地球人のふり

はに

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第2章 特殊能力取締局

10話

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「キヨ、準備はいいですか」









扉の前に立たされるキヨ






ここに入るのだろうか




入ったらどうなるのか






不安で不安でたまらない








さっきまで一緒にいたヨルはどこへ?





辺りを見渡しても姿は見えない。









「あの……ヨルは……さっきまでいた私の使用人はどこへ……」








「あの青年ですか、
あの者はあなたがこの部屋に入ってくる直前にどこかへ走って行きました」






走って行きました…








どこへ行ったのだろう



こんなに心細いのに

最後まで見守っていてくれたっていいのに





なぜどこかへ走っていってしまったのだろう。








真相は分からない、






分からないまま、キヨは行かなければならない。













「この扉を開け、足を踏み入れると
あなたは真っ逆さまに落ちていきます
最初は怖いでしょう、ですが徐々に眠くなっていきます、大丈夫、すぐ怖くなくなります」










怖くなくなりますじゃないよ







怖い







怖いとても









真っ逆さまに落ちるなんて



経験したことない









震えが止まらない




視界がぼやけてきた、





涙がこぼれる








怖い






怖いよ







何故私がこんな目に?







何故私は力を持たないのだろう







何が悪かった







みんなと同じように産まれて同じように生きてきたのに、


何故私だけ違うのか







自分の運命を恨んだ。







そして、扉は開かれた、





目の前に広がる


真っ暗な


























どこまで続いているのか分からない



果てがあるのか無いのか








手を入れてみると

少し冷たい





この闇の中に今から落ちていくと考えると




恐怖のあまり吐き気がした。







「行きなさい、キヨ
大丈夫、すぐに眠ります」






女性はキヨの背中をそっと押した。








もう、逃げられない





行くしかない、






キヨは涙を溢しながら







闇の中に足を踏み入れた。












「落ちて、産まれて、記憶を取り戻しなさい、
そして使命を果たしなさい、
人間に正体をバラしてはいけません、
あなたは自分の存在を明かさず守り抜きなさい、
またあなたに会えることを祈っています」







そう話す女性の姿がどんどん小さくなっていく。




体がバラバラにちぎれそうなほどの衝撃を食らいながら

キヨは落ちていく



勢いが強すぎて目も開けられない


息も絶え絶え




苦しい


怖いよ


今どうなっているの



がむしゃらに手足をばたつかせるが
何も触れない




きっとどこまでもあの暗闇が広がっているのだろう。






「……暖かい……」







さっきまで冷えきっていた空間が


少しずつ暖かくなってきた






そしてキヨはどんどん眠くなっていく







意識が朦朧とし始め



何も考えられなくなった。









キヨがキヨとして生きていた時間は








ここで一旦終了した。










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