器”、使用者の精神集中・怒り・信念などの“精神圧”を読み取り、エネルギーに変換し、通常のレーザーブレードの数十倍の出力を一瞬だけ叩き出すんです!」

カタリナは右手に持つエグゾ・ヴェインを起動させ、欲望という信念を注ぎ込んだ。
刀身がどす黒く濁り、それを左手に持ったレーザーブレードの刃に叩きつけた。
まるで紙でも切り裂くかのように通常のレーザーブレードの刃が切断される。
そして、その一瞬後にエネルギーが暴走して火花を散らして立ち消えた。

「うわぉ!?」

驚きのあまり、カタリナは1歩後ろに足を退いたがそこには全く力が入らずそのままお尻から床に崩れ落ちた。そしてそのまま力尽きて、大の字で床に沈んだ。

ミネが興奮気味に説明を続けた。

「こぉのエグゾ・ヴェイン!!強い代償を伴う!精神圧の“逆流”による神経疲弊!神経系に過負荷がかかって、立っているのもやっと……。つまり最後の手段にして最終奥義、捨て身にして諸刃の刃!イマイチ使い勝手が悪くてアーティファクトでありながら駆逐艦一隻分の価値!」

「はにゃ!? え??えええ??惑星3つ分は!?」

大の字のままカタリナが叫ぶ。

「そんな価値ある訳ないじゃないですか。」

「うっ嘘つき………。」

そのままカタリナは気を失った。

「嘘はついてなさそうですよ。
 このお店、壊れたのばかりなので値段が馬鹿安いですが、壊れてないのもたまに混ざってて、それは誰も買わないくらい高値が設定されてます。
 おそらく展示用ですね。エグゾ・ヴェインも………。
 うん、ちょっとゼロの数が数えられません。」

ミネの最後の説明はカタリナには届かなかった。

「はっはっは!コタの言う通り、面白いお嬢ちゃんだな。
 奥で休んでいけ。目を覚ましたら地上へ帰れ。
 そして二度と地下には来るな。
 ミネ、お前ではコタの代わりにはならん。」

「……。私ではお父さんの代わりにはならない……。」

分かっていた。分かっていたことだが、こうも呆気なく思い知らされるとは……。
ミネは落ち込んだ。

マルザンの店で一夜泊めてもらった二人だったが、ミネは夢を見た。
子供の頃のミネがコタから色々教えてもらっていた。

記憶があいまいだが、何かを組み立てていた。コタから教えてもらっても、ミネには上手く組み立てることが出来なかった。
ミネが泣きながら諦めようとしている。
コタが笑いながらミネに語り掛けた。

「ほっほっほ。今は諦めてもいい。いずれできる。
 ミネ、それならばどうする?今、お前が出来ることをすればいい。」

ミネがコタの顔を見上げようとした時に目が覚めた。カタリナの足がミネの顔に乗せられていた。

「うぐぐぐ……お父さんの顔が………こぉの足のせいでぇ!!!」

仕返しにカタリナの顔を足蹴にしている最中に、カタリナが目を覚ます。

「あ………。おはようございます。目覚ましの足蹴にございます。」

「………おはよう。目覚ましの足蹴……って何?」

その後、元気を取り戻したカタリナと共にミネは地上へと戻った。
だが、彼女の瞳は再び未来を見据えていた。

今やれることをやる!



【あとがき】
…ここまでお読みいただき、ありがとうございます。執事補佐のミネ・シャルロットです。



無事に地上へ戻ってきました。

地下世界での旅は、私のこれまでの人生で最も情報量の多い時間でした。

お父さんが、どれほど恐ろしい相手を出し抜き、命がけでアーティファクトを手に入れていたか…マルザンという人物を通じて、私は初めてその片鱗に触れました。

私の技術では、到底修復不可能な代物ばかり…お父さんのように、完璧な「裏方」になるには、まだ程遠いと、無力感を覚えました。



ですが…夢の中で、お父さんが私にこう語りかけてくれました。

「今は諦めてもいい。今、お前が出来ることをすればいい。」と。

私は、お父さんの代わりになろうとしていました。それは、あまりにも傲慢な考えだったと気づきました。

お父さんのように「運命を操る」ことは、今の私にはできません。

ですが、今、私にできることはあります。



そして、カタリナ様が手に入れた新しいアーティファクト。《エグゾ・ヴェイン》。

あれは、単なるレーザーブレードではありません。

使用者の精神力を読み取り、エネルギーに変換する…つまり、カタリナ様のあの底なしの欲望と、強固な信念こそが、その真の力を引き出す鍵となります。

…神経疲労という代償はありますが、カタリナ様はどのように活用されるのかが楽しみです。



…お父さん、見ていてください。

私は、お父さんの娘として、最高のサプライズを成功させて見せます。



折角お父さんに会えたのにカタリナ様のせいでお父さんの顔が見えませんでした。

悔しいので足蹴で起こします。あら……意外と楽しい。次からはこうやってカタリナ様を起こそうかな?



…もし、エグゾ・ヴェインのエネルギー暴走を抑える方法を思いついた方がいらっしゃいましたら、感想で教えてください。このままではネコに小判、カタリナにエグゾ・ヴェインです。



では、また次話でお会いしましょう。
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