41 / 110
7 出会いと別れは、今までを壊す。
味方
しおりを挟む
(side夏向)
「価値観は人それぞれだけどさ~。みっくんを疑わないで欲しいな。まあ、最近は毎日幸せそうでうるさいよ。運命云々は十夜様の受け売りみたいだけど」
「受け売り……?」
「一種の宗教だよアレ。アダムとイブとかさ~」
『小さい頃から聞いていたら耳タコなのかもね~』と愚痴るように藍先輩は言う。
なるほど、それで十夜さんと光希の言葉が一致していたのかと納得した。
口に入れられたスナック菓子はそのまま噛み砕き飲み込んだ。甘くて、塩辛い。別段変わった味でも無く食べやすかった。
「まあ、雑談はここまでにしよっか。本題はこっち」
ふと真顔になった藍先輩に、驚いてビクリと肩が跳ねる。
「みっくんね……本気で右代と戦おうとしてる」
「僕の実家と……?」
「そう。君を自由にする気みたいだね。でも、あいつらは暴力団と繋がってる。簡単ではないし……命の危険だってある」
「それは……分かります」
実感として理解できる。だって実際に光希を殺しにここまで来たのが僕だ。本来ならば、僕が殺すはずだった。
なのに、僕のために光希は戦おうとしてくれている。命の保証が……出来るはずもない。
「僕が聞きたいのは……夏向はそれでいいのかってこと。例えどんなことがあっても……みっくんの味方でいてくれる?」
お願いするように、けれども僕を見定めるように……藍先輩のその視線は、まるで最後の審判にかけられたようだ。
「光希の味方……?」
それは、考えたことも無かったことだ。
愛されたいとそればかりを考えていた。でも、光希は確かに僕にとって敵だった。だから藍先輩は僕の裏切りを疑う。
いや、裏切り以前に『味方かどうか』を疑っている。
僕は……正直分からない。けれど、そもそも即答できないことが間違ってるんだと思う。
「光希の幸せを願ってます。だから……」
だから、なのに……けれど。
『僕は光希の味方だ』という、言葉の続きは詰まってしまって声が出なかった。
「……」
「……」
しばらくの沈黙の後、『そっか』と声が聞こえて僕はますます黙り込んでしまう。
「まあ、それを聞くのは僕じゃないしね~。その言葉の続きはみっくんに言ってあげて」
「……」
ぐっと、僕は唇を噛んだ。
「αはね……それだけで嬉しいからね」
まるで自分自身を重ねてみるような……藍先輩の浮かべた表情は、慈しむようなものだった。
「価値観は人それぞれだけどさ~。みっくんを疑わないで欲しいな。まあ、最近は毎日幸せそうでうるさいよ。運命云々は十夜様の受け売りみたいだけど」
「受け売り……?」
「一種の宗教だよアレ。アダムとイブとかさ~」
『小さい頃から聞いていたら耳タコなのかもね~』と愚痴るように藍先輩は言う。
なるほど、それで十夜さんと光希の言葉が一致していたのかと納得した。
口に入れられたスナック菓子はそのまま噛み砕き飲み込んだ。甘くて、塩辛い。別段変わった味でも無く食べやすかった。
「まあ、雑談はここまでにしよっか。本題はこっち」
ふと真顔になった藍先輩に、驚いてビクリと肩が跳ねる。
「みっくんね……本気で右代と戦おうとしてる」
「僕の実家と……?」
「そう。君を自由にする気みたいだね。でも、あいつらは暴力団と繋がってる。簡単ではないし……命の危険だってある」
「それは……分かります」
実感として理解できる。だって実際に光希を殺しにここまで来たのが僕だ。本来ならば、僕が殺すはずだった。
なのに、僕のために光希は戦おうとしてくれている。命の保証が……出来るはずもない。
「僕が聞きたいのは……夏向はそれでいいのかってこと。例えどんなことがあっても……みっくんの味方でいてくれる?」
お願いするように、けれども僕を見定めるように……藍先輩のその視線は、まるで最後の審判にかけられたようだ。
「光希の味方……?」
それは、考えたことも無かったことだ。
愛されたいとそればかりを考えていた。でも、光希は確かに僕にとって敵だった。だから藍先輩は僕の裏切りを疑う。
いや、裏切り以前に『味方かどうか』を疑っている。
僕は……正直分からない。けれど、そもそも即答できないことが間違ってるんだと思う。
「光希の幸せを願ってます。だから……」
だから、なのに……けれど。
『僕は光希の味方だ』という、言葉の続きは詰まってしまって声が出なかった。
「……」
「……」
しばらくの沈黙の後、『そっか』と声が聞こえて僕はますます黙り込んでしまう。
「まあ、それを聞くのは僕じゃないしね~。その言葉の続きはみっくんに言ってあげて」
「……」
ぐっと、僕は唇を噛んだ。
「αはね……それだけで嬉しいからね」
まるで自分自身を重ねてみるような……藍先輩の浮かべた表情は、慈しむようなものだった。
0
あなたにおすすめの小説
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜
レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」
魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。
彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
運命の番ってそんなに溺愛するもんなのぉーーー
白井由紀
BL
【BL作品】(20時30分毎日投稿)
金持ち社長・溺愛&執着 α × 貧乏・平凡&不細工だと思い込んでいる、美形Ω
幼い頃から運命の番に憧れてきたΩのゆき。自覚はしていないが小柄で美形。
ある日、ゆきは夜の街を歩いていたら、ヤンキーに絡まれてしまう。だが、偶然通りかかった運命の番、怜央が助ける。
発情期中の怜央の優しさと溺愛で恋に落ちてしまうが、自己肯定感の低いゆきには、例え、運命の番でも身分差が大きすぎると離れてしまう
離れたあと、ゆきも怜央もお互いを思う気持ちは止められない……。
すれ違っていく2人は結ばれることができるのか……
思い込みが激しいΩとΩを自分に依存させたいαの溺愛、身分差ストーリー
★ハッピーエンド作品です
※この作品は、BL作品です。苦手な方はそっと回れ右してください🙏
※これは創作物です、都合がいいように解釈させていただくことがありますのでご了承くださいm(_ _)m
※フィクション作品です
※誤字脱字は見つけ次第訂正しますが、脳内変換、受け流してくれると幸いです
ヤンキーΩに愛の巣を用意した結果
SF
BL
アルファの高校生・雪政にはかわいいかわいい幼馴染がいる。オメガにして学校一のヤンキー・春太郎だ。雪政は猛アタックするもそっけなく対応される。
そこで雪政がひらめいたのは
「めちゃくちゃ居心地のいい巣を作れば俺のとこに居てくれるんじゃない?!」
アルファである雪政が巣作りの為に奮闘するが果たして……⁈
ちゃらんぽらん風紀委員長アルファ×パワー系ヤンキーオメガのハッピーなラブコメ!
※猫宮乾様主催 ●●バースアンソロジー寄稿作品です。
処刑エンドの悪役公爵、隠居したいのに溺愛されてます
ひなた翠
BL
目が覚めたら、やり込んだBLゲームの悪役公爵になっていた。
しかも手には鞭。目の前には涙を浮かべた美少年。
——このままじゃ、王太子に処刑される。
前世は冴えない社畜サラリーマン。今世は冷徹な美貌を持つ高位貴族のアルファ。
中身と外見の落差に戸惑う暇もなく、エリオットは処刑回避のための「隠居計画」を立てる。
囚われのオメガ・レオンを王太子カイルに引き渡し、爵位も領地も全部手放して、ひっそり消える——はずだった。
ところが動くほど状況は悪化していく。
レオンを自由にしようとすれば「傍にいたい」と縋りつかれ、
カイルに会えば「お前の匂いは甘い」と迫られ、
隠居を申し出れば「逃げるな」と退路を塞がれる。
しかもなぜか、子供の頃から飲んでいた「ビタミン剤」を忘れるたび、身体がおかしくなる。
周囲のアルファたちの視線が絡みつき、カイルの目の色が変わり——
自分でも知らなかった秘密が暴かれたとき、逃げ場はもう、どこにもなかった。
誰にも愛されなかった男が、異世界で「本当の自分」を知り、運命の番と出会う——
ギャップ萌え×じれったさ×匂いフェチ全開の、オメガバース転生BL。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
売れ残りオメガの従僕なる日々
灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才)
※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!
ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。
無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる