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第10章 人間の恋人
47話
しおりを挟む明はせっかちな男だった、
明が何か言った時
すぐに何か反応しないと
「聞いてる!?」
「聞こえてる!?」
「シカト!?」
と腹を立てた。
キヨは地球の言語を理解するのが苦手だった、
そのため、何か言われても理解するのに時間がかかる、
地球人が0.1秒で理解し反応できる所、
サンコ星人であるキヨは
2~3秒かかってしまうのだ、
その2~3秒は明にとってとても長く感じるらしい、
とにかく早く反応しようとキヨはとりあえずとっさに何か言い返してみるが、
上手く話が噛み合わなかった時は
「俺の話聞いてた!?」
と明は怒った。
キヨはどうすればいいか分からなかった、
ちょっと待ってほしいだけなのに、
恐らく明は分かってくれない、
地球人は皆当たり前にしてることだから。
聞き取れないし、
理解も時間がかかる、
楽しいはずの彼氏との会話は
キヨにとっては緊張の一時だった。
「清子は聞き間違いが多すぎるよ!」
今日もキヨは怒られた。
「ごめんね……聞こえなくて…」
「聞こえない??
離れた部屋で物が落ちた音は聞こえるのに
なんで目の前で話してる俺の声が聞こえないの?おかしいよ、
聞く気が無いからそうなるんじゃない?」
キヨは何も反論できなかった、
話を聞く気はあるが、
明や、地球人から見ると無いように見えるのだろう、
それは仕方がないとキヨは思った。
とにかく聞き逃さないように、
聞き間違えないように
口の動きをしっかり見て、
バレないように集音器も耳につけて、
聞き取らなければならない。
明はこだわりが強い人間だった。
誰にでも、これだけは譲れない!という物が1つや2つあるだろう、
明はそれが少し多かった、
明とは価値観の違いもあったため、
キヨは明のこだわりを全て受け入れることはできなかった、
でもこれも仕方がないことだとキヨは思った、
男と女というだけで、
色々考え方は違うのに、
その上住んでる星が違うんだ、
意見が合う方が不自然だろう、
キヨが地球人だったとしても
こういう価値観の違いから生まれるトラブルはカップルには付き物だ、
お互いの"これだけは譲れない!"がぶつかり合って、
すれ違いが生まれるのだ、
人間のこの特性は
ヨルに聞いてキヨは知っていた。
「清子もこの服着てよ」
明には、好きな服のジャンルがあった、
それは、万人受けする物ではなかった、
しかし、明自身がそのファッションを楽しむだけならキヨはいいと思えた、
キヨは人の視線をあまり気にしなかったので、
明の隣を歩くのも苦ではなかった、
しかし明はキヨにも同じ様な服装をすることを求めた。
「うーん…、明君はそういうの似合うけど、
私は似合わないから…、かなりのイメチェンになっちゃうし…勇気無いかな…」
「清子はこだわりが強すぎるよ!
色んな服着てみないと!」
その台詞を、そっくりそのまま明に返したいと思った、
頑なに自分のファッションだけを好む明の方が、
キヨにはこだわりが強いように見えた、
しかし喧嘩になることを嫌がるキヨ、
また何も言えない、
少しでも怒られる回数を減らすために
少しでも早く明の考えていることを先読みできるように、
キヨは必死に明の表情を読もうとした、
しかし人間の複雑な表情はキヨにはなかなか理解ができない、
怒ってるのか
そうでないのか
嫌なのか嫌じゃないのか
全く分からない
何故こんなことで!?
ということで明は怒り出す、
今まで怒られた状況を必死に思い出し
今日こそは大丈夫と思っても
ダメな部分をわざと探しているのか
探さなくても目についてしまうのか
明は会う度会う度
キヨの何かを指摘して叱った。
「…明君が何考えているか分かんない……
明だけじゃない……人間は皆何考えてるか分かんない……」
キヨはたまらずヨルに相談した。
「……仕方がないですよ、
地球人と我々サンコ星人は考え方が全然違うのですから……」
「それは分かってる……でもこれじゃ……
明君といる時も…会社でも……全然上手くいかない…
怒られっぱなし…せめて人間の表情が読めたらな……」
相手が自分を見て不快な思いをしているかそうでないかだけでも分かれば……
キヨはそう思った。
「…仕方がないですね………
お嬢様に、これを貸しましょう」
そう言ってヨルは腕を捲り、
つけていた腕時計を外した。
「腕時計…?腕時計なら私持ってるよ、ほら」
キヨは左の袖を捲った
腕には、明から貰った腕時計がついている。
「俺の腕時計は、普通の腕時計ではありません」
そう言ってキヨに腕時計を見せるヨル、
腕時計には、数字などかかれておらず、
ただ黒い画面があるだけ。
「あっ…!これタッチしたらなんか色々使える最近流行りの………」
「そんな高性能なものではありません、
確かにその画面の時計をモデルにはしましたが……、
この時計は、人間が何を考えているか知りたい、と思いながら文字盤を覗くと、鏡に変わります、
その鏡に映った自分を見ると、自分を客観的に見ることができ、人間が自分を見たときに抱く感情を知ることができます」
人間が自分を見たときに抱く感情を知ることができる…?
最近流行りの画面の時計よりも高性能だと思えた
こんな時計どこで手に入れたのだろうか
まさかこんなものが地球に売ってるはずもない。
「この時計…どこで買ったの?」
「…忘れてるかもしれませんが…
俺は魔法が使えます、自分で作りました」
「作った!?!?!?」
どうやらヨルは魔法でこの時計を作ったらしい、
こんな凄い機能を持つ時計を作る力があるなんて、
キヨは心底羨ましかった。
「…借りていいの…?
ヨルはこれ無くなって困らない?」
「俺はもう慣れました、それが無くても相手の気持ちは大体分かります、大丈夫です、
それと、もう一度言いますが、人間が自分を見たときに抱く感情を知ることができます、
"世間一般的な人間の感情"が分かるだけで
目の前にいる特定の相手の気持ちが伝わってくるわけではありません、
明さんの考えが、世間一般的な考えであれば効果を発揮しますが、明さんが世間とは少しずれた考えをお持ちなら、その時計を覗きこんでも意味はありません
あまり、その時計を頼りすぎないようにしてください」
ヨルは説明しながら
キヨの手首に腕時計をつけた。
左腕には明から貰った腕時計
右腕にはヨルから貰った腕時計
腕時計を2個つけてる人なんて見たことない
とても不自然だった。
「長袖をきて腕時計を隠すか、
普通の腕時計をつけるか、どちらかにしてください
両方つけたまま半袖なんて着ないこと、
変な目で見られますよ」
「大丈夫、私長袖しか着ないから」
キヨは肌も敏感で
風が肌に当たるだけでヒリヒリした感覚に襲われた
そのためキヨは周りの刺激から守るため
季節に関係なくずっと長袖を着ていた
普通の腕時計は無いと不便だし
これからも長袖をきて2つの時計を隠すこにした、
決して時計を2つつけていることがバレないように
気を付けなければ、
でもちょっと勇気が出た
ヨルに貰ったこの不思議な時計で
ちょっとでも人間とのやり取りが楽になるといいな、
キヨは思った。
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