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6 αとΩの関係は、飼い主とペットの関係なのか。
神様
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(side光希)
俺は夏向とは違う。人が死ぬということに慣れてはいない。所詮は守られ生きてきた、才能だけの御曹司だということを痛感する。
唾を、飲み込んだ。身体が震える。この人はずっと俺より大人だ。『優秀であるか』ではなく、『どれだけ現実が見えているか』という点について。すまない。俺は……全てを救えるほど神様でも、聖人君子でも無いから。
守りたいものを見失って……全てを失いたくない。だから俺は、こう判断するしかない。
「ごめんなさい。あなたの死を……利用させて下さい」
「それでこそ、いずれ社会を統べるαですね」
『立派です』と言葉が続いて、そして追風さんは俺の頭を撫でた。
その時、漸く彼がΩである事に気づく。きっと夏向も知らないだろう。ΩらしくないΩだ。
でも、Ωであることの儚さと、覚悟があった。
「簡単に利用する方法はあります。例えば、七世に仕えている人間が、右代に殺されて……そして、その証拠を提示すればいいんです。七世は被害者だと、言い張ればいい」
「追風さん。今職業は何をしています?」
「昨日で無職になりました」
と、追風さんは笑った。そうか、それならばやりやすい。
「ならば、今契約しても、二重で契約したことにもならないし、裏切りにもならないですかね」
差し出した紙を、追風さんはじっと見る。これは夏向が書くはずだった、七世の使用人になる為の契約書だ。
これに記入すれば、追風さんはこちらの陣営になる。『七世』の使用人は、『七世』が守る義務がある。それは、どれだけ右代と七世が敵対していても、侵してはならない領域だ。
右代が七世の使用人を殺害するというのは、こちらが右代を攻撃する、大義名分が出来ると言うこと。証拠があれば尚更。証拠が無いことで逃げられるのならば、証拠をこれから残せばいい。
下手をすれば、今まで殺害を実行してきた、夏向に流れ弾が当たる。
だから証拠を掴むなら、『夏向と無関係である場面』がいい。
ならば、この方法が最短距離で最善なはずだ。
例え、何かを犠牲にしようとも。
追風さんはさらりと筆を走らせて、俺にその紙を返した。
「May God protect you!」
急に追風さんの口から出た英語。
それに俺は瞬きをし、そして口を開いた。
「キリスト教なんですか?」
「両親がね。キリスト教なんです。馴染み深いだけ。私は信じていません。でも、こういう時は縋りたくなるものでしょう」
「そうですね。日本人ですから」
強烈に信じている訳では無い。でも、困った時には頼りたくなる。一神教を、胡散臭いと思いながらも、俺は無神論者でもない。
俺もそんなひとりだ。都合のいいように神を信じる。真実なんて知らないけれど、俺が正解だと思ったものを、俺は信じるだけ。
俺は結局、神に生かされて生きてるんじゃなくて、神を利用して生きているだけだ。
例えば、俺の運命と出会えたのは、神様のおかげだと信じよう。
ならば、俺たちの向かう先に幸せはある。
それが正義だから。正義だと信じられるから。
「追風さん。May God bless you too!」
そう俺が言うと、彼は笑った。その後、詳しくどこで殺されるのか、とか。どうすれば確実に証拠を掴むことが出来るのかを、ふたりで話し合った。
このことは、一生夏向に言うつもりは無い。知らない方が幸せだと言うこともある。
夏向を幸せにする為なら……俺は例え、パンドラの箱を開くことになっても戸惑いはしない。
「これからもαらしく生きてください。どうか、お幸せに」
「……はい」
『あなたも』という言葉を返せないのが歯がゆい。
これが、俺と追風さんが交わした最後の言葉だ。
俺は夏向とは違う。人が死ぬということに慣れてはいない。所詮は守られ生きてきた、才能だけの御曹司だということを痛感する。
唾を、飲み込んだ。身体が震える。この人はずっと俺より大人だ。『優秀であるか』ではなく、『どれだけ現実が見えているか』という点について。すまない。俺は……全てを救えるほど神様でも、聖人君子でも無いから。
守りたいものを見失って……全てを失いたくない。だから俺は、こう判断するしかない。
「ごめんなさい。あなたの死を……利用させて下さい」
「それでこそ、いずれ社会を統べるαですね」
『立派です』と言葉が続いて、そして追風さんは俺の頭を撫でた。
その時、漸く彼がΩである事に気づく。きっと夏向も知らないだろう。ΩらしくないΩだ。
でも、Ωであることの儚さと、覚悟があった。
「簡単に利用する方法はあります。例えば、七世に仕えている人間が、右代に殺されて……そして、その証拠を提示すればいいんです。七世は被害者だと、言い張ればいい」
「追風さん。今職業は何をしています?」
「昨日で無職になりました」
と、追風さんは笑った。そうか、それならばやりやすい。
「ならば、今契約しても、二重で契約したことにもならないし、裏切りにもならないですかね」
差し出した紙を、追風さんはじっと見る。これは夏向が書くはずだった、七世の使用人になる為の契約書だ。
これに記入すれば、追風さんはこちらの陣営になる。『七世』の使用人は、『七世』が守る義務がある。それは、どれだけ右代と七世が敵対していても、侵してはならない領域だ。
右代が七世の使用人を殺害するというのは、こちらが右代を攻撃する、大義名分が出来ると言うこと。証拠があれば尚更。証拠が無いことで逃げられるのならば、証拠をこれから残せばいい。
下手をすれば、今まで殺害を実行してきた、夏向に流れ弾が当たる。
だから証拠を掴むなら、『夏向と無関係である場面』がいい。
ならば、この方法が最短距離で最善なはずだ。
例え、何かを犠牲にしようとも。
追風さんはさらりと筆を走らせて、俺にその紙を返した。
「May God protect you!」
急に追風さんの口から出た英語。
それに俺は瞬きをし、そして口を開いた。
「キリスト教なんですか?」
「両親がね。キリスト教なんです。馴染み深いだけ。私は信じていません。でも、こういう時は縋りたくなるものでしょう」
「そうですね。日本人ですから」
強烈に信じている訳では無い。でも、困った時には頼りたくなる。一神教を、胡散臭いと思いながらも、俺は無神論者でもない。
俺もそんなひとりだ。都合のいいように神を信じる。真実なんて知らないけれど、俺が正解だと思ったものを、俺は信じるだけ。
俺は結局、神に生かされて生きてるんじゃなくて、神を利用して生きているだけだ。
例えば、俺の運命と出会えたのは、神様のおかげだと信じよう。
ならば、俺たちの向かう先に幸せはある。
それが正義だから。正義だと信じられるから。
「追風さん。May God bless you too!」
そう俺が言うと、彼は笑った。その後、詳しくどこで殺されるのか、とか。どうすれば確実に証拠を掴むことが出来るのかを、ふたりで話し合った。
このことは、一生夏向に言うつもりは無い。知らない方が幸せだと言うこともある。
夏向を幸せにする為なら……俺は例え、パンドラの箱を開くことになっても戸惑いはしない。
「これからもαらしく生きてください。どうか、お幸せに」
「……はい」
『あなたも』という言葉を返せないのが歯がゆい。
これが、俺と追風さんが交わした最後の言葉だ。
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