地球人のふり

はに

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第10章 人間の恋人

49話

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キヨの身体に異変が現れた。




疲れているはずなのに、明け方まで眠れず、
眠れたと思ってもイライラしてすぐ起きてしまう、


テレビも漫画もゲームも何も楽しめない、



仕事でもミスを連発。



片付けが好きなキヨだったが、
部屋は散らかり放題、
洗濯物も溜まっていた。




この、何も手につかない感じ

高校の時、
就職に失敗した時に似ていると思った、

いや、あの時より酷い。





キヨはストレスを感じたり落ち込むと、
どちらかというと過食に走る傾向にあったが、

今回は食べることができなかった、


とりあえずお腹に入れる、という感じ、


味や栄養バランスなどどうでもよく、
ご飯を作ることもせず、

インスタントや冷凍食品を適当に組み合わせとりあえずお腹に詰め込んでいた。



三度の食事以外は何も食べなかった、
あんなに甘いものが好きだったのに、
食べられなかった、

キヨの体重はすぐ2㎏程落ちた、


こんなことは初めてだった、
食欲が無くなることなど今まで無かった、

インフルエンザで高熱を出しても、
お腹の風邪でトイレと友達になっていても、

食欲が失せることは無かったのに。






食欲以外にも、経験したこと無い異変をキヨは感じていた、

薬に頼りすぎてしまう事だ。





寝付けず、仕方がなく睡眠導入剤を服用する、


なんとか眠れたが、それでも睡眠時間は足りず、日中物凄い眠気に襲われた、

仕事がまともにできず、
キヨはカフェインのサプリを服用した、

カフェインのサプリを飲むと
目は覚めるが、何か神経がピリピリした状態になり、気持ちがザワザワしてしまう、

そのためキヨはハーブ系の市販の鎮静剤を服用した、


色々な薬の飲みすぎか、栄養の偏りか、
気持ちの問題か、

常に頭痛や胃痛に襲われ、

頭痛薬や胃薬を頻繁に服用した。




何種類もの薬を服用しながら過ごす毎日、


こんなに飲み続けていると、
効果は薄れる、


結果、過剰な量を服用する事になってしまった。






今日もキヨはどうしても眠れず、倍の量の睡眠導入剤と
それプラス鎮静剤を倍量服用した、


頭の中が一気に涼しくなった、

冷たい水を流し込まれた様だった、


気持ち悪くて立てない、

そのまま死ぬかと思ったが、
キヨは怖くなかった、


死んでもいいと思っていたからだ。


橋から飛び降りようとした時と同じで、

またキヨには死にたいという思いがあった。





生きたくないと思っているからか、
不健康な生活を送っているからか、


脈は乱れ、めまいは起こり、
生理でも無いのに血が出続けた、

呼吸も上手く出来ず、常に指先がピリピリ痺れている。




"このまま私は死ぬんじゃないかな"



そう思うこともあった、


しかしキヨは全く怖くなかった、

いつ死んでもいいから、
もうどうだっていいから、

むしろ死なせてほしかったから。





体の不調が、
本当に怖い病気から来るものなのか、
精神的な物なのか、調べる気にもならない、


別に病気になったっていい、

そのままいきなり死んだっていい。



















ある日キヨは、
明の家に向かっていた、




デート?





いや違う、




別れを告げるためだ。









明に対して不満が募り、限界を感じていたキヨ。







暫くの間は
別れを告げて怒ったらどうしよう、
何かされたらどうしよう、と行動に移せなかったが、


自分の事などどうでもよくなり、
殴られようが何されようが怖くなくなったキヨは、
ようやく別れを告げる決心がついたのだ。







事前に何も連絡せず、
明の家へ向かった、




インターフォンを鳴らすとすぐに明が出てきた。













「清子?いきなりどうしたの、連絡ぐらい………」










「明君、私と別れてください、お願いします」









玄関に入ると、余計な話はせず、
キヨはその場で土下座をした。








「え……………、清子…どうし………」




「明君といると辛い、明君が怖い、もう離れたい
私を解放してください、なんだってします、お願い」






キヨは土下座をし続けた、


今までお前に払ったお金を返せ!と言われた時のため
大体の金額を調べて持ってきた、
あげた物、貸した物を返せ!と言われた時のため、
今まで貰った物や借りた物も持ってきた、

どうされたっていい、

この場で殴られる覚悟もしている。













しかし別れはあっけなかった。








明ももうキヨが嫌になっていたのだろうか、









特に何か怒ることもなく、








"分かった、 ごめんね辛い思いさせて"

"短い間だけだったけどありがとう"






こんなことを言われただけで終わった。











明に好きと言う気持ちは無かったし、
むしろ"嫌い"に近い感情を抱いていた、
早く解放されたかったし、解放されて嬉しかった。





しかし、生まれて初めて付き合った人、
短い間ではあったが、ずっと一緒にいた人、
もちろん良い所もあった人、



そんな明との別れは、キヨの心を更に不安定にさせた。










明君は怒ったりするけど、
多分普通の人なんだ、





私がおかしいから





私が人間じゃないから






私のせいでこうなった





明君だって被害者だ






私の意味不明な言動にきっと苦しめられていただろう






私が人間だったなら、




私が普通だったなら、







全て私が悪いんだ。









心のモヤモヤの1つが亡くなったはずなのに、








キヨの心は晴れるどころか、
更に暗くなっていった。





























そしてその日の帰り道




キヨは何者かに刃物で切りつけられた。

















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